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リビングのパキラの鉢から、土がこぼれました。水をやりすぎて表面が浮いたところに、うちの子が寝返りで近づいてきた日です。まだ手は届いていません。でも、あと数ヶ月でつかまり立ちが始まると、鉢の高さは完全に射程に入る。
それで、観葉植物を土なしで育てる方法はどうなんだろう、と調べ始めました。いわゆるハイドロカルチャーです。結論から書くと、私はまだ移行していません。調べたうえで、来年の春にパキラ1鉢だけ試す予定でいます。この記事は使ってみた話ではなく、調べて分かったことと、私がどう判断したかの記録です。
土をやめたい理由が、衛生じゃなかった
最初は「土は不衛生だから」と考えていました。調べていくうちに、自分の本当の不満はそこじゃないと気づきます。
うちで実際に困っていたのは3つ。ひとつ、水やりのあとに受け皿へ流れ出た泥水が、床のクッションフロアに黒い輪を残す。ふたつ、コバエが夏場に湧く。とくに8月、水やりの間隔を詰めたら明らかに増えました。みっつ、鉢を動かすたびに表土が散る。掃除機をかけるのが週2回から3回に増えた時期があります。
この3つは、どれも土そのものというより「土が水を含んで、動く」ことから来ている。ハイドロカルチャーはここに効きそうだ、というのが調べ始めた動機です。逆に言うと、子どもの安全という観点では、土をやめても鉢を倒す問題は残ります。そこは別の対策が要る。
調べて分かった、ハイドロカルチャーの中身
ハイドロカルチャーというのは、土の代わりに人工の粒を使って、容器の底に水をためて育てる方法だと紹介されていることが多いです。粒は「ハイドロボール」や「レカトン」と呼ばれるもので、粘土を高温で焼いて発泡させた素材だと説明されています。
ここが最初よく分からなかったのですが、粒自体が水を吸って持ち上げるので、根が常に水没しているわけではないらしい。底に数センチの水をためて、上のほうは湿った空気の層になる。この構造で根が呼吸できる、という理屈のようです。土の代わりに水を入れているだけ、というイメージだったので、そこは考えを改めました。
気になったのは、鉢底に穴のない容器を使う点です。穴がないから水が流れ出ない。つまりあの泥水の輪はできない代わりに、入れすぎた水はどこにも逃げない。水位の管理を間違えると根腐れするという注意書きが、どのショップの説明にも書いてありました。手間の総量が減るというより、手間の種類が変わる、と読むのが正しそうです。
粒だけ買うか、セットで買うか
実際に始めるとしたら選択肢は2つあります。粒だけ買って手持ちの株を移すか、植えた状態のセットを買うか。
粒だけなら、2リットルの中粒がだいたい1,000円前後で売られています。安く見えますが、私が調べた範囲では、既存の土植えの株を移すには根の土をかなり丁寧に落とす作業が必要で、そこで根を傷めて枯らす例が口コミにいくつも出てきました。しかも作業場所が要る。うちのベランダは奥行き70センチくらいで、洗濯物を干すと足の踏み場がありません。風呂場でやることになりますが、排水口に粒や土が流れる心配があります。
もうひとつが、最初から植えてある状態のセットです。今回見ていたのは、パキラ・ガジュマル・サンスベリアから株を選べて、ガラスのボール容器とハイドロボールが一式ついて2,189円というもの。届いたらそのまま置ける形になっています。
私が初回に選ぶならこちらです。理由は単純で、移植の失敗という一番大きな変数を消せるから。粒だけ買って自分で植え替えて、根腐れなのか移植のダメージなのか分からないまま枯れると、次の判断ができません。まず植わった状態のものを1鉢置いて、水位の管理だけを覚える。そのあとで手持ちの株を移すかどうか決める。この順番が安全だと思っています。
短所も書いておきます。この手のセットは容器が小さいものが多く、商品説明を読む限り置き場所は卓上サイズです。リビングの主役にはなりません。それと、ガラス容器は倒れたら割れます。子どものいる家では棚の上か、手の届かない位置が前提。うちは冷蔵庫の上に置くつもりでいます。あと、株の指定ができても届く個体の枝ぶりは選べないので、そこは運です。
根腐れ防止剤と水位計が分からなかった
調べていて一番つまずいたのが、付属品の役割です。
ハイドロカルチャーの説明には、ほぼ必ず根腐れ防止剤という粒が出てきます。ゼオライトや珪酸塩白土と書かれていることが多い。容器の底にひとつまみ入れる、と書かれています。ただ、これを入れれば根腐れしないという書き方をしている説明は少なくて、水質の悪化を抑えるのを助けるもの、くらいの表現が多い印象でした。入れたから安心という部品ではなさそうなので、私は水を替える頻度のほうを守るつもりです。
もうひとつ引っかかったのが肥料です。土には元から養分が入っていますが、焼いた粘土の粒には何も入っていません。だから液体肥料を薄めて足す、という説明をよく見ました。ただ、水をためた容器に肥料を入れると、水が濁ったり藻が出たりするという書き込みも同じくらい見つかります。どちらが正しいというより、濃度と頻度の問題なんだと思います。ここは実際にやってみないと分からないので、最初の数ヶ月は肥料なしで様子を見るつもりでいます。育てることより、まず枯らさないことを優先する。土のときも結局それで残った株だけが生き延びました。
水位計は、容器に挿しておくと今どのくらい水があるか目盛りで見えるものです。これは素直に便利そうだと思いました。透明のガラス容器なら目で見えるので不要ですが、陶器の鉢に移す段階では要る。ここは実際に始めてから買い足す判断をします。
水替えの頻度は、調べた範囲でも「水がなくなってから数日おいて足す」「夏は週1回入れ替える」など幅がありました。季節と部屋の温度で変わるはずなので、うちで実際に測るまでは数字を断定しないでおきます。
向いている株と、私が土のままにするもの
ハイドロカルチャーで扱いやすいとよく挙がるのが、パキラ、ガジュマル、サンスベリア、ポトス、テーブルヤシあたりです。今回のセットで選べる3種がそのまま含まれているのは、そういう理由だと思います。
一方で、うちにある株を全部移す気はありません。去年から生きているフィカス・ベンガレンシスは高さが80センチほどあって、鉢の重さで自立しています。これを軽い粒に移すと、単純に倒れやすくなる。子どもが動き出す家で、倒れやすさを増やす変更は本末転倒です。大きい株は土のまま、鉢カバーで重心を下げる方向で考えています。
置き場所の条件も無視できません。うちの室内は東向きの窓が中心で、午前中の2〜3時間だけ日が入り、あとは明るい日陰です。この環境で6ヶ月以上もっている株は限られていて、去年の秋に買ったカラテアは、直射日光が足りないのか葉が丸まったまま戻らず、春に処分しました。ハイドロカルチャーにしたところで光の問題は解決しません。土をやめるのと、置き場所が合っているかどうかは別の話です。ここを混同すると、方法を変えたのに同じ枯れ方をします。
もうひとつ、うちのモンステラは冬に葉が落ちて弱っています。弱っている株を環境ごと変えるのは、調べる前から分かるくらい分が悪い。移すなら元気な株から、というのは口コミでも共通していました。
来年の春に1鉢だけ試す
いま9月です。調べた説明では、植え替えや環境の変更は生長期にあたる春から初夏がよいとされていました。これから気温が下がる時期に始めるのは、失敗の原因が増えるだけなので見送ります。
やることは決めました。春に卓上サイズのセットを1鉢だけ買って、冷蔵庫の上に置く。水位の記録をスマホのメモに残して、夏まで様子を見る。それで問題がなければ、パキラを移す。ここまでやって初めて、土をやめたと言えるんだと思います。
土をやめれば掃除が楽になる、という期待だけで飛びつくと、水位の管理という新しい仕事が増えて終わる可能性があります。手間がゼロになる方法を探していたわけではなくて、床が汚れない手間に交換したいだけ。そう整理できたのが、調べていて一番の収穫でした。
この記事は植物まわりの個別記事です。枯らしながら何が残ったかは家に植物を置いた|枯らしながら残ったもので振り返っています。

