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ベビーベッドの組み立てに2時間半かかりました。妻の出産予定日の3週間前、寝室でひとり、説明書とにらめっこしながら。ネジの本数を数えたら38本。手回しのドライバーで38本締めると、後半は右手の親指と人差し指の付け根が痛くて力が入らなくなります。翌週に届いたベビーチェアを前にして、これは道具でどうにかすべきだと判断しました。買ったのは2,480円の小型電動ドライバー。結論から言うと、組み立ての時間は半分以下になりました。ただ、万能ではないし、危ない使い方もあります。
手回しが辛いのは、締める瞬間ではなく途中の20回転
使ってみて分かったんですが、家具の組み立てで疲れるのはネジを最後にぐっと締める場面ではありません。そこは1秒です。しんどいのは、長いネジをネジ穴の奥まで送り込むまでの、意味のない20回転から30回転のほうでした。
ベビーベッドのネジは長いもので約60mm。ピッチにもよりますが、手で回すと1本あたり20回以上は回します。38本なら単純計算で700回転以上。持ち替えて、当てて、回して、を繰り返すので、実際の作業時間の7割くらいがこの往復に消えていました。
電動ドライバーがやってくれるのは、まさにこの部分です。力ではなく回転数を肩代わりする道具だと理解してから、選び方が定まりました。パワーの数字を見ていた最初の頃は、選択を間違えかけていたと思います。
2,480円の小型セットを選んだ理由
最初に検討したのは、ホームセンターで見た1万円台のインパクトドライバーでした。これは早々にやめました。うちは賃貸で、壁や柱にネジを打つ作業はしません。木材に太いビスをねじ込む場面が発生しないので、あの出力は完全に過剰です。しかも本体だけで1.5kgくらいある。
買ったのは、ビットが47点入った小型のUSB充電式セット。約2,480円。ペン型とピストル型に変形するタイプで、本体はかなり軽く、片手で扱えます。
選ぶときに見たのは3点でした。1つ目が充電方式。単三電池ではなく内蔵バッテリーのUSB充電で、Type-Cで挿せること。家じゅうの充電ケーブルがType-Cで統一されているので、専用の充電器が増えないのは条件でした。2つ目がビットの本数と規格。47点入っていて、プラスの1番2番、六角、トルクスが揃っている。3つ目が形状。ペン型に伸ばせると、家具の裏側みたいに手が入らない場所で角度が作れます。
ベビーチェアを14分で組めた
届いた翌週に、ベビーチェアを組みました。ネジは20本ほど。手回しなら1時間近くかかったはずですが、実測で14分でした。妻がキッチンにいるあいだに終わったので、驚かれたのを覚えています。
やり方は単純で、最初の1〜2回転だけ手で回してネジをまっすぐ立てて、そこから電動に切り替える。最後の締め付けは、また手に戻す。この「手・電動・手」の順番が一番きれいに決まります。全部を電動でやると、斜めに入ったまま食い込んだり、締めすぎて木部を痛めたりします。
その後、ベビーゲートの取り付け、テレビ台の背板の締め直し、押入れ用ワゴンの組み立てでも使いました。半年で数えると、まとまった組み立てが4回、単発のネジ締めが十数回。1回あたり200円くらいの元は取れている計算です。
意外と効いたのが、正転と逆転の切り替えでした。組み立て中に部品の向きを間違えるのは毎回あることで、私も収納ワゴンの側板を上下逆に付けて、6本外して付け直しています。手回しだと、この「やり直し」が精神的にきつい。ボタンひとつで逆回転して数十秒で全部抜けると、間違いに気づいた瞬間の落ち込みがだいぶ軽くなります。組み立ての速さより、やり直しの軽さのほうが体感の差は大きかったです。
締めすぎて1箇所やらかした
失敗もしています。ベビーチェアの座面を留めるネジを、電動のまま最後まで回してしまいました。木ネジが板の奥まで食い込んで、ネジ頭が座面の面より1mmほど沈んだんです。
抜けたわけではないので実用上は問題ないんですが、周囲の木が少し盛り上がって白くなりました。子どもが触る場所なので、指で撫でて引っかからないのを確認して、そのままにしています。原因は単純に、止めどきを電動に任せたこと。
この価格帯の小型電動ドライバーには、上位機種にあるようなトルク調整のクラッチが付いていないものが多いです。うちのもそう。つまり自分でトリガーを離すまで回り続けるので、木材や柔らかいプラスチックに使うときは、締まりかけた感触が出た時点で手に持ち替えるしかない。ここは慣れが要ります。1回失敗すれば覚えます。
不満を3つ
まず、トルクが弱い。カタログ的な最大トルクは家具の組み立てには十分ですが、固着したネジを緩めるのは苦手です。半年前に強く締めたベビーゲートのネジを緩めようとしたら、電動では回らずビットが空回りしました。結局、手回しのドライバーで初動だけ緩めて、そこから電動に渡しています。緩めるのは手、送るのは電動という役割分担になりました。
次に、バッテリーの持ち方が分かりにくい。インジケーターは付いていますが、点灯の段階が粗くて、残りどれくらいかは正直読めません。うちは組み立て前夜に必ず充電しておく運用にしました。フル充電の状態でベビーベッド1台分は余裕で持ったので、容量そのものに不足はないです。
3つ目が、ビットケース。47点が並んでいるのは壮観ですが、実際に使ったのはプラスの2番と1番、あとは六角の数本で、6ヶ月で7種類ほどです。ケースは幅20cm近くあって、収納の一等地は取れません。うちはクローゼットの上の棚に、工具セットと並べて置いています。
夜に使えるかどうかは、音で決まる
乳児がいる家で電動工具を使うとき、一番気にしたのは音でした。子どもの寝室と作業する場所が壁1枚しか離れていないので。
結論としては、この小型タイプの動作音は「電動歯ブラシより少し大きい」くらいでした。連続で回しているときのモーター音より、ネジが締まりきってビットが空転する瞬間のカリッという音のほうが響きます。うちは、子どもが寝ている部屋の隣ではやらない、リビングでやるならドアを閉める、という運用にしました。それで夜21時台の作業でも起きたことはありません。
これがインパクトドライバーだと話が変わります。あちらは打撃で締めるので、カカカカという音が明確に響く。集合住宅で夜に使う道具ではないと思います。賃貸のマンションで、子どもが寝てから静かに家具を組みたい、という条件だと、選択肢はかなり絞られます。私が小型を選んだ理由の半分は、実はこの音でした。
ついでに、ペン型に折りたたんだ状態だと本体が短いので、狭いところで振り回さずに済みます。ベビーゲートの下側のネジを締めたとき、床に膝をついた姿勢のまま手首だけで作業できました。取り回しの良さは、音とセットで「家の中で使えるか」を決めています。
買わなくてよかった人もいると思う
正直に書くと、組み立て家具を年に1回しか買わない家なら、2,480円でも要らないと思います。手回しのドライバーで足ります。私も子どもが生まれていなければ買っていません。
効いたのは、半年のあいだにベビーベッド、ベビーチェア、ベビーゲート、収納ワゴンと、組み立てが立て続けに発生したからです。乳児がいる家は、生活が3ヶ月単位で変わるので家具の入れ替えが多い。しかも作業できる時間は子どもが寝ている1時間だけ。まとまった時間が取れないほど、時間を短縮する道具の価値が上がる。この構図に気づいてからは、迷いませんでした。
逆に、これから本格的にDIYをやるつもりなら、この価格帯は物足りなくなるはずです。私の使い方が「賃貸で、家具を組んで、たまに締め直す」に限定されているから、ちょうど収まっている。自分がやらない作業のために出力を買わない、というのが今回の学びでした。
この記事は家の修理の個別記事です。賃貸でどこまで自分でやるかは家の小さな不具合を自分で直す|賃貸でどこまでやるかで整理しています。

