※ この記事にはプロモーションが含まれています。
ハンドドリップをやめました。道具を捨てたわけではなくて、平日だけカプセル式に切り替えたという話です。
理由ははっきりしていて、子どもが生まれてから、豆を挽いて湯を沸かして3分かけて落とす、という一連の作業が最後まで通らなくなったからです。途中で泣き声がする。湯を沸かしている間に呼ばれる。戻ってきたら、ドリッパーに湯が半分残ったまま冷めている。これが週に何回も起きて、そのうち淹れるのをやめてインスタントに手が伸びるようになりました。
コーヒーの味を追いかけていたはずが、いつのまにか一番おいしくない選択をしている。それに気づいたのが今年の6月で、そこから道具の構成を組み直しました。
ハンドドリップにかかっていた時間を実測した
まず、自分が何にどれだけ時間を使っているのか測りました。ストップウォッチを持ち出したわけではなく、スマホのタイマーで工程ごとに。
豆を量って挽くのに約80秒。手挽きのミルなので、これがけっこう長い。やかんで湯を沸かすのに、うちはガスコンロなので600mlで約4分。蒸らして落とすのに3分。ドリッパーとサーバーを洗って、ミルの粉を落として、で2分。合計で10分強でした。
10分というのは、集中して10分ということです。しかも途中で止められない工程が多い。湯を注ぎ始めたら最後までいかないと味が崩れます。中断できない10分を、日中に3回確保するのが無理でした。
この時間を短くする方法はいくつかあります。電動ミルを買う。電気ケトルにする。ドリッパーを洗いやすいものに替える。全部やれば5分くらいには縮むはずです。でも、そこまでやっても「中断できない」という性質は変わりません。私が困っていたのは所要時間そのものではなく、途中で手を離せないことのほうでした。
カプセル式に変えて、削れたのは「判断」だった
今使っているのはドリップポッドという、カプセルをセットしてボタンを押す方式のマシンです。カプセルは選べる7箱セットで7,616円のものを買いました。1杯あたりの単価はレギュラーの豆で淹れるより高くつきます。
変わったのは所要時間だけではありませんでした。時間で言えば、水を入れてカプセルをセットしてボタンを押して、抽出が終わるまで1分半くらい。ハンドドリップの10分から8分以上減っています。
でも実感として大きかったのは、考えることがなくなったことのほうです。今日はどの豆にするか、湯温はどうするか、粉の量を何グラムにするか。この判断が全部消えました。カプセルを1個取って、入れて、押す。寝不足の朝にこれができるのは、想像以上に楽です。
7箱セットにしたのは、種類を選べたからでした。深煎りと浅煎りと、あと紅茶のカプセルも同じ機械で使えるものがあります。妻はコーヒーをあまり飲まないので、紅茶が同じ機械で出せるのは地味に助かっています。豆を挽く方式だと、こうはいきません。
カプセルの不満は、コストとゴミと、味の天井
不満はあります。3つ書きます。
コストです。カプセル1個あたりの単価は、自分で豆を買って挽くのと比べて明らかに高い。うちは1日2杯なので、月にすると差は数千円規模になります。「時間を金で買っている」というのが正確な表現で、コストパフォーマンスという言葉で正当化するのは無理があります。
ゴミも増えました。使用済みのカプセルが1日2個。うちの自治体の分別だと、これは可燃ゴミに出しています。中に粉が残ったまま捨てることになるので、コーヒーかすを植木に使っていた頃と比べると、少し後ろめたい。
そして味です。悪くありません。むしろインスタントとは比べものにならないし、私が集中力を欠いた状態で淹れたハンドドリップよりは確実においしい。ただ、うまく淹れられた日のハンドドリップには届きません。天井があります。ここは正直に書いておきます。
あともうひとつ、機械そのものが場所を取ります。うちのキッチンの作業スペースは幅48センチしかなくて、そこにマシンが常設されると、まな板を置く場所が実質半分になる。この点は買う前に測っておくべきでした。
失敗したのは、その前に買った電動ミル
カプセルに移る前に、一度だけ間違った投資をしています。手挽きのミルが遅いのが悪いと思って、電動ミルを買いました。1万円くらいのものです。
確かに挽く時間は80秒から15秒になりました。8割以上の短縮です。数字だけ見れば大成功のはずでした。
ところが、音が問題でした。うちのキッチンはリビングと続いていて、子どもが昼寝をしているのは同じフロアです。電動ミルの音は短いぶん鋭くて、2回に1回は起こしました。15秒に短縮した代わりに、そのあと30分の寝かしつけが発生する。差し引きで完全に赤字です。
結局、電動ミルは2ヶ月でしまいました。今は週末に手挽きを使っています。手挽きは遅い代わりに静かで、しかも回している間ずっと子どもの様子を見ていられる。この一件で、道具を速くすることが必ずしも生活を楽にしないと分かりました。速さより、その音や動きが家の中でどう響くかのほうが効きます。
ハンドドリップの道具は、捨てずに残した
ドリッパーもサーバーも手挽きのミルも、全部そのまま棚に残しています。捨てなくてよかったと思っています。
週末の朝、子どもが妻と寝ている時間に、たまに豆から淹れます。月に3回か4回。この頻度になってから、逆に1回ごとが丁寧になりました。以前は毎日やっていたぶん、雑になっていた日も多かった。
ガスコンロでやかんの湯を沸かす4分も、今は嫌ではありません。毎日の負担だったものが、たまにやるとむしろ落ち着く時間になる。手間そのものが悪いのではなく、選べない手間が悪かったということだと思います。
だから、道具を減らすという方向には行きませんでした。平日用と週末用で二重に持っている状態で、これは合理的ではないかもしれません。それでも、両方あることに意味があると今は思っています。
コーヒーメーカーという選択肢も見ていた
カプセル式にする前、普通のドリップ式コーヒーメーカーも検討しました。タイガーのシャワードリップ式で、0.81リットル、6杯ぶんまで一度に淹れられるタイプが候補でした。
やめたのは、うちが1回に2杯しか飲まないからです。6杯用の機械で2杯だけ淹れると、抽出量に対して機械が大きすぎる。それに、淹れたあとのバスケットと、粉と、フィルターを洗う工程が残ります。私が削りたかったのはまさにその部分でした。
ただ、複数人で飲む家庭や、1日に3杯以上飲む人なら、コーヒーメーカーのほうが合理的だと思います。ランニングコストはカプセルより明らかに安い。保温機能があれば、朝に淹れたものを昼まで持たせられる。うちが選ばなかったのは、うちの飲み方に合わなかったからで、機械の優劣ではありません。
削っていい手間と、削らないほうがいい手間
3ヶ月やってみて思うのは、削るべきなのは「中断できない工程」だということでした。
時間が長いことよりも、途中で手を離せないことのほうが、子どものいる生活とは相性が悪い。カプセルのマシンは、抽出が始まったあと私がその場を離れても勝手に終わります。この一点だけで、ほとんどの問題が解決しました。
逆に、削らなくてよかったのは道具そのものです。週末のミルの音を、子どもがじっと聞いているのを見ると、これは残しておくものだなと思います。
7,616円のカプセルは、たぶん3ヶ月ほどで消えます。そのあと同じものを買うかは決めていません。ただ、平日の朝にコーヒーを淹れることを諦めなくなったのは、この構成に変えてからです。それだけでも、切り替えた意味はありました。
この記事はキッチン道具の個別レビューです。何を残して何を捨てたかはキッチンの道具を入れ替えた|使う頻度で選び直すにまとめています。

