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子どもが生まれてから、写真の枚数が爆発しました。半年で1万2千枚、動画を含めて容量は480GB。iPhoneのストレージはとっくに限界で、クラウドの契約は2GB単位で膨らんでいく。そこに個人開発のプロジェクトデータとビルド成果物が乗ってきて、自宅にNASを置きました。導入して5ヶ月。便利になった部分と、想像より面倒だった部分を書きます。
クラウドだけで回らなくなった理由
もともとは全部クラウドでした。写真は月額の共有プラン、開発用のリポジトリはGitHub、大きなアセットはクラウドストレージ。これで足りていたんです。
崩れたきっかけは3つありました。ひとつは単純に容量単価。写真と動画で480GB、これに妻の分が加わって、2人で2TBのプランに移行しました。年額にすると1万3千円ちょっと。使い続ける限り毎年かかります。
ふたつめが速度です。Flutterのプロジェクトを何本か抱えていると、ビルドキャッシュやシミュレータのイメージがすぐ数十GBになります。これをクラウド同期の対象に入れると、同期が終わらない。除外設定を細かく書くのも面倒で、結局ローカルに置きっぱなしになっていました。つまりバックアップされていない。
みっつめが、ここが一番大きかったんですが、妻が撮った写真と私が撮った写真が別々の場所にあること。共有アルバムに入れるひと手間が挟まると、たいてい入れ忘れます。子どもの写真が2つのスマホに分散していて、後から探すときに両方見る羽目になっていました。
2ベイという選択
NASを調べ始めて、まず決めたのがベイ数です。ベイというのはハードディスクを入れる場所の数で、1ベイ、2ベイ、4ベイと選べます。
1ベイは安いですが、ディスクが1本なので壊れたら終わり。4ベイは柔軟ですが、本体が大きくなって値段も上がるし、消費電力も増える。24時間動かす前提だと電気代に効いてきます。
2ベイにして、同じ容量のディスクを2本入れてRAID1、つまりミラーリングにしました。同じ内容を2本に同時に書き込む方式です。片方が壊れても、もう片方が生きていれば動き続ける。
ここで大事なのが、RAID1はバックアップではないということです。これは何度も自分に言い聞かせています。RAID1が守るのはディスクの物理故障だけ。私が間違えてフォルダを消したら、2本とも同時に消えます。ランサムウェアに暗号化されたら、2本とも暗号化される。火事や落雷なら、当然2本ともやられます。RAID1は「故障で止まらないための仕組み」であって、「データを失わないための仕組み」ではありません。
買ったのはUGREENの2ベイNAS
選んだのはUGREEN NASync DH2300。2ベイのデスクトップ型で、メモリ4GB搭載、最大64TBまで対応します。
この価格帯を選んだ理由は、私の用途が「ファイルを置く」で完結していたからです。仮想マシンを動かしたいとか、Dockerでサービスをいくつも立てたいという話になると、もっとCPUの強いモデルが要ります。私は写真の保管と、開発データの置き場と、Time Machineの宛先。この3つだけでした。
ディスクは別で買って、NAS向けとして売られている4TBを2本入れました。RAID1なので実効容量は4TBです。導入時、初期同期に11時間かかりました。夜に始めて、朝には終わっている、くらいの感覚です。
初期設定は確かに簡単でした。スマホアプリからNFCで本体にタッチして接続する仕組みがあって、IPアドレスを調べる作業がありません。ここは想像より親切でした。
不満は、静かではないことと、アプリの粗さ
いちばんの誤算は動作音です。NAS本体のファンはそれほどうるさくないんですが、中に入れたハードディスクのシーク音が響きます。深夜、部屋が静かなときにバックアップが走ると、カリカリという音がはっきり聞こえる。
うちはリビングのテレビ台の脇に置いているんですが、寝室の子どもが起きるほどではないものの、私が夜に作業しているときは気になります。防振ゴムを4隅に貼って多少マシになりました。SSDにすれば無音ですが、4TB×2本をSSDで揃えると値段が跳ね上がるので、ここは音を取るか金を取るかの選択です。私は音を我慢しました。
もうひとつ、スマホアプリの写真同期が期待ほど賢くありません。自動バックアップは動くものの、Live Photosの扱いや、重複判定のあたりが大手クラウドサービスほど洗練されていない。同じ写真が2つ入っていたことが何度かありました。写真管理の使い勝手だけで言えば、クラウドサービスのほうが上です。
あと、これはNAS全般の話ですが、外出先からのアクセスは設定を慎重にやったほうがいいです。私はメーカーの中継サービス経由に限定して、ポート開放はしていません。自宅のNASを直接インターネットに晒すのは、リスクの割に得るものが少ないと判断しました。
クラウドとの使い分けが、結局こうなった
5ヶ月やってみて、落ち着いた形はこうです。
- 写真・動画の原本:NASに集約。妻のスマホからも自動でここに入る
- 直近1年の写真:クラウドにも置いて、外出先でもすぐ見られる状態にする
- 開発データ・ビルド成果物:NASのみ。消えても作り直せるものは二重化しない
- 本当に失いたくないもの:NASから外付けHDDに月1回コピーして、別の部屋に保管
最後の項目が重要でした。RAID1はバックアップではないので、別のコピーが要ります。私は月初の日曜に外付けHDDをつないで差分コピーを取り、実家に持っていくときに更新しています。頻度としては粗いですが、何もないよりはるかにマシです。
停電と故障が、常に頭の片隅にある
NASを置いてから、家の電源に神経質になりました。
書き込みの最中に電源が落ちると、ファイルシステムが壊れることがあります。実際、導入から2ヶ月目に近所の工事でブレーカーが一瞬落ちて、NASが異常終了しました。再起動後にファイルシステムのチェックが走って、完了まで40分。データは無事でしたが、あのときは本当に肝が冷えました。
ディスクの寿命も気にしています。管理画面でS.M.A.R.T.の値を月に1回見るようにしていて、代替処理済みセクタ数がゼロのままかを確認しています。今のところ2本とも異常なし。ただ、同時に買った同じロットのディスクは、故障のタイミングも近くなる可能性があると言われています。次に買い足すときは、あえてメーカーを変えるつもりです。
データの置き場を自分で持つというのは、便利さと引き換えに管理の責任を持つことでした。クラウドなら向こうが勝手にやってくれていた部分が、全部こちらに回ってくる。それでも、子どもの写真が全部ひとつの場所にまとまっていて、妻のスマホからも私のMacからも同じものが見えるという状態には、値段以上の価値があります。
この記事は在宅環境の個別レビューです。どこから手を付けるべきかはデスク以外の在宅環境|見落としがちな投資先で整理しています。

