吊り戸棚|届かない高さの使い道

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キッチンの吊り戸棚は、うちで一番長く放置されていた場所でした。入居して3年、上2段は事実上の空白地帯。手が届かないので何も入れていなかったんです。子どもが生まれて物が増え、下の収納が限界になったところでようやく手をつけました。やったことは大きく3つで、届く高さを測る、頻度で段を割り振る、取っ手付きのボックスで引き下ろせるようにする。合計で3,000円ちょっと。うちのキッチンは賃貸の標準的なもので、吊り戸棚は3段です。手順として書いていきます。

まず、どこまで手が届くのかを測る

最初にやったのは測ることでした。私の身長は172cm、妻は158cm。同じ吊り戸棚でも、届く範囲がまるで違います。

うちの吊り戸棚は、床から下端が約145cm、上端が約215cm。中に棚板が2枚入っていて、3段構成です。1段目の底が145cm、2段目が168cm、3段目が191cmくらい。

実際に手を伸ばして確認すると、私は1段目は普通に使えて、2段目は手前だけ届く。3段目は指先が縁に触れる程度で、物を取るのは無理でした。妻は1段目の手前がぎりぎり。つまりこの吊り戸棚は、家族の半分にとって1段目しか存在していなかったことになります。

ここで大事なのが奥行きです。うちの吊り戸棚は奥行約35cm。手前の10cmは届いても、奥の25cmには手が入りません。高さの問題と奥行きの問題が同時に来るので、単に背伸びしても解決しない。

手順1 段ごとに「使用頻度の上限」を決める

次に、段ごとの用途を先に決めました。物を見てから場所を決めると、必ず入る場所に入れてしまうので、順序を逆にします。

1段目は「週1回以上使う物」。2段目は「月1回程度」。3段目は「年に数回、または災害時にしか使わない物」。この割り振りを紙に書いて、冷蔵庫の側面に貼りました。

この段階で、3段目に何を置くかがだいたい見えてきます。うちの場合は非常食のストック、来客用の食器、シーズンでしか使わない土鍋。どれも取り出すのが年に数回なら、脚立を出す手間は許容できます。

逆にやってはいけないのが、3段目に「たまに使う調味料」みたいな中途半端な頻度の物を入れることでした。取りたいのに面倒、という状態が一番ストレスになります。届かない場所は、届かなくていい物の置き場にすると割り切ったほうが早い。

手順2 取っ手付きのボックスで、奥を引き下ろせるようにする

高さの問題は割り切れても、奥行きの問題は残ります。3段目の奥に置いた物は、脚立に乗っても見えません。

ここで入れたのが、吊り戸棚用の収納ケースです。前面に取っ手が付いていて、手前に引くと箱ごと下ろせる形状のもの。幅は12.8cm、18.5cm、24cmの3種類があって、浅型と深型が選べます。1個688円ほどでした。

キッチン収納ケース 吊り戸棚ボックス スリム ワイド 単品・4個セット・6個セット ( 浅型 深型 幅12.8cm 幅18.5cm 幅24c

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うちは吊り戸棚の内寸幅が約85cmだったので、幅18.5cmを4個並べて74cm、残り11cmに幅12.8cmを1個。合計5個で83cm。ぴったり埋まりました。この計算は買う前に紙の上でやっています。幅が3種類あるおかげで、割り切れない幅にも対応できるのがこの手のケースの利点です。

取っ手を引けば、奥の物ごと手前に出てくる。3段目でも、脚立に乗って取っ手をつかんで引き下ろせば中身が全部見えます。以前は奥に何があるか分からなかったのが、5個の箱の中身を把握するだけでよくなりました。

不満もあります。まず、薄い樹脂なので中身を詰めると持ち手のあたりがしなります。缶詰を8個入れたら、片手で下ろすのが怖い重さになりました。それと、透明ではあるものの下から見上げる角度だと中身が判別しにくい。結局、側面ではなく底面に近い前面にラベルを貼ることになりました。

あと、深型を選ぶと1段の高さをほぼ使い切るので、上に隙間なく収まる代わりに出し入れの余裕がなくなります。うちは3段目だけ深型、1段目と2段目は浅型にしています。

買う前に測った3つの数字

この手のケースは、幅だけ測って買うと入りません。うちが測ったのは、内寸の幅、棚板から上の棚板までの高さ、それと扉の開口部の有効高さの3つです。

特に3つめが盲点でした。吊り戸棚の扉は上に持ち上げる形式や横開きなど何種類かありますが、うちは横開きの観音開きで、閉めたときに中央に縦の枠が来ます。この枠のせいで、幅24cmのケースを中央付近から出し入れしようとすると引っかかる。内寸の高さは28cmあるのに、開口部の高さは25cmしかない、といったずれも普通に起きます。ケースの高さがぎりぎりだと斜めにして入れられないので、ここは2cmくらい余裕を見ました。

手順3 重い物を上げて痛い目を見た

失敗も書いておきます。最初、3段目に水のペットボトルを入れようとしました。非常用の備蓄で、2リットル×6本の箱です。

一般的に、水の備蓄は1人1日3リットル、最低3日分とされています。3人だと27リットル。箱にして3箱弱です。下の収納がいっぱいだったので、上げてしまおうと考えた。

結論から言うと、12kgの箱を191cmの高さに持ち上げるのは無理でした。持ち上げること自体はできても、脚立の上で体をひねってバランスを崩しかけた。そこで即座にやめて、押入れの下段に移しています。

重い物は上に置かない。これは効率の話ではなく安全の話で、地震のときに落ちてくるという問題もあります。うちが吊り戸棚の3段目に置いているのは、乾麺、レトルト、紙皿、来客用のグラス。グラスも本当は下ろしたいところですが、他に置き場所がありません。せめて割れても被害が小さいように、箱に入れてから置いています。

脚立をどこにしまうか

吊り戸棚を使うと決めた時点で、脚立が必要になります。ここが賃貸だと地味に難問でした。

うちは高さ50cmくらいの折りたたみ踏み台を使っています。畳むと厚さ8cmほど。これを冷蔵庫と壁の隙間、幅10cmのところに立てて入れています。ここが空いていなかったら、たぶん吊り戸棚の活用そのものを諦めていました。

踏み台は、キッチンで使う以外の用途もありました。クローゼットの枕棚に手を伸ばすとき、エアコンのフィルターを外すとき、照明の交換。年に何度かしかない作業ですが、椅子で代用していた頃と比べると安定感がまるで違います。1台3,000円ほどで、これは早く買っておけばよかった部類でした。

踏み台の置き場所が確保できない家では、そもそも上段を使う運用が成立しない。吊り戸棚を活用する前に、踏み台の定位置があるかどうかを先に確認するほうがいいと思います。出すのが面倒だと、結局使わなくなるので。

子どもが動き出す前提で考える

もうひとつ、踏み台は子どもにとって登る道具でもあります。今はまだ生後6ヶ月なので関係ありませんが、歩き始めたら隙間から引っ張り出すはずです。そのときは畳んだ状態で固定するか、置き場所を変えることになる。今の運用は2年ももたないだろうと思っています。

最後に

3年放置していた吊り戸棚は、688円のケースを5個入れただけで使える場所になりました。金額としては3,440円。下の収納から年に数回しか使わない物を上に逃がせたので、実質的にはシンク下の引き出しが1段空いたのと同じです。

ただ、頻繁に使う物を上に置くのは今でもおすすめしません。うちは調味料を一度上げてみて、2週間で下ろしました。届かない高さは、届かなくていい物のための場所。そう決めてしまったほうが、結果的に使えるようになる場所だと思います。

この記事は収納の個別記事です。何をどこに置くかを決め直した全体は物が増えた家の収納|1年で入れ替えたものにまとめています。

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