六角レンチ|家具に必ず付いてくるあれ

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引っ越しの荷解きが終わったあと、キッチンの引き出しの奥から六角レンチが5本出てきました。L字の、あの薄い金属の棒。どれがどの家具に付いてきたものか、誰も覚えていません。捨てるに捨てられず、かといって使いもしない。この状態のまま2年くらい放置していました。転機は、ダイニングチェアがギシギシ言い出したこと。犯人は緩んだ六角ボルトで、直したのは付属品ではなく別の道具でした。

付属の六角レンチが使いにくい理由

家具に付いてくる六角レンチが働かないのには、はっきりした理由があります。短いからです。

うちに転がっていた5本を測ったら、長いほうの辺が7cmから9cm、短いほうが2cm前後でした。六角ボルトを締めるとき、力は「回す腕の長さ」で決まります。7cmの腕でボルトを締めるのは、7cmのスパナで回すのと同じこと。指先で握って回すことになるので、しっかり締まりません。

もうひとつが、材質と精度。付属品は基本的に「1回組み立てられればいい」設計です。角が少し丸いものもあって、力をかけるとボルトの穴のほうが先に舐めます。六角の穴が丸くなると、ドライバーのネジ舐めよりたちが悪い。もう工具が噛みません。

それと、これが一番の問題ですが、付属品は必ずなくなる。組み立てが終わった達成感で、その辺に置く。掃除のときに引き出しに放り込まれる。半年後に締め直そうと思っても、どのサイズだったか分からない。うちの5本がまさにその成れの果てでした。

サイズは自分の家の分だけ分かればいい

六角の規格はミリ単位で刻んであって、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mmあたりが一般的です。全部揃える必要があるかというと、家庭ではまずありません。

うちの家具を実際に当てて調べてみました。ダイニングチェアの脚が4mm、ダイニングテーブルの天板固定が5mm、ベビーベッドの柵が4mm、テレビ台の脚が3mm、ベビーチェアが4mm。組み立て家具の主力は完全に4mmと5mmでした。次点で3mm。6mm以上は1箇所もありません。

これが分かってから、収納が一気に楽になりました。私は家具ごとにサイズをメモアプリに書いて、家具の裏側にもマスキングテープで「H4」とだけ書いて貼っています。次に緩んだとき、当てて確かめる工程が丸ごと消える。締め直しは3分で終わる作業なので、その3分のうち1分がサイズ探しだと割に合いません。

ダイニングチェアは、締め直しで直った

本題のダイニングチェアです。買って半年、座るたびに背もたれのあたりからギシッと鳴るようになりました。妻は「もう寿命なんじゃないか」と言うし、私も買い替えの値段を調べ始めていました。

ひっくり返して脚の付け根を見たら、六角ボルトが4本。うち2本が、指でつまんで回るくらい緩んでいました。座って立つ動作の繰り返しで、少しずつ戻っていたわけです。締め直したら、音は完全に消えました。所要時間4分。

それ以来、椅子2脚とテーブルは3ヶ月に1回、締め直すことにしています。カレンダーに繰り返しの予定を入れました。実際、毎回1本か2本は緩んでいます。木製の組み立て家具は、締めたら永遠にそのままではない。これは知っておくと家具が長持ちします。子どもが乗ってよじ登るようになる前に、習慣にしておきたかった。

結局、7本組のセットを1つ買った

2年間ためらっていた決着が、1,380円で付きました。買ったのはPWTという自転車工具のブランドの六角レンチセットで、1.5mmから6mmまでの7本組。先端がボールポイントになっているロングタイプで、サイズごとに色が違うホルダーに刺さっています。

PWT 六角レンチセット ヘックスレンチセット アーレンキー 六角棒レンチ レインボー ボールポイント ロング 7本組 1.5-6mm 滑り

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これで足りた理由は、単純に長さです。長い辺が10cmを超えるので、付属品の7cmとはてこの腕が4割ほど違う。指先でつまんで回していたのが、手のひらで握って回せるようになりました。ダイニングチェアの4本を締め直す作業が、体感で半分の力で済んでいます。

ボールポイントも効きました。先端が丸いので、ボルトに対して斜めからでも挿さります。テーブルの天板裏のように、正面から手が入らない位置のボルトに、寝転がったまま届く。ただし、これは斜めのまま強く締めると先端が欠けると説明されている使い方でもあるので、私は挿し込むところまでをボールポイント側でやって、締めるのは反対の平らな側に持ち替えています。

不満もあります。まず6mmまでしかありません。うちの家具は最大5mmなので今は困っていませんが、8mmを使う家具が来たら買い足しになります。次に、色分けが思ったほど頼りにならない。虹色の焼き色なので綺麗ではあるんですが、廊下の照明の下だと青と紫の見分けがつきません。結局、握って軸の刻印を読んでいます。あと、ロングなのが裏目に出る場所もありました。ダイニングテーブルの幕板との隙間が3cmしかない箇所は、長い側が壁に当たって回せない。ここだけは付属のL字レンチの短いほうを使っています。付属品が全部無駄だったわけではなく、狭所専用として残す価値はある。うちの5本のうち、4mmと5mmの2本だけは工具ケースに移して残しました。

緩む家具と、緩まない家具がある

3ヶ月ごとに締め直すようになって気づいたことがあります。緩むのは決まった家具だけでした。

緩むのは、ダイニングチェア2脚とベビーチェア。共通しているのは、人が乗り降りするたびに荷重の向きが変わる家具です。座って、立って、体重が斜めにかかる。この繰り返しでボルトがじわじわ戻ります。逆に、テレビ台と本棚は半年で一度も緩んでいませんでした。置いてあるだけで、力の向きが変わらないからだと思います。

ベビーベッドは中間でした。柵の上げ下げをする部分のボルトだけ、2回に1回くらい少し緩んでいる。動く部分は緩む、動かない部分は緩まない。当たり前といえば当たり前なんですが、家じゅうを全部点検する必要はなくて、動く家具と、人が乗る家具だけ見ればいいと分かったのは収穫でした。点検が10分から4分になったのはこれが理由です。

ちなみに、緩みすぎている箇所に強力なネジ止め剤を使う手もありますが、私は家庭の木製家具ではやりません。次に分解するときに外せなくなるのと、引っ越しの多い賃貸暮らしだと家具を組み直す機会があるので。締め直せる状態のまま維持するほうが、うちの生活には合っています。

捨てた3本と、残した2本

残りの3本は処分しました。サイズを測ったら2mm、2.5mm、8mm。今の家具に該当する箇所がひとつもなかったので、持っていても永久に使いません。金属ゴミとして出しました。

ここで学んだのは、家具の付属工具は自動的に取っておくものではない、ということです。うちはその家に実在する家具のサイズだけ残すと決めました。判断に必要なのは、一度だけ全部の家具を回って当てる30分の作業。これをやると、工具箱の中身が半分になります。

もっと言えば、セットを1組買ってしまえば、付属品を残す理由の大半は消えます。うちが5本のうち2本しか残さなかったのも、狭所で使う短さだけが理由でした。「サイズが分からないから捨てられない」を解決するのは、収納の工夫ではなく、全サイズが手元にある状態です。2年悩んだ末に1,380円で片付いたので、もっと早く買えばよかったというのが正直なところ。

3ヶ月に1回、4分

今のところ、六角まわりでうちがやっていることは、3ヶ月に1回、椅子とテーブルのボルトを4分かけて締め直すだけです。それだけで、買い替えを検討していた椅子が半年以上おとなしくしています。

子どもが歩き出したら、椅子によじ登る日が来ます。そのときにガタつく椅子があるのは、うるさいという以前に危ない。締め直しは修理というより点検で、道具さえ手元にあれば、家具の寿命は普通に伸びる。引き出しの奥で行方不明になっていた5本を見ていた頃には、思いつきもしませんでした。

この記事は家の修理の個別記事です。賃貸でどこまで自分でやるかは家の小さな不具合を自分で直す|賃貸でどこまでやるかで整理しています。

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