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Web会議で音が悪いとき、原因は大きく2つに分かれます。回線のせいか、デバイスのせいか。この切り分けをしないまま機材を買うと、外れます。私は最初にマイクを疑って買い替えて、それでも直らなくて、結局原因が無線LANだったという回り道をしました。
切り分け方は単純で、症状の出方を見れば分かります。ここでは、うちで実際に起きたことをもとに、どう見分けてどう直したかを書きます。
症状で見分ける
回線が原因のときは、音が途切れます。言葉の途中がぶつっと抜ける、相手の声がロボットみたいになる、数秒遅れて届く、映像が止まって音だけ続く。共通しているのは「時間方向に壊れる」ことです。
デバイスが原因のときは、途切れません。ずっと聞こえているけれど、こもっている、小さい、背景の音が大きい、自分の声が相手に返ってエコーする。こちらは「音の質が壊れる」。
この違いはかなりはっきりしています。私が最初に相談されたときに聞いた症状は「声が途切れる」だったのに、マイクを買いに行こうとしていた。落ち着いて考えれば、マイクの性能で途切れは直りません。
もうひとつの見分け方が、再現性です。特定の時間帯だけ悪い、家族が動画を見ている時間に悪くなる、というのは回線側の疑いが濃い。逆に、いつやっても同じように悪いならデバイス側です。私は会議の日時と症状をメモに残して、3週間ぶんを見返しました。夕方に集中していたので、回線だと当たりをつけられた。
3つめの見分け方は、自分だけ悪いのか全員が悪いのかを聞くことです。同じ会議に5人いて、自分の声だけ途切れているなら自分側。全員が途切れているなら、その中の誰か、あるいは会議サービス側の問題です。会議のチャット欄で「私の声どうですか」と一言聞くのが、一番早い診断でした。
ちなみに、会議アプリには通信状況を表示する画面があります。Zoomなら統計情報のところに、遅延時間とパケットロスの数値が出る。ここでパケットロスが数パーセント出ていたら、ほぼ回線側で確定です。私はこの画面の存在を1年くらい知りませんでした。
うちで実際に起きていたこと
うちのマンションは光回線が入っていて、ルーターはリビングに置いてあります。私の作業机は寝室で、あいだに壁が1枚。この配置で、無線の速度が下がっていました。
測ってみると、リビングでは下り300Mbpsくらい出ているのに、寝室の机では60Mbps前後。しかも夕方は20Mbpsを切ることがある。マンションだと近隣の無線と電波が混み合うので、時間帯で変動します。
ただ、Web会議に必要な帯域は実はそんなに大きくありません。ビデオ通話でも数Mbpsあれば足りる、と各サービスの推奨環境には書かれています。つまり20Mbps出ていれば数字上は足りている。それでも途切れていました。
ここで効いていたのが、速度ではなく安定性のほうです。通信が一瞬詰まる、いわゆるジッターやパケットロスは、平均速度には表れません。音声はリアルタイムで届き続ける必要があるので、平均が足りていても瞬間的な詰まりで途切れます。速度測定の数字だけ見て「足りているから回線じゃない」と判断したのが、私の間違いでした。
有線に戻したら、あっさり直った
やったことは、リビングのルーターから寝室までLANケーブルを引いて、PCに直接つなぐことでした。カテゴリ6Aの5mのケーブルで、340円くらい。それだけです。
効果は初日の会議で分かりました。途切れが完全になくなった。夕方の混む時間帯でも同じです。半年経ちますが、回線が原因の途切れはあれ以来1回も起きていません。数千円のマイクを買う前に、340円のケーブルを試すべきでした。
ケーブル自体の選び方は、そこまで難しくないです。私が見たのはカテゴリと、より線か単線か、それとツメ折れ防止が付いているかの3つ。カテゴリは6Aにしましたが、家庭用の光回線なら5eでも足ります。より線のほうが柔らかくて取り回しやすいので、部屋をまたいで這わせる用途にはこちらが向いていました。
不満というか、面倒だった点もあります。まず、部屋をまたぐので扉のところでケーブルが挟まる。うちは扉の下の隙間を通していますが、開け閉めのたびに擦れるので、いずれ被覆が傷むと思います。モールで固定するのが本来は正しい。
それと、掃除のときに邪魔です。5mを床に這わせているので、掃除機をかけるときに毎回どかす必要がある。子どもがハイハイを始めたら、この配線は見直さないといけません。いまはケーブルカバーを買うか、中継機を置く方式に変えるか迷っています。
あと、最近の薄いノートPCにはLANポートがありません。私のMacもそうで、USB-Cのアダプタが別に必要でした。ここで千円ちょっと追加でかかっています。ケーブルだけ買って挿せないことに気づく、というのは実際にやりました。
有線にする前に、無線のまま試したこともあります。ルーターの5GHz帯に固定する、チャンネルを手動で空いているところに変える、PCの位置を少しずらす。どれも多少は効きましたが、夕方の変動そのものは消えませんでした。集合住宅で電波が混んでいる以上、無線で安定を取りにいくのは無理があると判断しました。
中継機も検討しましたが、中継すると理屈のうえでは往復ぶんの遅延が乗ります。安定性を求めているのに中継を挟むのは方向が逆だと考えて、やめました。結局、線を引くのが一番単純で確実でした。
デバイス側だった場合にやること
切り分けの結果がデバイス側だったなら、話は別の記事になります。私の場合は、回線を直したあとで残った「こもる」問題が、まさにデバイス側でした。
そこで効いたのは、口とマイクの距離を縮めることと、入力レベルを自動から手動に変えることです。両方0円。それでも足りなかったので、単一指向性のUSBマイクを4千円弱で買いました。
この順番で進めると、無駄な買い物が減ります。私は逆をやったので、原因ではないマイクを先に買いました。結果的にそのマイクは今も使っているので損はしていないんですが、途切れは直っていなかったので、一度は「高いのを買わないと駄目なのか」と考えかけた。危なかったです。
それでも直らないときに見たところ
有線にしても改善しないケースもあります。私が試したのは3つです。
ひとつめが、会議アプリ以外の通信を止めること。バックグラウンドでクラウドストレージが同期していたり、OSのアップデートが降ってきていたりすると、そこで帯域を持っていかれます。私は会議前に同期アプリを一時停止する運用にしました。
ふたつめが、PCの負荷です。音声処理はCPUを使うので、重いビルドを走らせながら会議に出ると音が乱れます。これは回線でもマイクでもなく、単純にPCが忙しい。私は会議中にビルドを回さないようにしました。
みっつめが、相手側の環境です。当然ながら、こちらを全部直しても相手の回線が細ければ音は悪い。全員が同じように聞き取りにくいのか、特定の人だけなのかを確認すると、自分側の問題かどうかが分かります。私は3ヶ月くらい、実は相手側だった問題を自分のせいだと思い込んでいた時期がありました。
音質が悪いという症状は、原因の候補が多いぶん、思い込みで動くと外れます。まず症状が「途切れる」のか「こもる」のかを見る。それだけで、340円で済むのか4千円かかるのかが決まりました。
この記事は音まわりの個別レビューです。在宅勤務の音を何から変えたかは在宅勤務の音問題|子どもが生まれてから全部変えたで振り返っています。

