UPS 無停電電源装置|停電でビルドが飛ぶ前に

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去年の夏、雷雨の日に家のブレーカーが一瞬落ちました。時間にして1秒あるかないか。照明が瞬いただけです。それでも、デスクトップ機で走らせていたビルドは死に、NASは異常終了し、ルーターは再起動して復帰まで2分かかりました。会議中でした。この1秒のために1万円ちょっとの機械を置くのは過剰かとも思ったんですが、置いてから同じことが2回起きたので、結果的には正解でした。

1秒の瞬断で、何が失われたか

まず状況を整理します。うちの作業環境で、電源が落ちると困るものは3つありました。

ひとつは計算中のプロセス。あのときはFlutterのリリースビルドを回していて、開始から6分経ったところでした。落ちれば当然やり直しです。6分は致命的ではありませんが、腹は立ちます。

ふたつめがNAS。書き込み中に電源が切れると、ファイルシステムが不整合を起こすことがあります。実際に再起動後のチェックで40分持っていかれました。データは無事だったものの、あれが毎回無事とは限りません。

みっつめがルーターでした。これが実は一番効きました。電源が復帰してからルーターが起動して、回線を確立して、通信が戻るまで実測で2分10秒。会議中にこれが起きると、2分間まるごと消えます。しかも復帰したときには、こちらが落ちたことを相手に説明するところから始まる。

停電対策というと重い装置を想像しますが、実際に効くのは数秒から数分の瞬断への備えです。長時間の停電は、そもそも仕事を諦めるしかない。

UPSが守るのは「時間」ではなく「終わり方」

買う前に一番誤解していたのが、UPSの役割です。停電しても仕事を続けられる装置だと思っていました。違います。

家庭用の小型UPSがつないだ機器を動かせるのは、負荷にもよりますが数分から十数分。長時間の停電で作業を続けるための装置ではありません。UPSの本来の役割は、安全に終わらせるための時間を稼ぐことです。ファイルを保存して、NASをきちんとシャットダウンして、機器が壊れない形で電源を落とす。そのための猶予を数分だけ買う機械。

この理解に切り替えてから、必要な容量の考え方が変わりました。1時間持たせる必要はない。5分あればいい。そう考えると、必要な機種のグレードがかなり下がります。

買ったのはCyberPowerのST425JP

選んだのはCyberPowerのST425JP。425VA/260Wの常時商用給電タイプで、メーカー保証は3年です。

容量の見積もりはこうしました。つないでいるのはルーター(実測6W)、中継機(4W)、NAS(アイドル時14W、アクセス時22W)、それとデスクトップ機ではなくMacBookの電源アダプタ(60W)。合計してもピークで100Wを切ります。260Wの機種なら余裕がある計算です。

実際に停電を模してコンセントを抜いてみたところ、この構成で13分ほど持ちました。ルーターと中継機とNASだけに絞ると、25分を超えます。5分あればいいという要件からすれば十分でした。

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常時商用給電というのは、普段は壁のコンセントの電気をそのまま流して、停電を検知したときだけバッテリーに切り替える方式です。切り替えに数ミリ秒かかりますが、PCやルーターの電源はそれくらいの瞬断なら耐えられる設計になっているのが一般的です。方式としては一番安価で、消費電力も少ない。

矩形波という、無視できない注意点

この機種の最大の注意点が出力波形です。バッテリー運転中の出力は矩形波、いわゆる疑似正弦波と呼ばれるもので、家庭のコンセントに来ている正弦波とは形が違います。

何が問題かというと、機器によっては相性が出ます。特に注意が要るのが、力率改善回路(PFC)を積んだ電源ユニットです。デスクトップPCの電源ユニットの多くが該当します。矩形波を入力すると、機器側が異常と判断して停止したり、異音を出したりすることがあるとされています。

私はここを確認せずに買いかけて、直前に気づきました。もしメインのマシンがデスクトップだったら、この機種ではなく正弦波出力のモデルを選ぶ必要があった。うちはMacBookとACアダプタ、それとNASとルーターという構成で、いずれも問題なく動いています。つなぐ機器がPFC電源のデスクトップPCなら、値段は上がっても正弦波出力の機種を選んだほうが安全です。

あと、レーザープリンターや加湿器のような、瞬間的に大きな電流を要求する機器はUPSにつながないほうがいいとされています。定格を超えて保護回路が働きます。

コンセントの数と、置き場所で少し困った

実物が届いてから困ったことがあります。この機種はコンセントが複数ありますが、全部がバッテリー給電に対応しているわけではありません。バッテリー+サージ保護の口と、サージ保護のみの口が分かれています。

間違えて、NASの電源をサージ保護のみの口に挿していました。2週間気づかず、たまたま配線を見直したときに発見。一番守りたかった機器が守られていなかったわけです。導入したら、必ず実際にコンセントを抜いて動作確認をしたほうがいい。私はそれをやらずに、机上で「これで安心」と思い込んでいました。

置き場所も想像と違いました。本体の重量が2.5kgほどあって、思ったより重い。デスク下の床に置くと掃除の邪魔になるし、棚に載せるには重量が気になる。今はカラーボックスの一番下の段に押し込んでいます。あと、動作中にごく小さい電子音がします。静かな部屋だと分かるレベルです。

バッテリーは消耗品だと理解しておく

これは買う前から知っていたつもりで、実感としては薄かった部分です。UPSの中身は鉛蓄電池で、寿命があります。一般的には3〜5年程度で交換が必要とされていて、使用環境の温度が高いほど早く傷むと言われています。

つまり、UPSは買って終わりではなく、数年ごとにバッテリー代がかかる装置です。交換用バッテリーが供給されている機種かどうか、交換にいくらかかるかは、買う前に見ておいたほうがいい。機種によっては本体を買い直したほうが安いこともあります。

私は購入日をカレンダーに登録して、3年後にバッテリーの状態を確認するリマインダーを入れました。管理画面から劣化状況が見られるので、そこで判断するつもりです。

置いてから、2回助かった

導入から7ヶ月で、実際にバッテリーに切り替わったのが2回ありました。1回は近所の電気工事、1回は台風の日の瞬断です。

どちらも、体感としては何も起きませんでした。それが正しい動作です。会議は途切れず、NASは動き続け、UPSが「ピッ」と一度鳴っただけ。私が気づいたのは、あとでログを見たときでした。

1万円ちょっとの機械が、年に2〜3回、数分の面倒を消してくれる。効率としては微妙な投資かもしれません。ただ、瞬断のたびにNASのファイルシステムを心配する時間がなくなったのは、金額に換算しづらい価値がありました。データが壊れる確率を下げるための保険としては、安いほうだと思っています。

この記事は在宅環境の個別レビューです。どこから手を付けるべきかはデスク以外の在宅環境|見落としがちな投資先で整理しています。

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