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寝室のドアが「ギィ」と鳴るようになったのは、子どもが生まれて2ヶ月くらい経った頃でした。それまでも多分鳴っていたんですが、気にならなかった。寝かしつけた直後に部屋を出るとき、あの音が全部を台無しにするんですよね。3回に1回は起きる。実測ではないけど、体感としてはそのくらい。
それで潤滑剤を買ったんですが、最初に選んだものが間違いでした。きしみ音は「油を差せば止まる」ではなく「どこに、どの種類を差すか」で結果が全然違う。ここを理解するまでに2本無駄にしています。
最初にCRC 5-56を買って、2週間で戻った
ホームセンターで一番目立つ場所にあったのが、赤と黄色のいつものスプレーでした。500円くらい。とりあえずこれだろうと思って買って、ドアの蝶番に吹きました。
その場では静かになります。感動するくらい静かになる。ただし2週間で元に戻りました。正確には10日目くらいから、乾いた「キュッ」という音が復活して、3週間目には元通り。
あとで調べて分かったのは、あの手の製品は防錆と浸透がメインで、潤滑の持続はそれほど期待する設計ではないということでした。錆びて固まったネジを緩めるには最高なんですが、日常的に動く部分に長く効かせる用途ではない。パッケージにも「潤滑」と書いてあるので誤解しやすいんですが、用途が違うんですね。
もうひとつ失敗したのが、垂れたことです。蝶番に真っ直ぐ吹いたら、余った分が下の床に落ちました。賃貸のフローリングなので焦って拭きましたが、拭いた跡がしばらく妙にツヤツヤしていた。今思うと、ウエスに吹いてから塗るべきでした。
ベルハンマーに替えて、半年鳴っていない
次に買ったのが、スズキ機工のLSベルハンマースプレーです。420mlで2,970円ほど。潤滑剤としてはかなり高い部類で、正直これを買うのは躊躇しました。5-56の6倍の値段です。
結果としては、寝室のドアは半年以上鳴っていません。差したのは1回。冬に一度だけ「そろそろかな」と思って追加で吹きましたが、あれは予防で、鳴っていたわけではありません。
使い方は、付属の細いノズルを差し込んで、蝶番の軸の上側から1秒未満だけ吹きます。それ以上は要りません。吹いたらドアを10回くらい開け閉めして馴染ませて、はみ出した分を布で拭き取る。この「開け閉めして馴染ませる」を省くと、表面に乗っているだけで軸の中まで入っていかないので、効きが浅くなります。
気に入らない点もあります。まずにおいが強い。無臭ではなく、機械油系のにおいがはっきりします。子どもがいる部屋なので、吹いたあとは30分ほど窓を開けて、そのあいだは別の部屋にいてもらいました。においは半日でほぼ消えますが、吹いた直後は結構きます。
それから油なのでホコリを呼びます。蝶番のはみ出した部分は3ヶ月くらいで黒っぽくなりました。目立つ場所ではないので放置していますが、見える場所の金具に使うなら拭き取りを丁寧にやったほうがいい。
あと単純に量が多い。420mlは家庭で使い切れる量ではありません。私は自転車のチェーンと、ベビーゲートのヒンジと、玄関の鍵穴以外の可動部にも使っていますが、それでも半年で1割減ったかどうかです。中身が減らないので、正直コスパは値段ほど悪くないと思っています。
ノズルについても一言。細いノズルは使っているうちに必ずどこかへ消えます。私は1本目を1ヶ月で紛失して、テープで缶の側面に貼り付ける運用に変えました。ノズルなしで広く吹くと、狙っていない場所まで油まみれになります。蝶番のような狭い場所には、ノズルがないと話になりません。
樹脂とゴムには油を差さない
ここが一番の学びでした。油性の潤滑剤を樹脂やゴムに使うと、逆に傷める場合があるということです。
我が家で言うと、洗面所の折れ戸のレールと、クローゼットの引き戸の樹脂ローラーがこれに当たります。最初、ここにも同じスプレーを吹こうとして、製品の注意書きを読んで止めました。ゴムや一部のプラスチックへの使用は避けるように書かれていることが多いんですね。
こういう場所には、シリコン系のスプレーを使います。KUREのスーパーシリコンスプレーのような製品です。油膜ではなくシリコンの被膜で滑らせるタイプで、樹脂やゴムに使いやすく、乾いた仕上がりになるのでホコリも付きにくい。
ただしシリコンは持続が短いというのが実感です。クローゼットの引き戸には2ヶ月に1回くらい吹き直しています。金属同士がこすれる蝶番のような場所には向かない。使い分けです。
整理すると、金属の軸や蝶番には油性の潤滑剤、レールや樹脂ローラーやゴムパッキンにはシリコン系。この2本があれば、家の中のきしみはだいたい片付きます。逆に言うと1本では足りない。私はここを1本で済ませようとして2週間分の時間を無駄にしました。
もうひとつ、差す前に汚れを落とすのを忘れないほうがいいです。蝶番の軸のまわりには、長年のホコリと乾いた古い油が固まっていることがあります。そこに新しい油を乗せても、汚れごと押し込むだけで効きが悪い。私は乾いた歯ブラシで軽くこすってから吹くようにしてから、明らかに1回あたりの持ちが良くなりました。ここは順序の問題で、道具の問題ではありません。
吹いてはいけない場所がある
ドアの上に付いている油圧のドアクローザー。あれには吹きませんでした。内部にオイルが封入されていて、外から潤滑剤を差す設計になっていないからです。動きがおかしいなら調整ネジか交換の領域で、賃貸なら管理会社に連絡する話になります。
玄関のシリンダー錠も同じです。鍵穴には油を差してはいけない、というのは複数の鍵メーカーが注意喚起しています。ホコリを吸って固着する。鍵穴専用のパウダー系の潤滑剤が別に売られていて、そちらを使う必要があります。私は知らずに一度やりかけて、直前で止めました。
あとは火気。可燃性のガスを使っているスプレーが多いので、ガスコンロの近くや換気の悪い場所で使わない。当たり前の話ですが、洗面所のような狭くて窓のない場所で吹くとかなり充満します。うちの洗面所は換気扇を回しても心もとないので、対象の建具を外せるものは廊下に持ち出して作業しました。
音が変わらないなら、原因は油じゃない
1回吹いて変化がないなら、それは潤滑の問題ではない可能性が高いです。
我が家のリビングのドアは、潤滑剤を差しても「ゴッ」という鈍い音が残りました。よく見ると蝶番のネジが少し緩んでいて、ドアがわずかに下がって枠に当たっていた。プラスドライバーで締め直したら音は消えました。潤滑剤は関係なかった。
建て付けのズレ、ネジの緩み、戸当たりのゴムの劣化。この3つは油では直りません。特に戸当たりのゴムがつぶれて硬くなっているのは築年数が経った物件だとよくあるようで、そこは別の対策になります。閉まる音そのものがうるさい場合は、隙間テープやクッションテープで受け止めるほうが早い。
音の種類で切り分けると分かりやすくて、「キィー」と高く連続して鳴るなら軸の潤滑、「ガタッ」「ゴッ」と単発なら建て付けかネジ、「バタン」なら閉まる勢いの問題。私はこの3つを別々に対処してから、ようやく夜中に部屋を出られるようになりました。
ついでに書いておくと、賃貸で気をつけたいのは建具そのものに手を入れないことです。蝶番のネジを締め直す程度は元の状態に戻す作業なので問題ないと考えていますが、ドアを削る、金具を別のものに交換する、といったところまで行くと原状回復の話になります。私は「工具を使うのはネジを締めるところまで」と決めていて、それ以上は管理会社に連絡することにしました。実際、玄関ドアの立て付けについては一度連絡して、無料で調整に来てもらっています。自分でやる前に聞くほうが早い場面は普通にあります。
最後に
2,970円のスプレーを買うかどうかは、正直迷うと思います。私も迷いました。ただ、寝かしつけに失敗して1時間やり直す日が月に何回かあることを考えると、半年鳴らないというのは十分に元が取れています。
ひとつだけ先に決めておくといいのは、吹く前にウエスを1枚用意することです。垂れます。必ず垂れる。私は1回目でそれをやって、床を拭きながら反省しました。
この記事は家の修理の個別記事です。賃貸でどこまで自分でやるかは家の小さな不具合を自分で直す|賃貸でどこまでやるかで整理しています。

