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キッチンの引き出しと吊り戸棚を一度全部空にして、道具を床に並べました。数えたら47点。そのうち直近半年で一度も触っていないものが11点ありました。場所を食っていたのは、だいたいこの11点です。
春に子どもが生まれてから、料理にかけられる時間がはっきり短くなりました。以前は妻と二人がかりで30分かけていた夕飯を、いまは片方が抱っこして、もう片方が15分で作る。条件がこれだけ変わったのに、道具は独身時代のまま持ち越していたわけです。それで一度、使う頻度だけを基準に並べ直しました。買い替えの話はそのあとです。
「週3回以上」「月に数回」「半年ゼロ」で3つに分けた
やったことは単純で、床に新聞紙を3枚敷いて、道具を1点ずつどれかに置いていくだけ。判断に迷ったら「先月使った場面を言えるか」で決めました。場面が出てこないものは半年ゼロの山に入れる。これでほぼ正しく仕分けできます。
週3回以上の山に残ったのは14点でした。26cmのフライパン、20cmの片手鍋、三徳包丁、まな板、菜箸、トング、キッチンばさみ、ピーラー、ボウル2つ、ざる、シリコンヘラ、計量スプーン、キッチンスケール。書き出してみると、想像していたより少ない。毎日の料理はこの14点で回っていました。
月に数回の山は9点。中華鍋、揚げ物用の鍋、大きめのざる、泡立て器、耐熱のガラス容器あたりです。ここは残す判断でいい。月1回でも「その場面でしか代用が効かない」道具は持っておく価値があります。揚げ物用の鍋を手放すと、揚げ物という選択肢ごと消えるので。問題は残りの11点でした。
ちなみにこの仕分けは、妻と一緒にやったほうがいいです。私が「使っていない」と判断したシリコンの型を、妻は「離乳食のストック用に使う予定だった」と言っていました。片方の記憶だけで捨てると、あとで揉めます。実際、最初は私ひとりで進めていて、途中で呼び戻されました。
半年触っていなかった11点の内訳
正直に書きます。サラダスピナー、ミルクパン、シリコン製の型が3種類、パスタメジャー、ガーリックプレス、レモン絞り、ステンレスの計量カップ2個、そして電動のハンドブレンダー。合計で買ったときの金額を計算したら、たぶん2万円近い。
このうちハンドブレンダーだけは残しました。離乳食が本格化すると使う予定があるからです。それ以外は手放しました。ガーリックプレスは、洗うのが面倒すぎて包丁で潰したほうが早いと気づいた時点で死んでいた道具です。レモン絞りも同じ。年に2回のために引き出しの一等地を占領していました。
使わない道具は、収納を奪うだけでなく、使う道具を取り出しにくくします。これが一番の実害でした。引き出しを開けて目当てのピーラーを探すのに3秒かかっていたのが、11点抜いたあとは1秒で取れる。1日5回として、1年で1時間以上の差になります。理屈っぽい言い方ですが、実感としてもはっきり違います。
逆に、買い足したのは卵焼き器だった
減らす話ばかりでもなくて、1点だけ買い足しました。卵焼き器です。これまでは26cmの丸いフライパンで卵焼きを作っていて、毎回うまく巻けずに「スクランブルエッグ寄りの何か」になっていました。妻は諦めて卵焼き自体を作らなくなっていた。
買ったのはカローテの14×18cmの2点セットで、2,000円弱でした。うちはガスコンロなのでIH対応は不要だったんですが、価格が同じなら気にしない。使ってみて一番良かったのは、朝の卵1個をこれで焼くと2分半で終わることです。26cmのフライパンは温まるまでに時間がかかるし、洗う面積も広い。小さいことがそのまま時短になるタイプの道具でした。
短所も書いておきます。まず、コーティングは永久ではありません。これは2,000円の製品に期待するほうが間違っている。うちは半年ほど使って、まだ問題なく卵が滑りますが、金属のヘラを使ったら終わりだと思っています。それから取っ手が細めで、握力の弱い人には少し扱いにくいかもしれない。妻は「持ち手が短いから返しやすい」と言っていて、ここは好みが分かれそうです。
あと1点、2点セットなので同じものが2つ届きます。1つで足りる人は割高になる可能性があります。うちは1つを実家に持っていったので結果的に無駄になりませんでしたが、購入前に確認したほうがいい部分です。
「セットで買う」を一度失敗している
これは反省として書いておきたい話です。結婚した年に、調理器具の10点セットを買いました。フライパン、鍋、包丁、まな板、ざる、ボウルが一式入って1万円台という、いかにも新生活向けのやつです。
結果として、3年後まで生き残ったのはボウルとざるだけでした。フライパンのコーティングは1年半で剥がれ、包丁は切れ味が落ちてから研ぐ気になれず、まな板は食洗機に入らないサイズだったので毎回手洗いになって、結局買い直しています。
セットの問題は、全部の道具が同じ寿命ではないことです。包丁は10年使えるはずのものだし、フライパンは2〜3年の消耗品。まな板は食洗機に入るかどうかで運用が変わる。それを一括で決めてしまうと、どこかが必ず妥協になります。いま同じ立場の人に聞かれたら、「ボウルとざるだけセットで買って、あとは1点ずつ選べ」と答えます。
ただ、フォローもしておくと、引っ越し初日に何もない状態で困るよりはセットのほうがいい。貝印の11点セットのように、まな板と包丁とざるまで入って当日から使えるものは、当座をしのぐ選択としては合理的です。使いながら1点ずつ入れ替える前提で買うなら、悪い買い物ではありません。
食洗機とガスコンロという前提が、選択の半分を決めていた
道具を選び直して気づいたのは、我が家の場合は「食洗機に入るか」と「ガス火で使えるか」で候補が半分に絞られるということでした。
食洗機は幅が決まっているので、まな板も鍋も「入るサイズ」が上限になります。入らないものは手洗いになり、手洗いになるものは使用頻度が落ちる。これは意志の問題ではなく、単純に夜10時に洗い物を増やしたくないだけです。実際、食洗機に入らない大きいまな板は月1回も使わなくなりました。
ガスコンロのほうは逆で、IH専用でなければだいたい使えるので選択肢が広い。ただし五徳の形状で小さい鍋が安定しないことがあります。14cmのミルクパンが五徳の上でぐらついて、そのまま使わなくなったのは我が家の実例です。ミルクパン自体は悪くないんですが、うちのコンロとは相性が悪かった。こういうのは買ってみないと分からないので、安いものから試すしかないと思っています。
それと、食洗機がある家では「食洗機対応」と書いてあるかどうかを毎回確認する癖をつけたほうがいい。木のまな板も、天然木の柄がついた包丁も、いいものではあるけれど食洗機には入れられません。手洗い前提の道具を1点混ぜると、その1点のために毎日シンクに何かが残ります。うちは道具の見直しのときに、この基準を最優先にしました。
次に入れ替える順番を決めた
いま決めているのは、消耗の速い順に替えるという方針です。フライパンのコーティングが怪しくなったら本体ごと、蓋と取っ手は先に単品で買い足す。包丁は研ぎに出して延命し、まな板は食洗機のサイズに合うものだけを持つ。この3つが片付けば、あとは大きな出費はしばらく発生しない見込みです。
優先順位をつけるときに使っている基準は、ひとつだけ。週に何回その道具に触るかを、金額で割る。週5回使う包丁に2万円出すのと、月1回の道具に3,000円出すのでは、1回あたりのコストが2桁違います。包丁やまな板のように毎日触るものは多少高くても回収できるし、逆に年数回のものは安いもので十分、という判断になる。この計算をするようになってから、レジで迷う時間がかなり減りました。
もうひとつ、買う前に必ず測るようにしました。食洗機の庫内の高さ、引き出しの内寸、コンロの五徳の直径。この3つをスマホのメモに入れてあります。まな板の失敗も、ミルクパンの失敗も、要は測っていなかったことが原因でした。数字をメモしておけば、店頭でもネットでも判断が一瞬で終わります。
道具を減らして分かったのは、料理が早くなったというより取りかかるまでの心理的な重さが減ったことでした。引き出しを開けて目的のものがすぐ取れる。それだけで、疲れている日でも夕飯を作る気になれる。11点手放して得たのは、たぶんそれです。
道具ごとの詳しい記事
この記事で触れたものは、それぞれ単体でも詳しく書いています。気になったものがあれば個別記事も読んでみてください。
- 包丁|1本で足りるのか2本要るのか
- まな板|食洗機に入るサイズが正義
- フライパンの蓋と取っ手|本体より先に困る部分
- 圧力鍋|使う日が本当に来るのか考えた
- 冷凍用の袋と容器|どちらに何を入れるか
- 計量道具|使わなくなったものと残ったもの
- ピーラーとスライサー|時短になるか計った
- キッチンばさみ|まな板を出さない日のために
- 菜箸とトング|手が塞がる時間を減らす
- ボウルとザル|重ねられるかで決める
- 水切りかご|置かない選択もある
- 食器|割れない素材に替えた話
- 子ども用の食器|0歳から2歳で変わるもの
- 保冷バッグと保冷剤|夏場に外へ持ち出すもの
- コーヒーの道具|手間をどこまで削るか
- 水筒とマグ|結局どれを毎日使っているか
- 三角コーナーをやめた|生ゴミの置き場所を変える
- ラップとポリ袋|使い分けで消費が変わる
- 買って失敗したキッチン用品|引き出しの奥のもの

