ノイズキャンセリング|生活音の中で集中する

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ノイズキャンセリングは、生活音に対しては期待したほど効きませんでした。これが半年使ってみた正直な感想です。効かないわけではないんですが、効く音と効かない音がはっきり分かれていて、家の中で困る音はだいたい効かないほうに入っている。

子どもが生まれてから、日中の家には常に何かの音があります。泣き声、あやす声、洗濯機、食洗機、掃除機、宅配のインターホン。この中でノイズキャンセリングがきれいに消してくれたのは、実質的に洗濯機と食洗機だけでした。それでも買ってよかったと思っているので、その理由も含めて書きます。

低い音には効くが、人の声には効きにくい

仕組みの話を簡単にすると、ノイズキャンセリングは入ってくる音を測って、逆の波形をぶつけて打ち消しています。だから、規則正しく繰り返す低い音ほどうまく打ち消せる。飛行機のエンジン音やエアコンの送風がよく例に出るのは、そういう理由です。

逆に、急に始まって音程が動く音は苦手です。人の声はまさにそれ。子どもの泣き声は音程も音量も一定しないので、打ち消す波形を作るのが間に合わない。実際、うちで一番集中を切る音である泣き声には、体感でほとんど効いていません。

手持ちのイヤホンで試した範囲を書くと、洗濯機の運転音は7〜8割減った感覚。エアコンの風は9割方消えます。食洗機は8割くらい。ここまでは効果がはっきり分かる。一方、隣の部屋の会話は3割減るかどうか、泣き声はほぼそのまま。テレビの音は、音楽やBGMの部分は減るのに、セリフだけ残るという奇妙な聞こえ方になりました。

数字は私の主観で、測定はしていません。同じ機種でも耳の形や装着状態で変わるはずなので、参考程度に読んでください。

実は遮音のほうが効いていた

使ううちに気づいたのは、集中に効いているのがノイズキャンセリング機能そのものというより、耳を塞いでいること自体だったという点です。カナル型のイヤホンは、電源を入れなくても耳栓としてそれなりに機能します。これをパッシブな遮音と呼ぶらしい。

試しにノイズキャンセリングをオフにして、無音のまま装着してみると、それだけで部屋がだいぶ静かになります。特に高い音、たとえば食器がぶつかる音や子どものおもちゃの電子音は、パッシブ遮音のほうがよく減る。ノイズキャンセリングは高い音が苦手なので、ここは役割が逆なんですよね。

つまり、家の生活音に対しては「耳に密着するイヤホン」であることが半分、「ノイズキャンセリングが付いている」ことがもう半分、くらいの寄与だと感じています。イヤーピースのサイズが合っていないと、この半分が丸ごと失われる。私は付属のMサイズが合わずに、しばらく効果を疑っていました。

サイズが合っているかどうかは、装着したまま口を大きく開けてみると分かります。「サー」という音の量が変わったり、片方だけ抜ける感じがしたら合っていない。私は右耳だけLサイズにする左右非対称の組み合わせに落ち着きました。人の耳は左右で形が違うらしく、これは店員に言われて初めて知ったことです。

もうひとつ、髪やメガネのつるが干渉して密着が甘くなることもあります。メガネをかけ直したら急に静かになった日があって、それまで機能の問題だと思い込んでいました。

いま使っているもの

常用しているのは、2千円台の完全ワイヤレスイヤホンです。セール時に買ったので実質2千円台前半。ノイズキャンセリングと外音取り込みが切り替えられて、ケース込みで丸1日持ちます。

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この価格帯にしては効いている、というのが率直な評価です。ただ、以前に量販店で数万円のモデルを試着したことがあって、あちらは同じ洗濯機の音がもっと深く沈みました。差はあります。差はあるけれど、私の用途では2千円台でも困っていない、というだけの話です。

安いモデルを選ぶときに私が見たのは、ノイズキャンセリングの性能表記ではなく、装着形状とイヤーピースの付属サイズ数でした。上に書いたとおり効果の半分はパッシブ遮音なので、自分の耳に合う可能性が高いほうが結果的に静かになる。表記されている「最大◯dB低減」のような数字は、条件が書かれていないと比べようがないので参考にしていません。

不満を3つ書きます。ひとつめは、ノイズキャンセリングをオンにすると耳の奥に圧迫感が出ること。気圧が変わったときのような感覚で、私は1時間くらいで一度外したくなります。これは強く効くモデルほど出やすいらしく、値段の問題ではないようです。

ふたつめは、通話に使うと音質が落ちること。会議のマイクとして使うのは諦めて、聞く専用にしました。マイクは机に別で立てています。

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みっつめは、外音取り込みモードの品質です。オンにすると周囲の音が聞こえるようになりますが、明らかに加工された音で、人の声が少し金属的になる。子どもの様子をうかがうために使おうとしたんですが、結局イヤホンを外すほうが確実でした。

失敗もひとつ書いておきます。ノイズキャンセリングを買えばリビングで作業できるだろう、と考えて、最初の1ヶ月はリビングのダイニングテーブルで仕事をしていました。結果は駄目でした。音は減っても、視界に人が動いているだけで集中は切れる。音の問題だと思っていたものの一部は、実は視界の問題だったんですよね。机を寝室側に移してからのほうが、イヤホンなしでも作業が進みました。

耳栓と比べてどうだったか

比較対象として、3百円くらいのフォームタイプの耳栓も試しました。これがなかなか馬鹿にできなくて、高い音の遮音だけならイヤホンより上です。子どものおもちゃの音や食器の音は、耳栓のほうが確実に減りました。

ただ、耳栓は音楽が聴けません。私は完全な無音だと逆に落ち着かないタイプで、何か鳴っているほうがコードを書きやすい。あと、耳栓をしていると呼ばれても気づかないので、家族がいる時間帯には使いにくいです。イヤホンなら音量を下げれば呼びかけには気づく。

それと、耳栓は自分の心音や咀嚼音が聞こえます。深く挿すほど顕著で、これが気になって集中できない日がありました。結局、耳栓は妻が子どもを見てくれている数時間だけ、と使い分けています。

スピーカーで音を出すという選択肢

逆方向の解決策として、耳を塞がずにスピーカーで音を出す、というやり方も試しました。机の上に小型のスピーカーを置いて、小さめの音量で環境音を流す。耳が完全に自由なので、長時間でもまったく疲れません。

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ただ、これは同居している人がいる家では条件つきです。自分の出した音が家の中に足されるわけなので、生活音が減るわけではない。妻が同じ空間にいる時間帯には使えません。私は妻と子どもがリビングにいて、私が寝室のドアを閉めているときだけスピーカーにしています。

音量も難しくて、生活音をマスクできるところまで上げると、今度は自分がうるさい。結局、遮音してから小さい音を流すイヤホンのほうが、必要な音量が小さくて済むという当たり前の結論になりました。

音で解決しなかった部分は、時間で解決した

ここまで機材の話を書いてきましたが、うちで一番効いたのは実は機材ではありません。作業する時間帯を変えたことでした。

子どもの生活リズムがある程度できてきた生後4ヶ月くらいから、午前中の寝ている1時間半と、夜9時以降が静かな時間だと分かってきた。設計や実装のように集中が要る作業をそこに寄せて、日中は会議やレビューのような中断されても大丈夫な作業を置く。この組み替えのほうが、イヤホンより効果が大きかったです。

ノイズキャンセリングは、その組み替えができない時間帯を埋めるための道具、という位置づけになりました。全部を機材で解決しようとしていた頃は、もっと高いモデルを買おうか迷っていたんですが、その必要はなくなった。

買う前に一度、自分がいつ何に邪魔されているかを1週間記録してみるといいと思います。私はそれをやらずに買って、後から「効かない音のほうが多かった」と気づきました。順番が逆でした。

この記事は音まわりの個別レビューです。在宅勤務の音を何から変えたかは在宅勤務の音問題|子どもが生まれてから全部変えたで振り返っています。

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