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チェーンに油を差すという作業について、私はずっと「やったほうがいいらしいけど、どこまでやるのか分からない」状態でした。最初に買った油が、そもそもチェーン用ではなかったところからのスタートです。
今は月1回、駐輪場で5分で終わる手順に落ち着いています。完璧な整備ではありません。ただ、続けられる範囲でやるとこうなる、という記録として書いておきます。
きっかけは、走り出しの金属音だった
ある朝、駅に向かって漕ぎ出した瞬間に、ペダルを踏むたびカラカラという乾いた音がしました。それまではしていなかった音です。
子どもが生まれてから自転車に乗る回数が月20回から6〜8回に減って、10日以上空くことが普通になりました。間隔が空くと、前の状態を覚えていないので変化に気づきにくい。この日は音がはっきりしていたから気づけたけれど、その前の数週間はたぶん徐々に悪くなっていたはずです。
うちのマンションの駐輪場は屋根はあるものの半屋外で、横から降る雨は普通に当たります。6年乗った自転車のチェーンは、油が抜けて表面がうっすら赤茶けていました。
最初に買った油が間違いだった
その日の帰りにホームセンターに寄って、いちばん見慣れた青い缶の防錆潤滑スプレーを買いました。300円くらい。とりあえずこれで良いだろうと思って、チェーンにひと通り吹いた。
音は確かにその場で消えました。ただ2週間ほどでまた鳴り始めた。それで調べ直したら、あの種類のスプレーは浸透性と防錆が主目的で、チェーンの潤滑を長く保つ用途には向かないという説明があちこちに出てきました。もともと付いていた油まで流してしまう、という指摘もある。
つまり私は、油を差したつもりで、油を落としていた可能性があるということです。ここは自分で成分を検証できる話ではないので断定はしませんが、少なくとも「2週間で音が戻った」という結果は事実として残っています。
この失敗が分かりやすかったのは、缶に「チェーン用」と書いていないものを勝手にチェーン用だと思い込んだ、という単純な話だったからです。用途が書いてあるものを買う。それだけでした。
買い直したのは605円のチェーンルブ
次に買ったのが、自転車用のチェーンルブです。110mlで605円ほど。クリーンタイプと書かれているもので、粘度が低めで汚れを拾いにくいとされている種類でした。
スプレー缶ではなく、細いノズルの付いたボトルです。これがまず良かった。スプレーだと、狙っていない場所まで油が飛びます。前回は地面にも輪っかの跡が付いたし、リムやブレーキ側にかかっていないか毎回不安でした。ブレーキに油が付くのは危ないので、ここは飛ばない形状のほうが安心です。
ノズルの先を1コマずつに当てて、1滴ずつ落としていく。時間はかかりますが、狙ったところにしか付かない。1回で使う量は本当に少なくて、110mlのボトルは半年以上使っていて、まだ7割くらい残っています。1回あたり十数円という計算になります。
不満もあります。ひとつは、1滴ずつ落とすのが単純に面倒なこと。うちのチェーンは100コマ以上あるので、真面目にやると数分かかります。もうひとつは、ボトルのキャップが小さくて、駐輪場のコンクリートに落とすと転がっていくこと。実際に1回、側溝の手前まで転がっていきました。あと、クリーンタイプは粘度が低いぶん雨で流れやすいとされていて、雨に当たった週は早めに差し直しています。
実際にやっている手順
結局、月1回の空気入れと同じタイミングでやっています。第1土曜の午前中、駐輪場で。手順はこうです。
- ウエスでチェーンの表面をつまむように持ち、ペダルを逆回転させて黒い汚れを拭き取る
- 拭き取ったウエスが真っ黒になったら面を変えて、もう1周する
- ノズルの先を上側のチェーンに当て、1コマに1滴ずつ落としながらペダルを逆回転させる
- そのまま1〜2分置いて、油をコマの内側に染み込ませる
- もう一度きれいなウエスで、表面に余った油を拭き取る
所要時間は5分ほど。汚れがひどい日でも10分はかかりません。
最後の「拭き取る」が抜けがちで、私も最初はやっていませんでした。表面に残った油は潤滑には効かず、砂埃を呼ぶだけだと説明されています。実際、拭き取りを省いた月は、翌月にチェーンが明らかに黒くべたついていました。
もうひとつ、うちの自転車はチェーンケースがハーフカバーなので、下側のチェーンが露出しています。これが全部覆われたフルカバーの車種だと、そもそも手が入らない。その場合はケースの隙間から差すか、素直に自転車店に頼むことになると思います。車種によってできる範囲が違うので、ここは自分の自転車を見てから決める話です。
子どもがいる家での、ちょっとした事情
整備をリビングでやらない、というのは早い段階で決めました。油の匂いと、拭き取ったウエスの扱いがあるからです。
使い終わったウエスは真っ黒になります。これを室内のゴミ箱に入れると、生後5ヶ月の子が触る可能性がある月齢ではないにせよ、いずれ触る。うちは駐輪場に持っていく分だけ古いTシャツを切って持ち出して、作業が終わったらその場でポリ袋に入れて口を縛るようにしています。ベランダに一時置きして、翌週のゴミの日に出す。
油を差したあと手を洗うのも、抱っこの前には必須です。チェーンルブの容器には用途と注意書きが書いてあるので、そこは読んだうえで、直後に子どもを抱かないようにしています。神経質かもしれませんが、手についた黒い汚れを見たあとだと、そうしたくなる。
置き場所についても、110mlのボトルは玄関の下駄箱の一段目に、電動空気入れと一緒に入れています。整備道具をまとめておくと、月1回の作業のときに探さなくて済む。探す時間が発生するタスクは、たいてい続きません。
どこまでやるか、という線引き
調べていると、もっと本格的な手順が出てきます。ディグリーザーで古い油と汚れを完全に落として、乾かしてから注油する。チェーンクリーナーという専用の器具を使う方法も紹介されています。
私はそこまでやらないことにしました。理由は3つあります。
ひとつ、洗浄剤を使うと洗い流した液の始末が必要で、共用の駐輪場ではやりにくい。ふたつ、乾燥待ちの時間が生まれるので、5分では終わらない。みっつ、うちの走行距離が月40km程度で、そこまでの整備を必要とする使い方ではない。
やらないことを決めておかないと、結局まるごとやらなくなるというのが、この1年で何度も経験したことです。完璧な手順を調べて、面倒になって放置するくらいなら、5分の手順を毎月やるほうがいい。
もちろん、これは私の使い方に合わせた線引きです。長距離を走る人や、雨天でも毎日乗る人なら、洗浄まで含める判断のほうが妥当だと思います。
7ヶ月続けてみて
あの金属音は、その後1度も鳴っていません。ペダルの重さも、感覚としては軽い側で安定しています。数値で測っているわけではないので、体感の話ではありますが。
副次的に良かったのは、月1回チェーンを触ることで、他の異常にも気づけるようになったこと。先月は、拭いている最中にチェーンの張りが緩んでいることに気づきました。これは自分では直さず自転車店に持っていって、調整してもらって880円。音が出る前に気づけたのは、毎月そこを見ていたからです。
油を差す作業そのものより、月に1回、自転車をちゃんと見る時間を作ったことのほうが効いている気がしています。605円のボトルは、そのきっかけとして買った、くらいの位置づけです。
この記事は自転車まわりの個別レビューです。使い方がどう変わったかは自転車を使う頻度が変わった|子どもができてからで振り返っています。

