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圧力鍋を2年間、カートに入れては消していました。理由はひとつで、買っても使わない未来がはっきり見えていたからです。実際、私の周りで圧力鍋を持っている人の半分くらいは、シンク下で眠らせています。結局うちは去年買って、いまのところ月に4回ほど使っています。買う前に考えたことと、半年使って分かったことを両方書きます。
前提を先に。我が家は妻と私と生後5ヶ月の子どもの3人暮らし。都内近郊の2LDK賃貸で、コンロはガス、食洗機あり。料理は妻と分担していて、平日の夕飯は交代で作ります。在宅勤務なので、昼に軽く仕込みができる日があるというのが、たぶん我が家特有の条件です。
2年間、買わなかったときの言い分
買わない理由は自分の中で3つありました。ひとつ、大きい。3.5Lクラスでも直径22cmほどあって、高さもある。うちのシンク下は棚板が固定されていて、背の高い鍋を入れると1段が丸ごと埋まります。ふたつ、洗うのが面倒そう。パッキンと圧力弁があって、普通の鍋のようには扱えない。みっつ、そもそも煮込み料理をそんなに作っていない。
3つ目が一番大きかった。カレーとシチューは作りますが、どちらも圧力鍋なしで作れます。豚の角煮は年に1回作るかどうか。玄米は炊いていない。「圧力鍋でしか作れないもの」が、我が家の食卓に存在しなかったんです。そこにスペースと5,000円を割く理由が見つからなかった。
周りに聞いてみたときの反応も、判断を鈍らせました。持っている人は「あると便利」と言うんですが、具体的に何を何回作っているかを聞くと、答えが曖昧なことが多い。逆に「最初の3ヶ月は毎週使ったけど、いまは年に数回」という正直な声もあって、これが一番リアルに聞こえました。道具を買うときに一番参考になるのは、褒めている人ではなく、飽きた人の話だと思っています。
怖いという感覚もあった
もうひとつ、口には出しにくい理由として、単純に少し怖かったというのがあります。圧力をかけて調理する道具なので、使い方を間違えると危ないというイメージが先にあった。実家に古い圧力鍋があって、母親が加圧中に近づくなと言っていたのを覚えています。
調べてみると、いまの家庭用圧力鍋には複数の安全装置が付いているのが一般的で、規定を超えた圧力は自動で逃げる構造になっているようです。とはいえ、取扱説明書に書かれている禁止事項――規定量を超えて入れない、加圧中に無理にフタを開けない、パッキンの劣化を放置しない――は、どれも守る前提の道具です。安全装置があるから何をしてもいい、という話ではないのは、買ってから改めて説明書を読んで理解しました。
状況が変わったのは離乳食だった
買う気になった直接のきっかけは、離乳食です。生後5ヶ月から始めて、にんじん、かぼちゃ、さつまいも、大根を柔らかく煮て潰す作業が週に何度も発生するようになりました。
これを普通の鍋でやると、にんじんが箸で潰せる硬さになるまで20分以上かかります。しかも火にかけっぱなしなので、その間キッチンから離れられない。子どもが泣き出したら火を止めて戻る、という中断が入ります。この「離れられない20分」が、平日の夕方だとかなりきつい。
圧力鍋なら、加圧して数分、あとは火を止めて放置しておけば圧が抜けるまで勝手に加熱が進みます。キッチンから離れられる時間が作れる。これが我が家にとっての購入理由でした。時短というより、拘束時間を減らす道具として見た、という感じです。
3.5Lを選んだ理由
買ったのはパール金属のクイックエコという製品で、3.5Lのもの。ガス火とIHの両方に対応していて、価格は4,700円ほどでした。うちはガスなのでIH対応は不要でしたが、同じ値段なら気にしません。
容量で迷いました。2.5L、3.5L、4.5L、5.5Lとあって、3人家族なら4.5Lが定番という情報をよく見ます。ただ、圧力鍋は満杯まで入れられません。一般的に容量の3分の2程度までとされていて、豆類はさらに少なめが目安です。つまり4.5Lでも実際に使えるのは3Lほど。
それでも3.5Lにしたのは、離乳食の少量調理が主用途だったからです。大人3人分のカレーを作るには少し小さい。実際、カレーは5皿分が限界で、それ以上作りたい日は普通の鍋を使っています。ここは想定通りの妥協です。用途が「少量を頻繁に」なら小さいほう、「まとめて作り置き」なら大きいほう。この基準で選べば、たぶん外しません。
半年使って、実際の登板回数を数えた
理屈っぽい性格なので、購入から半年、使った日をカレンダーにメモしていました。合計で26回。月あたり4回強です。内訳は、離乳食用の野菜を柔らかく煮たのが14回、カレーやシチューが5回、豚の角煮が2回、大豆やひよこ豆を茹でたのが3回、玄米が2回。
正直、想定より使っています。特に豆類が予想外でした。乾燥ひよこ豆を一晩水に浸けて、圧力鍋で10分。これで缶詰の3分の1くらいのコストになる。カレーに入れると食べ応えが出て、子どもの離乳食にも取り分けられる。この使い方は買う前に想像していませんでした。
逆に、玄米は2回でやめました。炊けることは炊けるんですが、炊飯器のほうが失敗しないし、洗い物も少ない。圧力鍋にしかできないことと、圧力鍋でもできることは違います。後者は結局、慣れた道具に戻りました。
使ってみて分かった、面倒な部分
不満もはっきり書きます。まず洗い物。フタのパッキンを外して洗い、圧力の抜け道になる部分を確認して、乾かして戻す。この工程が1回につき2分ほど余計にかかります。しかもパッキンは食洗機に入れられるか確認が必要で、うちは念のため手洗いにしています。ここは普通の鍋より確実に手間です。
次に、蒸気の音と匂い。加圧中はシューという音が出ますし、キッチンに匂いが広がります。子どもが寝ている時間に使うのは少しためらう音量でした。うちは昼か、夕方の起きている時間帯に使うようにしています。
それから、途中で味見ができない。圧がかかっている間はフタが開かないので、煮え具合の確認は圧を抜いてからになります。慣れるまでは「これ、火が通っているのか」が分からず、開けて確認して足りずにもう一度、という手戻りが何度かありました。時間の感覚が普通の鍋とまるで違うので、最初の2週間は付属のレシピの時間を守ることに徹したほうがいいです。
あとは保管場所。予想通りシンク下の1段を占領しています。うちは中に計量カップやざるを入れ子にして押し込むことで、なんとか帳尻を合わせました。ちなみに、保管するときにフタを閉めた状態で置くとパッキンが常に潰れた状態になるので、うちはフタを逆さに乗せるだけにしています。説明書にもそう書かれていました。細かいことですが、パッキンは消耗品なので少しでも長く使いたい。
消耗品といえば、パッキンは数年で交換するものとされています。うちはまだ交換していませんが、部品が単体で買えるかどうかは購入前に確認しておいたほうがいいと思います。パール金属は部品の入手がしやすいメーカーという印象で、そこも選んだ理由のひとつでした。5,000円の鍋が5年使えるかどうかは、パッキンが買えるかで決まると考えると、意外と重要な判断材料です。
買わなくていい人は、たぶんこういう人
半年使った上での結論として、煮込み料理を月に1〜2回しか作らない人は、無理に買わなくていいと思います。年に数回の角煮のために5,000円と収納スペースを払うのは、割に合わない可能性が高い。
逆に、硬い根菜を柔らかくする作業が週に何度もある人には、はっきり効きます。離乳食、介護食、豆をよく使う人。それから、火の前を離れられない時間を減らしたい人。うちが買った理由はここでした。
私は2年迷って、生活が変わったタイミングで買いました。この順番は間違っていなかったと思っています。もし2年前に買っていたら、たぶん今ごろシンク下で眠っていた。道具は必要になってから買っても遅くない、というのが今回の学びでした。
この記事はキッチン道具の個別レビューです。何を残して何を捨てたかはキッチンの道具を入れ替えた|使う頻度で選び直すにまとめています。

