スピーカーフォン|家族がいる部屋で使えるか

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結論から書くと、家族が同じ部屋にいる状況では、スピーカーフォンは使えませんでした。買ってから3ヶ月、うちで実際に活躍したのは「妻と2人で同じ会議に出る」場面だけです。それ以外の日常の業務会議では、机に立てたマイクとイヤホンの組み合わせに戻っています。

ただ、使えなかった理由がはっきりしているので、逆に言えば条件が合う人には相当便利な機材だと思います。3,850円のUSB接続タイプを実際に使ってみて分かったことを書きます。音の評価は私の主観で、測定器を使った話ではありません。

何が便利で、何が困るのか

スピーカーフォンは、マイクとスピーカーが1つの箱に入っていて、USBケーブル1本でPCにつながる機材です。うちのは直径12cmくらいの円盤型で、厚さは3cm弱。机の真ん中に置いて、その周りに座った人が全員会議に参加できます。

便利さの本質は耳を塞がないことです。イヤホンもヘッドセットも要らない。1時間の会議でも耳が痛くならないし、蒸れない。これは実際に使うと想像以上に快適でした。装着感の悩みがゼロになる。

困るのは、その裏返しです。相手の声が部屋に流れるので、家族に会議の中身が全部聞こえる。そして、部屋の音が全方位から拾われるので、家族の生活音が相手に全部届く。この2つが同時に起きます。

製品の説明には「5m集音」と書かれていました。半径5メートルの音を拾えるという意味で、会議室で使うぶんには利点です。でも、うちの寝室兼書斎は6畳弱。リビングとの扉を開けていたら、リビングの音も余裕で集音範囲に入ります。

ここは買う前に想像できたはずのことでした。「広く拾える」は会議室での長所であって、家で使う人にとっては短所になりうる。商品ページの推しポイントが自分の環境ではマイナスに反転することがある、というのを分かっていませんでした。

接続は本当に簡単で、USBを挿すとOS側が自動でデバイスとして認識します。ドライバのインストールも設定アプリも不要でした。私のMacでもWindowsのデスクトップでも、挿すだけで音声入出力の選択肢に出てきます。この手軽さは素直に良かった点です。

実際に起きたこと

導入して最初の週、午後の定例会議で使いました。そのとき子どもがリビングで泣き始めて、扉は閉めていたんですが、それでも相手から「大丈夫ですか?」と聞かれた。無指向性なので、扉越しの音も律儀に拾っていたわけです。

もうひとつ、テレビの音が入ったこともあります。妻が夕方のニュースをつけていて、その音声が会議に混ざった。人の声はノイズ抑制でも消えにくいので、これが一番厄介でした。

それから、逆方向の問題もありました。会議の音が家に流れるということは、子どもの昼寝を邪魔するということです。相手が話し始めた瞬間に音量が上がって、寝ていた子が起きた。これは1回で懲りて、それ以降は昼寝の時間帯には使っていません。

音量を下げれば済む話ではあるんですが、会議は相手の声の大きさをこちらで選べません。小さい声の人に合わせて上げると、大きい声の人のときに部屋に響く。この読めなさが、家で使う機材としては扱いにくいところでした。イヤホンなら自分の耳の中で完結するので、そもそも起きない問題です。

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製品そのものの出来は、価格を考えれば悪くないです。エコーキャンセルは効いていて、自分の声が相手にハウリングして返る、ということは起きませんでした。ボタンでのミュートが本体にあって、押すと赤いランプが光る。この物理ミュートは、会議中に子どもの声が近づいてきたときに手探りで押せるので、実用的でした。

不満だった点

不満は3つあります。ひとつめは、相手が話しているあいだ、こちらの声が通りにくくなること。エコーキャンセルの仕組み上、片方向ずつになりがちなんだと思います。相づちが届かないので、会話のテンポが少しぎこちなくなる。長い説明を聞いているとき、こちらが「はい」と言っているのに相手には届いていない、ということが何度かありました。

ふたつめは、スピーカーの音質です。人の声は十分聞き取れますが、低い成分がほとんど出ないので、平たい音になります。音楽を鳴らす用途には向きません。これは仕様としてそういうものだと理解しています。

みっつめは、USBケーブルが本体直付けで、長さが1.2mしかなかったこと。机の真ん中に置きたいのにPCの位置によっては届かず、延長ケーブルを買い足しました。地味に面倒でした。

付け加えると、置き場所でかなり結果が変わります。机の中央に置くのが基本ですが、壁際に寄せると反射が増えて自分の声がこもる。ノートPCの手前に置くと、キーボードの打鍵音を天板越しに拾います。私は机の真ん中、PCから20cmほど手前に置いたときが一番安定しました。下に薄いフェルトを敷くと、机を叩く振動が減ります。100円ショップのフェルトで十分でした。

あと、会議アプリ側の設定で入力デバイスと出力デバイスを両方これに切り替える必要があります。片方だけ切り替えると、PCのスピーカーから音が出て、それをスピーカーフォンのマイクが拾って盛大にエコーします。私は初回にこれをやりました。

結局こういう場面で使っている

いま使っているのは、妻と2人で同じ会議に出るときです。保育園のオンライン説明会、住宅ローンの相談、親族とのビデオ通話。こういう「1台を複数人で囲む」場面では、イヤホンを2人分用意して同じ通話に別々に入るより、圧倒的に楽です。

会議アプリに2台のPCで入ると、同じ部屋にいるせいでハウリングします。片方をミュートして、というやりくりが必要になる。スピーカーフォン1台なら、その面倒がまるごと消えます。

もうひとつ、子どもを抱いたまま会議に出る必要がある日にも使いました。両手が塞がっているとイヤホンの着脱ができないので、置いておくだけで成立するのは助かる。もちろん相手には状況を先に伝えて、雑音が入ることを了解してもらったうえでです。

この用途で気に入っているのは、視線が自由になることです。イヤホンだと無意識に画面に向き続けてしまうんですが、スピーカーフォンだと部屋の中を歩きながら話せる。長い説明を聞くだけの回では、立って子どもを抱きながら参加できます。会議の性質によっては、これがかなり大きい。

1人の業務会議には、マイクを分けたほうがよかった

日常の会議は、机に立てたUSBコンデンサーマイクと、聞く側はイヤホン、という構成に戻しました。単一指向性のマイクは正面の音だけを拾うので、背後の生活音が入りにくい。この一点でスピーカーフォンより有利です。

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耳を塞ぐのは面倒ですが、家の音が相手に届かないことのほうが優先度が高い、というのがうちの結論でした。マイクをアームで机から浮かせると打鍵の振動も入らなくなるので、この組み合わせで困ることはほぼなくなっています。

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買う前に考えておくとよかったのは、自分の会議が「1人で出る会議」なのか「複数人で囲む会議」なのかの比率です。私は前者が9割でした。それに気づいていれば、順番としてはマイクを先に買っていたと思います。3,850円が無駄になったわけではないけれど、先に買うべきものではなかった。

家族がいる部屋で1人で使うなら、素直に指向性のあるマイクを選ぶほうが噛み合います。逆に、部屋を独立して確保できて、耳を塞ぎたくない人には、これはかなり快適な選択肢だと思います。

この記事は音まわりの個別レビューです。在宅勤務の音を何から変えたかは在宅勤務の音問題|子どもが生まれてから全部変えたで振り返っています。

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