挨拶|先に言っておくと違うのか

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子どもが生まれる前に、上下左右の4軒に挨拶に行きました。500円くらいのタオルを持って、「これから泣き声でご迷惑をおかけするかもしれません」と伝えるだけ。所要時間は全部で20分ほどです。

やってよかったかというと、効果があったのかは正直わかりません。苦情が来ていないのは事実ですが、それが挨拶のおかげなのか、もともと寛容な人たちなのか、切り分けようがない。ただ、自分の気持ちの持ちようは明らかに変わりました。その話を書きます。

先に断っておくこと

この手の話でいちばん危ないのは、自分の家でうまくいったやり方を一般論として書くことだと思っています。挨拶の慣習は、地域と物件でまったく違います。

都市部の単身者向け物件では、挨拶に行かないのが普通という話をよく聞きます。防犯上、知らない人がインターホンを鳴らすこと自体が警戒される。一方、地方や、分譲マンション、長く住んでいる人が多い集合住宅では、挨拶が前提になっている場合もあります。管理会社によっては「挨拶回りは推奨していません」と明言しているところもあるようです。

だから、この記事に書くのは都内近郊の賃貸2LDK、ファミリー中心の物件で、私がそうしたという一例でしかありません。同じことをすべきだとは書きません。むしろ、迷ったらまず管理会社に「この物件で挨拶回りをする人はいますか」と聞くのが早いです。私も聞きました。

行くかどうかで、2週間迷った

入居したのは子どもが生まれる4ヶ月前です。そのときは1回、簡単に挨拶をしていました。問題は、出産の直前にもう一度行くかどうか。

迷った理由は3つあります。1つは、「これから泣きます」と先に言うのは、予防線を張っているだけではないかという気持ち。実際に迷惑をかけるのは事実なのに、先に言っておけば許されると思っているような、ずるさを感じました。

2つめは、相手にとって面倒ではないかということ。インターホンが鳴って、知らない人が立っていて、品物を渡される。受け取ったら受け取ったで気を遣わせる。在宅勤務の人なら仕事を中断させることになります。

3つめは単純に、私が人見知りだからです。ここは正直に書いておきます。

最終的に行くと決めたのは、妻に「言われて嫌な人より、後から知って驚く人のほうが多いんじゃないか」と言われたからでした。理屈としては弱いんですが、納得はできました。

持っていったのは500円のタオル

品物選びで基準にしたのは、相手にお返しを考えさせない金額です。調べてみると、引っ越しの挨拶品は500円から1,000円程度が一般的と紹介されていることが多い。3,000円のものを持っていくと、相手が返礼を意識してしまう可能性があります。

買ったのは今治タオルのハンドタオルで、498円。熨斗をつけて名前を入れました。4軒で2,000円ちょっとです。

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タオルにした理由は、消えものに近いから。お菓子は好みとアレルギーがあるので避けました。洗剤も、香りの好みがはっきり分かれるので候補から外しています。タオルなら、使わなくても掃除用に回せる。

ただ、タオルにも欠点はあります。ありふれています。引っ越しの挨拶といえばタオル、というくらい定番なので、相手からすると「またタオルか」かもしれない。うちも入居前に、上の階の人からタオルをもらっています。個性は出ません。無難を選んだ、という話です。

あと、熨斗の名入れは1日かかりました。当日に思い立って買いに行くと間に合わないので、日程には余裕を見たほうがいいです。

タイミングは、生まれる前か後か

これも迷ったところです。生まれる前に行くと、まだ何も起きていないのに先回りして謝ることになる。生まれた後に行くと、すでに泣き声が聞こえている状態で頭を下げに行くことになります。

うちは予定日の3週間前に行きました。理由は単純で、生まれた後は行ける状態じゃないと分かっていたからです。実際、退院してからの1ヶ月は外に出る余裕がまったくありませんでした。玄関のドアを開けて誰かと話すという行為が、あの時期はかなりの負荷です。

時間帯は、土曜の午前中を選びました。平日の夜は在宅の人が食事の時間かもしれないし、日曜の朝早くは寝ている可能性がある。午前10時から11時台なら、たいていの家が起きていて、まだ出かけていない。ただ、これも生活リズムの読み合いでしかないので、外れることはあります。実際1軒は留守でした。

それと、雨の日は避けました。玄関を開けてもらうこと自体が手間になる日は、こちらの都合で行くべきではないと思ったので。細かいですが、こういうところで印象が決まる気がしています。

実際に回ってみると、半分は留守だった

土曜の午前11時に回りました。4軒のうち、その場で会えたのは2軒。1軒は留守で、もう1軒はインターホン越しに「今ちょっと出られません」と言われました。

留守の家には、後日また行くか、手紙を添えてドアノブに掛けるかを迷いました。うちは手紙だけ入れて、品物は次に会えたときに渡すことにしました。ドアノブに物を掛けておくのは、防犯上あまりよくない気がしたので。結局その家とは3週間後にエレベーターで会って、そこで渡しています。

インターホン越しに断られた家は、それ以上追いませんでした。会いたくない事情があるかもしれないし、そこを押すと逆効果です。手紙も入れていません。相手が距離を取りたがっているときに近づくのは、挨拶ではないと思ったからです。

会えた2軒での話は1分ほどです。名前を言って、来月子どもが生まれること、夜中に泣き声が出ると思うこと、気になることがあれば直接言ってほしいこと。それだけ。長く話すつもりはありませんでした。

言わなかったこと

意識して言わなかったことがあります。「うるさかったらすみません」を先に何度も言わないことです。

謝る回数が多いと、相手が「そんなに気にしないでください」と言わなければいけなくなります。こちらが恐縮すると、相手に仕事が発生する。だから謝罪は1回にして、あとは事実を伝えるだけにしました。

もうひとつ、対策を細かく説明しないこと。防音マットを敷きましたとか、この時間は静かにしますとか、そういう話をすると、宣言になってしまいます。宣言したら守らなければいけない。生後間もない子どもがいる家で、時間帯の約束を守れる保証はどこにもありません。

「気になったら言ってください」だけは、しっかり伝えました。これは実際に苦情が来たときに、管理会社を経由せず直接来てもらえたほうがお互い楽だからです。ただし、これも相手の性格によります。直接言うのが苦手な人には、逆にプレッシャーかもしれません。

効果があったかは、わからない

子どもが生まれて6ヶ月経ちますが、今のところ苦情はありません。夜中に泣くことは普通にあります。深夜2時に30分泣き続けた日もありました。

これを挨拶の効果だと書くことはできません。もともと言わない人たちなのかもしれないし、思ったより聞こえていないだけかもしれない。因果関係を確かめる方法がありません。挨拶をしたら苦情が来なくなる、という書き方をしている記事を見かけますが、そこは慎重であるべきだと思っています。

ただ、自分の側では変化がありました。子どもが夜中に泣き始めたとき、以前は音そのものより、相手がどう思っているかが怖かったんですよね。顔を知らない人からの評価は、いくらでも悪い方向に想像できてしまう。一度顔を合わせて、「大変ですよね」と言われた記憶があると、その想像が少し減ります。

要するに、挨拶は近隣のためというより、自分が消耗しないための行動だったのかもしれません。行くべきかどうかは物件と地域によるので、うちはこうした、という以上のことは書けません。ただ、迷っている段階の消耗が一番きついというのは、経験として言えます。

この記事は近隣への音の個別記事です。賃貸で何をやったかの全体は子どもの足音が気になり出した|賃貸でやったことで整理しています。

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