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照明を買うときに出てくる「ルーメン」という単位が、ずっと感覚的に分かっていませんでした。810lmと聞いて明るさが想像できる人はたぶん少数派です。私も分からないまま「60W形相当」という表記だけを頼りに買っていました。
それで、家にあった測定器で自宅の各部屋を測ってみました。結論を先に書くと、ルーメンは家庭では測れません。測れるのはルクスです。この2つを混同していたのが、そもそもの理解の躓きでした。
ルーメンとルクスは別のもの
整理すると、こうなります。ルーメン(lm)は、光源が全方向に出す光の総量。電球そのもののスペックです。対してルクス(lx)は、ある面にどれだけ光が届いているか。机の上、床の上といった場所ごとの値になります。
だから同じ800lmの電球でも、天井にあるのと机の上にあるのとでは、手元のルクスはまったく違う。距離の二乗で減っていくので、近づけると一気に明るくなります。実際、うちのデスクライトを机から30cmと60cmの位置で測ったら、値が4分の1近くまで落ちました。理屈どおりで、ここは納得感がありました。
ルーメンを正確に測るには積分球という装置が要るそうで、個人の家でどうこうできるものではありません。買うときに見る数字がルーメン、家で確認できる数字がルクス。この対応関係が分かってから、カタログの読み方が変わりました。
測ったのは、土壌計のおまけ機能
正直に書くと、私は照度計を買ったわけではありません。使ったのは、シンワ測定のデジタル土壌酸度計です。ベランダで育てているオリーブとローズマリーの土の状態を見るために買ったもので、3,000円ちょっと。これに地温・水分と一緒に、照度の測定機能が付いています。
本来は「この植物を置く場所は日照が足りているか」を見るための機能です。それを室内で使いました。用途外の使い方なので、そこは差し引いて読んでください。
この機械の良いところは、表示が大きくて読みやすいことです。型番に「大文字」と入っているだけあって、老眼が始まった父でも読めていました。ボタンもほぼないので、迷いません。
一方で不満点もはっきりしています。まず照度の表示が段階的で、細かい数値が出ません。園芸用として「日なた・半日陰・日陰」の判断ができれば十分という設計なので、室内の数十ルクス単位の差を見る道具ではない。私が知りたかった「机の上は何ルクスか」を厳密に出すには力不足でした。
それと、センサーの向きで値がかなり変わります。手で持って角度が数度ずれるだけで表示が動く。据え置きで測るならいいですが、手持ちだと再現性が低いです。同じ場所を3回測って、毎回違う値が出ました。
ちゃんと室内の照度を測りたいなら、専用のデジタル照度計を買うべきだと思います。調べると2,000円台からあって、20万ルクスまで測れてセンサーが回転するタイプもある。私は次に買うならそちらにします。土壌計で室内を測るのは、あくまで「手元にあるもので大まかに見る」やり方です。
うちの部屋を測ってみた結果
それを踏まえたうえで、うちの数字を書きます。値は大まかなもので、±の幅はそれなりにあると思ってください。
まずリビング。8畳ほどで、天井のシーリングライトは4,000lm程度の表示がある機種です。床から70cmくらいの高さ、部屋の中央で測ると、だいたい200ルクス前後でした。壁際に寄ると150を切ります。部屋の中央と端で、体感以上に差があるのは意外でした。
次に仕事机。天井の照明だけだと、机上で150ルクス前後。ここにデスクライトを足すと、一気に600を超えました。私は在宅勤務で1日8時間ここに座っているので、この差はそれなりに意味があります。
洗面所は、鏡の前で250ルクスくらい。廊下は80前後。子どもの寝室は、常夜灯だけだと測定限界を下回って表示が出ませんでした。
目安の数字はどう決まっているのか
自分の家の数字が出たので、次は「それが妥当なのか」を調べました。
照度の目安については、JISで用途ごとの推奨値が定められていて、住宅の居間は団らんで150〜300ルクス、読書や勉強なら500〜1,000ルクス程度が目安として示されているとされています。事務所の執務室は750ルクスあたりが基準としてよく引かれる数字のようです。
これに照らすと、うちのリビングは団らん用としては下限に近いけれど範囲内。仕事机は天井照明だけだと明確に足りていなくて、デスクライトを足してようやく事務所の基準に近づく、という位置づけになります。数字を見たあと、デスクライトを常時点けるようになりました。今までは日中は消していたんですが、測ってみると足りていなかった。
もうひとつ、部屋の広さに対する必要ルーメンの目安もあります。シーリングライトの適用畳数として、6畳で2,700〜3,700lm、8畳で3,300〜4,300lm、10畳で3,900〜4,900lmといった基準が業界で決められていて、パッケージの畳数表示はこれに沿っている、と紹介されていることが多い。うちのリビングは8畳に4,000lmなので、ちょうど範囲の真ん中でした。
「60W形相当」という表記との対応
それまで私が頼りにしていた「60W形相当」という表記についても、ようやく意味が分かりました。これは消費電力の話ではなく、白熱電球の何W相当の明るさか、という言い換えです。実際の消費電力は7Wや9Wだったりします。
この相当表記とルーメンの対応も、業界で目安が決められていて、一般電球形なら40W形が485lm以上、60W形が810lm以上といった下限値が示されている、と紹介されていることが多いです。うちの電球のパッケージを見返したら、60W形相当のものに810lmと書いてありました。基準の下限そのものです。
ここで注意したいのが、同じルーメンでも配光が違うと手元の明るさが変わることです。全方向タイプと広配光タイプ、それに下方向に絞ったタイプがあって、天井のダウンライトに全方向タイプを入れると、光の一部は器具の中で無駄になります。逆にスタンドライトに下方向タイプを入れると、天井が暗くなって部屋全体は沈む。うちの廊下で実際に入れ替えて測ったら、同じ810lmの電球で床面のルクスが2割ほど違いました。数字が同じでも、届き方が違う。これは測らないと気づけませんでした。
測って初めて分かった、部屋の暗い場所
一番の収穫は、数字そのものより家の中に極端に暗い場所があると気づけたことでした。
具体的には、リビングの隅に置いてある子どものプレイマットの上です。ソファの影になっていて、測ると60ルクスくらいしかありませんでした。同じ部屋の中央が200なので、3分の1以下。昼間は窓からの光でごまかせていましたが、夕方以降は明らかに暗い。ここには小さいスタンドライトを1つ足しました。
暗い場所が目に悪いかどうかについては、私には判断できません。よく言われる話ではありますが、それを断定して書けるだけの根拠を私は持っていない。ただ、おむつのテープの位置や、離乳食の食器の底が見えにくかったのは事実です。作業のしやすさという、確認できる範囲の理由でライトを足しました。
ちゃんと測るなら何を買うか、調べた
土壌計のおまけ機能では足りないと分かったので、専用の照度計を調べました。まだ買っていないので、ここは調べた範囲の話として読んでください。
調べてみると、家庭で使う価格帯は3,000円前後からあるようです。測定範囲が200,000ルクスまで、センサー部分が回転して机の上に置いたまま天井方向を測れる、といった仕様が紹介されていることが多い。土壌計と違って数値が段階ではなく連続で出るので、「机の上は何ルクスか」を知りたいという私の用途にはこちらが合っています。
ただし注意点として、安価な照度計はLED照明への対応が製品ごとに違うと書かれていました。蛍光灯や白熱電球を前提に校正されたセンサーだと、LEDでは表示がずれることがあるそうです。仕事で使う数字を出すなら、LED対応を明記した上位機種か、校正証明書が付くものを選ぶことになる。家の明るさを把握したいだけの私には、そこまでは要らないという判断です。
正直なところ、土壌計のおまけ機能でも「この場所は暗い」という当たりはつきました。数字を厳密に知りたくなったら買う、くらいの温度感でいます。
最後に
ルーメンの目安を知りたくて始めた測定でしたが、結局いちばん役に立ったのは「自分の家の数字を持つこと」でした。買う前にカタログの数字を眺めるより、今の部屋が何ルクスかを知っているほうが判断が早い。
専用の照度計でなくても、手元に測れるものがあるなら一度やってみる価値はあると思います。ただし、私が使った土壌計は室内照度を正確に測る道具ではありません。傾向をつかむには使えた、という程度の話です。厳密な数字が必要なら、素直に照度計を買ってください。
この記事は照明の個別記事です。家の明かりを1年でどう変えたかは家の照明を1年かけて変えた|明るさより配置で振り返っています。

