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会議中に生活音が入るのを減らすとき、最初に手を出すべきは機材ではなく設定です。私は逆をやって、マイクを買ってから設定を触っていない自分に気づきました。順番を間違えると、要らない出費が増えます。
ここでは、私が実際にやった順番どおりに書きます。0円でできることから始めて、千円台、数千円と上がっていく構成です。子どもが生後3ヶ月くらいのときに一通りやって、いまも同じ設定のまま運用しています。
手順1 自分の音を録って、何が入っているか確かめる
最初にやるのはこれです。いつも会議に出ている姿勢のまま、いつもの機材で、30秒くらい何かしゃべって録音する。会議アプリの録画機能でもいいし、OS標準のボイスメモでもいい。それを聞き返します。
私が最初に録ったとき、想定していなかったものが3つ入っていました。エアコンの送風音、机を叩く低い音、そして自分の椅子がきしむ音です。子どもの声を消すつもりで始めたのに、常時鳴っている音のほうが多かった。
ここを飛ばすと、対策の的が外れます。「生活音が入る」と一括りにしていたものを、常に鳴っている音・突発的な音・自分が出している音の3つに分けると、あとの手が決まります。
ちなみに、録音は自分のPCで録ったものより、会議アプリを通したものを聞くほうが正確です。アプリ側の処理が入ったあとの音が、実際に相手の耳に届く音だから。私は身内に頼んで、テスト通話を録ってもらいました。自分の環境で完結させると、アプリの処理の効き方が分かりません。
もうひとつ、録るのは自分がしゃべっている30秒だけでなく、黙っている30秒も録ってください。黙っている時間に何が入っているかが、生活音対策の本体です。しゃべっているあいだは自分の声で隠れるので気づけません。
手順2 入力レベルを自動から手動に変える
次が入力レベルです。多くの機材は初期状態で自動調整が有効になっていて、これは静かなときに感度を上げます。つまり、自分が黙っている時間ほど部屋の音を拾いにいく。会議で一番マズい挙動です。
OSのサウンド設定でマイクの入力音量を手動にして、7割前後まで下げます。そのうえで、口とマイクの距離を近づけて音量を稼ぐ。同じ声の大きさなら、距離が半分になると届く音は理屈上かなり大きくなるので、レベルを下げても十分聞こえます。
下げすぎると小声のときに拾えなくなるので、下げてからもう一度録音して確認します。私は最初60%まで下げて、声が痩せたので70%に戻しました。
会議アプリ側にも自動調整のチェックボックスがあることが多いです。OS側だけ手動にしてもアプリが上書きしてくることがあるので、両方見ておく必要があります。私はOS側だけ直して、しばらく効果がないと悩んでいました。Zoomの設定画面に同じ趣旨の項目があると気づいたのは2週間後です。
それと、ミュートのショートカットキーを手に覚えさせるのも、この段階でやっておくと効きます。設定ではないんですが、突発音は事前に消せないので、鳴ってから0.5秒で切れるかどうかが実質的な対策になる。私はスペースキー長押しで一時的にミュート解除する設定にして、基本は常時ミュートで会議に出ています。
手順3 アプリのノイズ抑制を、最強にしない
ZoomにもGoogle Meetにも背景ノイズを抑える設定があります。ここを既定より1段上げると、エアコンや洗濯機のような定常音はかなり減ります。手順1で見つけた「常に鳴っている音」は、だいたいここで片づく。
ただし最強にしないほうがいいです。ノイズ抑制は「声じゃない音」を削る仕組みなので、強くかけると自分の声の子音まで巻き込みます。私は一度最強にして、ノイズは消えたけど何を言っているか分からない、という状態を作りました。相手に聞き返される回数が増えたので、結局1段下げています。
それと、突発的で音程が動く音、つまり子どもの泣き声のような音には、この処理はほとんど効きません。定常音には強く、非定常音には弱い。ここは期待しないほうが精神衛生上いいです。
手順4 物理的な配置を変える
ここから0円ではなくなる手前の話ですが、配置の変更は無料でできます。私がやったのは3つ。
- 机を、音源から一番遠い壁側に寄せた(リビングとの扉から3.5m)
- マイクを、口と音源を結ぶ線から外した位置に置いた
- 作業する部屋の扉を必ず閉めるルールにした
2番目が効きました。単一指向性のマイクは正面を拾って背面を減衰させるので、マイクの背面が音源のほうを向くように置くと、それだけで生活音が減ります。私は最初、マイクを机の左に置いていて、その先がちょうどリビング側でした。右に移しただけで、録音に入る扉の向こうの音がはっきり減った。
扉については、家族との取り決めの話でもあります。うちは「扉が閉まっているときは会議中」という単純なルールにしました。ドアノブに札を掛ける方式も試したんですが、掛け忘れるので機能しませんでした。
扉1枚の効果は思っていたより大きかったです。手順1と同じ方法で、扉を開けた状態と閉めた状態で黙っている30秒をそれぞれ録って聞き比べたら、はっきり差がありました。特に高い音、食器の音や子どものおもちゃの電子音は、閉めるだけでかなり減ります。低い音は通ってきます。
椅子のきしみは、ネジを締め直して解決しました。買って2年経った椅子で、座面と支柱の接合部が緩んでいた。これも録音しなければ気づかなかった音です。
手順5 マイクを机から浮かせる
ここで初めてお金を使います。私が2,681円で買ったのがマイクアームです。クランプで机の縁に固定して、アームでマイクを口元まで持ってくるタイプ。
効果は2つあって、ひとつは机の振動を拾わなくなること。マイクを机に直置きしていると、キーを打つたびに「ゴッ」という低い音が乗ります。私はタイピングが強いほうなので、これがかなり気になっていました。アームで浮かせると、この音はほぼ消えます。
もうひとつは、口とマイクの距離を安定して20cm前後に保てること。手順2で入力レベルを下げたぶんを、距離で取り戻せます。机に置いていたときは姿勢によって距離が40cmくらいまで開いていたので、ここが安定したのは大きかったです。
不満もあります。まず、クランプが挟める天板の厚みに制限があること。うちの机は天板が4cmあって、ぎりぎりでした。それと、アームを伸ばすと視界にマイクが入ります。カメラをオンにする会議では、画面の端にマイクが写り込むのが最初は気になりました。慣れましたが、気にする人はいると思います。
あと、安いアームはバネが強めで、細かい位置調整が効きにくいです。ぴたっと止まらず、少しずつ下がってくることがある。ネジを増し締めして落ち着きましたが、精密な位置決めを期待するものではないです。
手順6 それでも残る音は、部屋側で減らす
ここまでやって残ったのが、部屋の反響でした。フローリングで白い壁の6畳は、手を叩くと余韻が残ります。反響が多いと、自分の声が遅れて重なるので、こもった感じになる。
私は机の正面の壁に、30cm角の吸音パネルを6枚だけ貼りました。全面に貼る必要はなくて、口から出た音が最初に当たる場所だけで体感は変わります。金額は2千円弱。剥がせる粘着で留めているので、賃貸でも扱えます。
ただし、これで家族の音が消えるわけではありません。吸音材は部屋の中の反響を減らすもので、扉の向こうから入ってくる音を止める力はほとんどない。ここを混同していると、貼ってから「効かない」と感じます。私も最初はそこを勘違いしていました。
やってみて、順番が全部だったという話
全部やり終えて振り返ると、体感の改善のうち半分くらいは手順2と手順4、つまり0円の部分で起きていました。マイクを買うのを最初にしていたら、たぶん「思ったより効かないな」と感じて、もっと高いマイクを探し始めていたと思います。
逆に、機材でしか解決しなかったのが打鍵の振動でした。ここはアームを買わないとどうにもならなかった。0円でできることをやりきると、お金を出すべき場所が1つか2つに絞れます。
この記事は音まわりの個別レビューです。在宅勤務の音を何から変えたかは在宅勤務の音問題|子どもが生まれてから全部変えたで振り返っています。

