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瞬間接着剤があれば何でも直せると思っていた時期があります。実際には、割れたプラスチックのおもちゃを白く曇らせ、サンダルのゴムを1日で剥がし、指と指をくっつけました。3件とも同じチューブでやった失敗です。接着剤は「強さ」ではなく「素材の組み合わせ」で選ぶものだと理解するまでに、たぶん5本くらい無駄にしています。この1年で覚えた使い分けを、うちで実際に直したものを並べながら書きます。
瞬間接着剤でやった3つの失敗
ひとつ目。子どものプラスチック製のガラガラが割れて、瞬間接着剤でくっつけました。翌朝見たら、接着面の周りが霜のように白くなっている。いわゆる白化です。瞬間接着剤は硬化するときに成分が気化して、周囲の面に付着して白く曇らせることがあると説明されています。透明なプラスチックほど目立つ。おもちゃとしてはくっついたものの、見た目が完全に台無しになりました。しかも口に入れる月齢だったので、結局そのおもちゃは処分しています。
ふたつ目。私のサンダルのソールが少し剥がれてきたので、同じ瞬間接着剤を塗って圧着しました。翌日、履いて外に出たら30分で元通り剥がれた。ゴムは伸び縮みする素材なので、硬く固まる接着剤とは相性が悪いんですね。硬い層と柔らかい層の境目に力が集中して、そこから割れる。これも仕組みを知らずに強さだけ見ていた結果です。
3つ目は単純に、親指と人差し指がくっつきました。パニックにならずに済んだのは、無理に引き剥がさなかったからだと思います。ぬるま湯につけてゆっくり動かしていたら、10分ほどで離れました。皮膚は普通に接着対象になるので、乳児のいる部屋で作業しないのは大前提です。うちは接着剤を使う作業は必ず子どもが寝てから、机の上にビニールを敷いてやることにしました。
素材の組み合わせで、選ぶものが変わる
整理すると、家庭で出てくる素材はだいたい決まっています。木、紙、布、金属、陶器、そしてプラスチックとゴム。厄介なのは後ろのふたつです。
木と紙は木工用ボンドで足ります。白い酢酸ビニル系のやつ。乾くと透明になって、木の繊維に染み込んで固まるので相性がいい。うちは子どもの工作用に買ったものを、家具の合板が浮いたときにも使いました。
陶器や金属は、エポキシ系の2液混合タイプが強いとされています。主剤と硬化剤を混ぜて使うもので、硬化に数分から数時間かかるぶん、硬くて厚みのある層を作れる。ただ、混ぜる手間があるので、私はあまり登場させていません。
問題がプラスチックです。ひと口にプラスチックといっても、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は表面に接着剤が食いつきにくい素材として知られていて、普通の接着剤では基本的に付きません。収納ケースや洗面器の類はだいたいPPかPEなので、うちで割れやすいものほど接着が難しいという構図になっていました。専用のプライマーを使う製品もあるようですが、私はそこまで手を出していません。
多用途の1本に集約した
あれこれ買っては半分残して固めるのを繰り返して、最終的にうちの常備は2本になりました。木工用ボンドと、多用途タイプの強力接着剤です。
多用途のほうは、3Mのプレミアゴールド スーパー多用途2という透明タイプ。20gで約699円です。金属、木、陶器、革、布、それに一部のプラスチックやシリコーンまで対応するとうたわれている製品で、うちが対応表を見て選んだのはこの守備範囲の広さでした。
実際に使ったのは、この半年で4件。ベビーチェアのプラスチック製のトレイの爪が折れた箇所、サンダルのソール、木製の踏み台の脚のぐらつき、それと妻のバッグの革の持ち手が剥がれたところ。全部くっついて、今のところ再発はしていません。特にサンダルは、瞬間接着剤で失敗した同じ箇所です。硬化後にわずかに弾力が残るタイプなので、動く素材に向いているのだと思います。
使い方で気をつけているのは3点。塗る前に接着面の油分と汚れを落とすこと、薄く塗ること、そして圧着してから触らないこと。特に薄く塗るのは重要で、私は最初、多ければ強いと思って盛っていました。はみ出した分が固まって透明な塊になり、見た目が悪いうえに強度も上がりません。
この接着剤の不満
いいことばかりではありません。まず、硬化に時間がかかります。仮固定できるまで数十分、本来の強度が出るまで24時間という前提で動く必要がある。瞬間接着剤の「数秒でくっつく」に慣れていると、最初はもどかしいです。うちはサンダルを直したとき、洗濯ばさみで挟んで一晩放置しました。
次に、匂い。溶剤系なので、換気しないとそれなりにきます。乳児がいる部屋では絶対に開けたくない。私はベランダに面した窓を開けて、キッチンのカウンターで作業しています。冬場はこれがけっこう辛い。
3つ目が、残りの管理です。20gは家庭用としては十分な量ですが、一度開けたチューブは口が固まりやすい。私は使い終わったら口をティッシュで拭いてキャップを締めるようにしていますが、それでも2本目は半分残したまま固めました。ノズルを針で通せば復活することもあるものの、毎回それをやるのは面倒です。安いから大きいのを買うより、使い切れる量を買うほうが結果的に安いという当たり前の結論に、5本使ってから辿り着きました。
接着剤で直さないと決めたもの
使い分けを覚えると同時に、直さないものも決めました。
- 口をつける食器。欠けたマグカップは接着せずに処分する。接着剤の成分が食品に触れる前提で作られていないものが多いので
- 子どもが口に入れる可能性のあるおもちゃ。接着部が外れて小さい破片になるほうが怖い
- 荷重がかかる家具の構造部分。椅子の脚など、体重が乗る箇所は接着ではなくネジで留め直す
ベビーチェアのトレイを接着したときも、爪の部分は荷重がかからない位置だったから許容しました。もし脚が折れていたら、接着せずに買い替えていたと思います。安全に関わる部分で、自分の接着技術を信用しないというのが今のところの方針です。
そもそも接着しないほうが早い場面もある
もうひとつ、遠回りして気づいたことがあります。壊れた物を見たときに、反射的に接着剤を探すのをやめました。
きっかけは、テレビ台の背板です。板の下の角がぱかっと浮いてきて、最初は木工用ボンドで貼ろうとしました。でもよく見ると、浮いていたのは接着が剥がれたからではなく、板を留めているネジが緩んで板全体が下にずれていたからでした。ネジを締め直したら浮きは消えた。接着剤を出すまでもなかったわけです。
似たようなことが、ベビーゲートの部品でもありました。カバーが外れて落ちてくるので接着しようとしたら、実は下の爪がはまっていないだけで、押し込んだらパチンと戻った。外れているのか、壊れているのかを先に見分ける。ここを飛ばして接着すると、本来は元に戻せた部品が、接着剤で固定されて二度と分解できなくなります。
特に賃貸で使っている家具は、いずれ引っ越しで分解する可能性がある。私は今、接着する前に必ず「これは分解する日が来るか」を一度考えるようにしています。来ると思ったら、接着ではなくネジか、貼ってはがせるテープで済ませる。この判断を挟むようになってから、接着剤の消費量は明らかに減りました。
今の常備は2本
木工用ボンドと多用途の強力接着剤。この2本で、この1年に起きた接着の必要は全部片付きました。瞬間接着剤は在庫が切れてから買い足していません。速さが要る場面が、家の中には思ったほどなかった。
接着剤売り場は種類が多くて、どれも「超強力」と書いてあります。あれを強さの順に並べようとすると、たぶん永久に選べません。見るべきは強さの表示ではなく、パッケージの裏にある対応素材の表でした。直したい物の素材を先に確定させてから売り場に行く。それだけで、私が5本かけて覚えたことは飛ばせます。
この記事は家の修理の個別記事です。賃貸でどこまで自分でやるかは家の小さな不具合を自分で直す|賃貸でどこまでやるかで整理しています。

