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Web会議で「声がこもって聞こえる」と言われるとき、原因はだいたい3つのどれかです。マイクと口が遠い、部屋の反響を拾っている、アプリのノイズ抑制が効きすぎている。マイクそのものの性能が原因、というケースは意外と後ろのほうにあります。
私は在宅勤務で週10本くらい会議に出ていて、子どもが生まれてからこもり問題に本気で向き合いました。手持ちの4種類を実際に切り替えながら試したので、それぞれ何が得意で何が駄目だったかを整理します。音質の評価はすべて私の主観で、測定はしていません。相手からのフィードバックと自分の録音を聞き比べた範囲の話です。
そもそも「こもる」とは何が起きているのか
自分の声を録音して聞き直すと分かりやすいんですが、こもって聞こえるときは高い成分が減っています。「さしすせそ」の子音や、破裂音の立ち上がりが弱い。これが減ると、音量は十分あるのに何を言っているか分かりにくくなります。
原因のひとつが距離です。口からマイクまでが遠いほど、直接届く音より、壁や机に反射して遅れて届く音の比率が上がる。反射音は高い成分から減っていくので、遠いほどこもります。ノートPCの内蔵マイクは口から50〜60cm離れているので、構造的に不利なんですよね。
もうひとつがソフト側の処理です。ノイズ抑制は「声じゃない音」を削る仕組みなので、強くかけると声の一部まで巻き込む。設定を最強にしたら生活音は消えたけど自分の声がラジオみたいになった、というのは私が実際にやった失敗です。
3つめが反響そのものです。うちの作業部屋は6畳弱のフローリングで、机の正面は白い壁。柔らかいものが少ない部屋ほど音が跳ね返ります。手をパンと叩いて余韻が残るなら、その部屋は声もこもりやすい。私の部屋は明らかに余韻がありました。
この3つは対策が別なので、まず自分がどれに当たっているか確かめるほうが早いです。スマホのボイスメモで、いつもの姿勢のままPCの前で30秒しゃべって聞き返す。これだけで、遠いのか反響なのか処理のせいなのか、だいたい見当がつきます。私はこれを最初にやらずに機材から買いました。
ノートPCの内蔵マイク
まず基準として内蔵マイクです。追加費用ゼロ、接続の手間ゼロという点では最強で、ここで足りるなら何も買う必要はありません。実際、私は4年間これで済ませていました。
弱点は指向性です。内蔵マイクは広い範囲を拾う設計なので、ディスプレイの向こう側で鳴っている音も自分の声と同じくらいの大きさで入る。子どもの声、食洗機、宅配のインターホン。全部入ります。加えて、キーボードの真上にマイクがあるので打鍵音も乗る。会議中にメモを取るたびにカタカタ鳴るのは、聞かされる側からするとかなり気が散るはずです。
それと、スピーカーも同じ筐体にあるので、相手の声を自分のマイクが拾い返してエコーになりやすい。ヘッドホンをすればこれは消えますが、そうすると結局何かを追加している。
とはいえ、内蔵マイクを侮りすぎるのも違うと思っています。ここ数年のノートPCは複数のマイクを組み合わせて指向性をソフトで作る仕組みが入っていて、静かな部屋なら十分実用的です。私が不満だったのは性能そのものより、家の条件と噛み合っていなかったこと。同じ機材でも、賃貸の6畳と子どもがいるリビング隣接の部屋では結果が変わります。
スマホ付属のイヤホンマイク
ケーブルの途中に小さなマイクがついているタイプです。これは内蔵マイクより明確にマシでした。理由は単純で、マイクが胸元にくるので口との距離が20cmくらいまで縮まるからです。距離が縮まったぶん、反響も生活音も相対的に小さくなる。
ただ、服にこすれるノイズが致命的でした。姿勢を変えるたびに「ザッ」という音が入る。私は会議中にホワイトボードのほうを向いたり資料を取ったりするので、これが頻繁に起きます。あと、有線なのでPCから体が離れられない。緊急用の予備、という位置づけに落ち着きました。
もうひとつ気づいたのは、この手のマイクは低い成分が薄いことです。胸元で拾うので、声の芯にあたる部分が入りにくい。結果として「軽い声」に聞こえます。こもるのとは逆方向の不自然さなんですが、これはこれで聞き取りやすさに影響する。長い説明をする会議だと、聞いている側が疲れると思います。
ちなみにワイヤレスイヤホンのマイクも試しました。うちにあるのは3千円弱のBluetoothイヤホンですが、通話モードに入った瞬間に音質が一段落ちます。これは規格上の制約で、音楽再生と通話でデータの流し方が変わるためだと理解しています。片方向で音楽を聴くぶんには問題なくても、会議のマイクとしては期待しないほうがいい。
USBコンデンサーマイク
いま常用しているのがこれです。4千円弱で、USBケーブル1本でPCにつながるタイプ。オーディオインターフェースもファンタム電源も要りません。単一指向性なので、正面の音を拾って側面と背面は減衰させます。
変わったのは距離と指向性の両方です。口から20〜30cmの位置に置けるので、入力レベルを下げても十分な音量が取れる。レベルを下げると、背後の生活音は一段と小さくなります。導入した翌週の会議で「声がはっきりした」と言われたので、自分の思い込みだけではなさそうでした。
不満は3つあります。まず机の占有面積。台座つきで直径10cm弱あるので、狭いデスクだと邪魔です。次に振動。机に直置きだと、キーを打つたびに「ゴッ」という低い音が乗ります。私はこれが我慢できなくて、あとから2千円台のマイクアームを追加しました。アームで机から浮かせると打鍵の振動はほぼ入らなくなります。
3つめは、正面から外れると急に小さくなること。単一指向性の裏返しなので当然なんですが、話しながら横を向く癖がある人はストレスかもしれません。私も最初の1週間は、無意識に体をひねって声が痩せる、というのを何度かやりました。
設置で気をつけたのは向きです。この価格帯のUSBマイクは、正面が「側面のロゴがある面」なのか「上の面」なのかが製品によって違います。私は最初、上に向かって話していて音が薄いと悩んでいました。説明書の図を見て向きを直したら解決した、という間抜けな話です。買ったらまず自分の声を録って、向きを変えて録り比べるのがいいと思います。
音質については重ねて書きますが、私の評価は主観です。専門的な測定はしていないし、比較したのも手持ちの4種類だけ。「内蔵マイクよりはっきりした」「相手から聞き返される回数が減った」という以上のことは言えません。数千円のマイクと数万円のマイクの差を語れるほどの耳は持っていないです。
スピーカーフォン
4つめが、卓上に置く無指向性のスピーカーフォンです。これは評価軸が違います。1人で使う前提ならUSBマイクのほうが声はきれいですが、机に2人並んで同じ会議に出るような場面では圧倒的にこっちが楽。
ただし無指向性ということは、部屋の音を全方位から拾うということでもあります。うちのように生活音がある家では、静かな環境で使うより不利です。私は妻と一緒に保育園の説明会をオンラインで受けたときに使いましたが、通常の業務会議では使っていません。
それと、スピーカーフォンはスピーカーとマイクが一体なので、エコーキャンセルの出来がそのまま使い勝手になります。安いものだと、相手が話しているあいだこちらの声が通りにくくなることがある。相づちが届かないので、会話のテンポが少し不自然になります。1人で使うなら、素直にマイクとヘッドホンを分けたほうが素直です。
結局どれを選ぶか
私の中の整理はこうです。家が静かで、会議が週数本なら内蔵マイクで十分。生活音がある家で、会議が業務時間の2割を超えるなら、USBマイク1本が一番効きます。複数人で1台を囲む機会があるならスピーカーフォンを別に持つ。
順番として先にやるべきなのは、0円でできることです。マイクの入力レベルを自動から手動に変えて7割くらいに固定する、ノイズ抑制の強度を最強から1段下げる、口とマイクの距離を10cm縮める。この3つだけで改善するケースは普通にあります。それでも足りなかったときに、4千円を出す価値が出てくる。
私はいきなり機材を買って、あとから設定を触っていない自分に気づきました。順番が逆だったな、と思っています。
この記事は音まわりの個別レビューです。在宅勤務の音を何から変えたかは在宅勤務の音問題|子どもが生まれてから全部変えたで振り返っています。

