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子どもが寝てから自分が寝るまでの時間を、二週間ぶんストップウォッチで測ってみました。平均28分。長い日で55分、短い日は9分です。子どもが生まれる前は平日でも夜に2時間くらいは自由に使えていたので、実質10分の1以下になった計算になります。
問題は「短い」ことだけじゃなくて、長さが読めないことでした。今日は45分いけるな、と思って始めた作業が、10分で泣き声に中断される。この不確実さのせいで、そもそも何も始められない夜が2週間ほど続きました。
そこで一度、やりたいことを全部紙に書き出して「この30分で成立するか」だけで選び直しました。この記事は、その選別の記録です。何を諦めて、何が残ったか。
まず、測ってみないと話が始まらなかった
体感では「1時間くらいはある」と思っていたんですが、実際は全然違いました。寝かしつけが終わるのが21時前後。そこから哺乳瓶を洗って、リビングのおもちゃを片づけて、明日の保育園の準備をして、というのを妻と分担すると、座れるのが21時40分ごろ。翌朝は6時起きなので、22時半には布団に入りたい。逆算すると50分です。
ところが、そのうちスマホを意味なく触っている時間が平均11分ありました。これはスクリーンタイムの記録なので、たぶん実際はもう少し多い。加えて、寝室から泣き声が聞こえて様子を見に行くのが、二週間で9回。1回あたり5分から15分。ならすと正味の可処分時間は30分弱というのが我が家の現実でした。
もうひとつ分かったのは、寝室と子ども部屋を分けていない我が家では、音を出せる場所が事実上ないということです。リビングと寝室はドア1枚。テレビをつけると、音量を10段階中の2まで絞っても子どもが動く日があります。妻が先に寝ている日はなおさら気を使う。時間の短さより、この音の制約のほうが選択肢を削りました。
整理すると、私の夜にかかっている縛りは3つです。30分から1時間しかない。音を立てられない。そしていつ中断されるか分からない。以下の判断は全部、この3つを基準にしています。
諦めたもの、3つ
最初に切ったのはオンライン対戦のゲームです。マッチングして試合が始まったら、途中で抜けられない。抜けると味方に迷惑がかかります。泣き声が聞こえた瞬間に「あと3分だけ」と思ってしまう自分が、単純に嫌でした。30分あるかどうか以前に、そもそも中断できない構造なので無理だった、というのが結論です。
次が映画。2時間を細切れで観るのは、私には合いませんでした。3日に分けて観た映画の内容を、正直あまり覚えていない。集中して観たいものほど、この環境と相性が悪いんですよね。今は月に一度、妻と交代で「片方が子どもを見て、もう片方が2時間もらう」という日を作って、そこに寄せています。
3つ目がジム。往復で40分、着替えて汗を流して、となると最低でも90分は出ていきます。子どもが生まれる前に月4,000円ちょっとで通っていたところは、3ヶ月ほど幽霊会員でいたあと解約しました。行けないと分かっていたのに3ヶ月分をそのまま捨てたのは、そこそこ痛い失敗です。判断が遅れた理由は「来月から行くつもりだった」以外にありません。
逆に、諦めなくてよかったものもあります。それを分けたのが次の基準でした。
細切れでも成立する趣味の、3つの条件
残ったものを見返すと、共通点がはっきりありました。ひとつめは任意のタイミングで止められること。セーブポイントまで進まないと中断できないもの、途中で放置すると素材が乾いたり固まったりするものは、この時点で外れます。
ふたつめは音を自分の側で完全に止められること。スピーカーから出る音は部屋の状況に依存するので、イヤホンを挿すか、そもそも無音でできるものに限られました。音量調整で何とかする、というのは何度か試して失敗しています。夜中に音量スライダーを操作している時点で、集中は切れています。
3つめは準備と片づけが合わせて3分以内であること。30分のうち10分を準備に使うなら、それは実質20分の趣味です。しかも「片づけが面倒だから今日はやめておく」が一度発生すると、そのまま一週間やらなくなる。道具を出して広げるタイプは、我が家では自然と続かなくなりました。
この3条件で振り分けて、手元に残ったのが次の4つです。金額でいうと全部合わせても2万円台。ジムの年会費より安く済みました。
残ったもの1:携帯ゲーム機
据え置き機をやめて、手のひらに乗るゲーム機に切り替えました。使っているのはGBAのカートリッジが挿せる3.0インチのレトロ機で、内蔵ソフトが40種類ほど入っているタイプです。IPS液晶で解像度は320×240。画面は小さいけれど、昔のドット絵ならこれで十分でした。
何より、本体のボリュームをゼロに絞ってしまえば完全に無音です。バイブレーションもないので、机に置いても振動音が出ない。そしていつ電源を切っても、失うのはせいぜい直近の数分。この安心感が想像以上に効きました。中断される前提の環境では、中断のコストが低いことがそのまま楽しさになります。
不満もあります。ボタンの押し心地は正直ふにゃっとしていて、シビアな操作を要求されるアクションだと取りこぼしが出ます。あとは充電端子まわりの作りが値段なりで、ケーブルの抜き差しが少し固い。精密機器としての完成度を期待すると裏切られます。
残ったもの2:クリップ式の読書灯
本は元々好きだったんですが、子どもと同じ部屋にいると部屋の照明をつけられません。かといってスマホの画面で読むと、そのまま通知を見に行ってしまう。それで、手元だけを照らすクリップライトを買いました。
USB充電式で、色温度が3段階、明るさは無段階調光。首が360度回るので、本の真上ではなく横から斜めに当てると紙が光らず読みやすくなります。電球色にして一番暗い側にすると、隣で寝ている子どもの顔まで光が届きません。ここは何度か角度を変えて試した結果です。
ひとつ誤算だったのは、明かりよりページをめくる音のほうが響くことでした。ハードカバーだと特に。今は文庫か、めくる回数が少ない本を夜用に選んでいます。あとクリップの挟む力が強めなので、薄い雑誌の表紙には跡がつきます。
残ったもの3と4:手を動かす3分と、書く2分
3つめは、コーヒーを淹れることです。これは飲むためというより、手を動かす時間として残りました。お湯を沸かして、粉を入れて、30秒蒸らして、3回に分けて注ぐ。全部で3分ちょっと。ドリッパーとサーバーがセットになった1〜4杯用のガラス製のものを使っています。円錐形のドリッパーなので、注ぎ方で味が変わるのが分かりやすい。
ただし夜に淹れる回数は、週1〜2回まで減らしました。22時にカフェインを入れると、私の場合は明らかに寝つきが悪くなります。今はデカフェの豆を1袋常備して、夜はそっちを使う。豆を変えただけなので手順は昼と同じです。難点は洗い物が3つ増えること。ドリッパー、サーバー、カップ。これが夜の頻度が落ちた一番の理由で、ガラス製なので割れる心配もあります。
4つめは日記です。最後まで意外だったのがこれでした。B5サイズの3年日記を1冊置いて、1日3行だけ書く。所要2分。育児の記録は別のアプリでつけているので、こっちには自分のことだけを書くと決めました。何を作ったか、何にイライラしたか、それだけ。
1ページに3年ぶんが並ぶ形式なので、来年の同じ日に去年の自分が見えるはずです。まだ1年経っていないので、その効果自体は体験できていません。ただ、書けなかった日が真っ白のまま残るのは、これはこれで記録だなと思っています。日付が印刷済みなので、飛ばした日をごまかせないのが良し悪しです。
30分の使い方で、翌日が地味に変わる
実感として一番大きかったのは、何をしたか覚えている夜と、スマホを見て終わった夜とで、翌朝の気分がはっきり違うことでした。同じ30分なのに、後者は「何もできなかった」という記憶に丸められる。時間の長さの問題ではなく、記憶に残るかどうかの問題だったんだと思います。
もちろん、疲れきっていて何もせず寝る日もあります。というより、そっちが正解の日も多い。ただ、選択肢を数個だけ用意して手の届く場所に置いておくと、選べる日にちゃんと選べるようになりました。全部を机の上のトレイ1つにまとめてあるので、迷う時間がゼロなのも効いています。
逆に言うと、この3条件を満たさない趣味は、今の私には向いていないというだけの話でもあります。子どもがもう少し大きくなって、寝室が分かれて、まとまった時間が戻ってきたら、また評価は変わるはずです。今の基準を一生ものだと思わないほうがいい、というのは自分に言い聞かせている部分です。オンライン対戦も映画も、やめたのではなく預けているだけ、という感覚でいます。
この記事に続く各記事では、ここで触れたもの以外も含めて、ひとつずつ細かく書いていきます。どれも判断の基準は同じで、中断できるか、音が出ないか、3分で始められるか、の3つだけです。
それぞれの詳しい記事
この記事で触れたものは、それぞれ単体でも詳しく書いています。気になったものがあれば個別記事も読んでみてください。

