※ この記事にはプロモーションが含まれています。
前の家で、技術書を10冊ほどダメにしました。ダンボールに詰めて押し入れの床に直置きし、半年ほど放っておいたやつです。開けたら小口に茶色い点が散っていて、いくつかは背表紙の内側が黒ずんでいた。捨てるしかありませんでした。
本が増えて置き場所が足りなくなると、とりあえず箱に入れて押し入れへ、という流れになります。私もそうでした。ただ、押し入れは家の中でいちばん湿気がこもる場所のひとつです。入れる前にやることを決めておかないと、同じことを繰り返します。今回はその手順の話です。
押し入れの湿度を先に測った
失敗のあと、まず温湿度計を押し入れに置きました。1,000円くらいの安いやつです。梅雨どきに測ってみると、リビングが62%のときに押し入れの中は72%。10%ほど高い。しかも扉を閉めっぱなしにしていると、雨が続いた週はもっと上がりました。
カビは一般に、湿度が60〜65%を超えて温度が20〜30度あたりだと生えやすいとされています。日本の6月から9月の押し入れは、その条件をほぼ満たしてしまう。「なんとなく湿っぽい」ではなく、数字で見ると諦めがつきます。これは対策しないと無理だな、と。
ちなみに温湿度計は、押し入れの上段と下段で別々に測ったほうがいいです。うちは下段のほうが3〜5%高かった。冷たい空気が下に溜まるからだと思います。本を下段に押し込んでいたのが、そもそも失敗でした。
測ってみて意外だったのは、扉を開けている時間の影響が大きかったことです。休日に半日ほど開けっぱなしにした日は、夕方の値がリビングとほぼ同じまで落ちていました。逆に、平日に4日連続で開けなかった週は、リビングとの差が12%まで開いた。湿気そのものより、空気が動かないことのほうが問題だったわけです。この結果が、あとに書く「開ける日を決める」につながりました。
入れる前にやる4つのこと
順番に書きます。まず本を乾かす。梅雨のあいだにしまうのは避けて、晴れが2〜3日続いた日にやります。本自体が湿気を吸っているので、閉じたまま箱に入れると、その水分が箱の中に閉じ込められる。私は扇風機の前に立てて半日置くようにしました。地味ですが、これが一番効きます。
次に汚れを落とす。カバーの表面をから拭きするだけです。手垢や食べこぼしの跡はカビの栄養になるらしいので、気になるものだけ軽く。濡れた布は使いません。
三つめが入れ物を替える。ダンボールをやめました。段ボールは湿気を吸って自分で湿る上に、紙なのでカビも生えます。うちは中身が見える衣装ケースに変えました。ただし密閉すればいいというものでもなくて、湿った本を密閉すると逆に最悪になります。だから一つめの「乾かす」が先。
四つめが床から浮かせる。すのこを敷きました。ホームセンターで桐のすのこが1枚700円くらい。押し入れ下段に2枚並べて、その上にケースを置いています。壁からも5cmほど離す。押し入れの奥の壁は外壁に接していることが多くて、冬場はそこが結露します。うちの部屋も、北側の壁に手を当てると1月はひんやり冷たい。そこにケースをぴったり寄せていたら、いずれ同じことになります。
この4つのうち、順番を入れ替えてはいけないのが「乾かす」を最初に持ってくることだけです。あとの3つは順不同で構いません。逆に言うと、湿った本をきれいな衣装ケースに入れて、すのこの上に置いて、除湿剤まで入れる。これをやると密閉された箱の中で水分が本のあいだを行ったり来たりするだけになります。前の家でやらかしたのは、まさにこれに近い状態でした。
除湿剤は「置く」より「挟む」ほうが難しい
そのうえで除湿剤を入れます。うちが使っているのはシート型のシリカゲルです。着物の保管用として売られているもので、1シート1,430円ほど。薄い板状で、ケースの底や本の上に平たく置けます。
選んだ理由は、商品説明によると天日干しや加熱で乾かせば繰り返し使えるタイプだからです。使い捨ての水が溜まるタイプは、置き場所によっては倒れて濡れるのが怖い。本の近くで水を溜めたくないというのが正直なところでした。
不満もあります。単価が高い。1シートで1,430円というのは、衣装ケース用の除湿シートが12枚で1,500円前後で買えることを考えると、面積あたりではかなり割高です。着物用として作られている以上、値段の理由はあるんでしょうけど、本の収納にだけ使うなら安い12枚入りのほうが合理的です。私は最初の1ケースをこれで試して、残りのケースには12枚入りの安いほうを入れました。
もうひとつ、シート型は本の「間」には挟めません。平置き前提なので、本を立てて並べたケースだと底に敷くくらいしかできない。立てて詰めるなら、粒状のものを不織布の袋に入れて隙間に落とし込むほうが向いています。ここは形状の限界です。
3ヶ月に一度、扉を開ける日を決めた
いちばん大事なのは、たぶんこれです。しまったら忘れる。それが本当の原因でした。
今はカレンダーに、3月・6月・9月・12月の最初の日曜に「押し入れ換気」と入れています。やることは単純で、扉を全開にして扇風機を30分ほど回すだけ。ついでに除湿剤の状態を見て、シリカゲルなら色が変わっていないか確認します。所要時間は10分もかかりません。
雨が続いた週は前倒しします。今年は7月の初めに10日ほど雨が続いたので、そのタイミングで一度開けました。除湿機を持っている人なら、押し入れの前に向けて2時間ほど回すのが早いと思います。うちは持っていないので、扇風機と、窓を開けるのを組み合わせています。エアコンの除湿を使う日は、押し入れの扉を10cmだけ開けておく。この「10cmだけ」を習慣にしてから、梅雨の差が縮まりました。
6月の回だけは、ケースを1つ開けて中の本を数冊抜き、においを嗅ぐようにしています。カビは見た目より先ににおいで分かることが多い。かび臭いと感じたら、その週末に全部出して干します。去年の6月に1回だけ「ちょっと来てるかも」というケースがあって、そのときは全部出して2日干しました。以降は何もありません。
置く場所を選べるなら押し入れを避ける
手順の話をしておいてなんですが、そもそも押し入れに入れないのが一番です。うちは2LDKの賃貸で収納が限られているので全部は無理でしたが、優先順位はつけました。
買い直しがきかない本、高かった本、また読む可能性がある本は、押し入れではなく部屋の棚に出しています。逆に、資料として持っているだけで開かないものは押し入れ行き。判断基準を「大事かどうか」ではなく「もう一度買えるかどうか」にしたら、迷いが減りました。
あと、押し入れの中でも上段のほうが条件はましです。湿度が低めで、床からも離れている。うちは上段の奥に本、手前に季節家電、下段にはケースを置く、という配置に落ち着きました。
それと、子どもが生まれてから絵本が一気に増えて、押し入れの容量計算が狂いました。生後5ヶ月の時点で、いただきものも含めて絵本が20冊近くある。こちらは日常的に出し入れするので押し入れには入れませんが、そのぶん棚が埋まって、押し出された技術書が押し入れ行きになる。置き場所の問題は、どこか一箇所だけでは完結しないのが厄介なところです。だから、押し入れに入れるものが増える前提で、ケースは最初から1つ余らせておくようにしました。
最後に
本のカビ対策は、除湿剤を買って終わりではないです。乾かしてから入れる、ダンボールをやめる、床から浮かせる、そして定期的に開ける。この4つのうち、お金がかかるのはすのこと除湿剤くらいで、合計しても3,000円ちょっと。10冊捨てた損失に比べれば安いものでした。
数字で言うと、湿度60%を超えさせない、というのが目安になります。ただ押し入れの湿度を常時60%以下に保つのは現実には難しいので、下げる努力より、こもらせない工夫のほうが効いているというのが今のところの実感です。開ける日を決める。それだけで、だいぶ違いました。
この記事は本の置き場所と道具の個別記事です。置き場所を決めるまでの全体は本が増えた家で置き場所を決めた|読む前に置き場所にまとめています。

