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午後2時から4時までの2時間、私はほぼ使い物になりませんでした。コードは書けるけど設計が進まない。レビューを読んでも頭に入らない。昼食のせいだと思って糖質を減らしても、コーヒーを増やしても、変わりませんでした。原因が分かったのは、CO2センサーを置いた翌日です。閉め切った6畳の部屋で、午後2時の二酸化炭素濃度は1800ppmを超えていました。眠かったのは私の意志の問題ではなく、部屋の空気の問題だったんです。
眠気の原因を疑う順番を間違えていた
在宅勤務を始めて4年目です。午後の集中力が落ちることには、ずっと自分なりの説明をつけていました。昼食で血糖値が上がって下がるから。朝が早いから。子どもが生まれてから夜中に2回起きるから。どれも間違ってはいないんですが、対策を打っても改善しなかったので、どこかで説明が足りていなかったわけです。
おかしいと思ったのは、同じ睡眠時間・同じ昼食でも、ダイニングで作業した日は眠くならないと気づいたときでした。ダイニングは南向きで、換気扇の近くで、妻が日中に窓を開けています。私の作業部屋は北側の洋室で、冬のあいだドアも窓も閉め切っていました。
空気が悪いんじゃないか、という仮説自体は前からありました。ただ「空気が悪い」は測れないので、何もできなかったんですよね。エンジニアなのに、数値を見ずに体感だけで判断していた。ここが一番まずかったと思っています。
閉め切った6畳が1000ppmを超えるまで、40分
置いたのはSwitchBotのCO2センサーです。温湿度計も兼ねていて、大画面に現在値が出て、スマホアプリに履歴が残ります。私が欲しかったのは瞬間値より履歴のほうだったので、これは合っていました。
実測して驚いたのは、悪化の速さです。朝、窓を10分開けたあとの数値が480ppm前後。外気はおおむね400ppm台とされているので、まあ妥当な値でしょう。そこからドアを閉めて仕事を始めると、40分ほどで1000ppmを超えました。90分で1400ppm。昼食から戻って午後の会議に入る頃には1800ppmに届きます。
建築物衛生法では室内の二酸化炭素濃度を1000ppm以下に保つことが基準とされていて、これは学校や事務所の環境衛生の目安としてよく引かれる数字です。つまり私の部屋は、仕事を始めて1時間もしないうちにオフィスなら基準外の空気になっていた。しかも私は、その中で7時間座っていたわけです。
ppmと眠気の関係については、研究によって差があるようで、私も断定はできません。ただ自分のログを2週間分並べると、1500ppmを超えた時間帯とタスクの進みが悪かった時間帯は、かなりの割合で重なっていました。因果の証明にはなりませんが、行動を変える根拠としては十分でした。
「眠くなったら換気」をやめて、時刻で決めた
最初にやったのは、アラート機能で1200ppmを超えたら通知が来る設定です。これは1週間で切りました。理由は単純で、通知が来る頃にはもう頭が回っていないからです。眠くなってから窓を開けても、集中が戻るまでに20分以上かかりました。
切り替えたのは、時刻で機械的に換気するやり方です。10時、12時、15時。それぞれ5分だけ窓を開ける。カレンダーに繰り返し予定として入れました。5分でどこまで下がるかも測ってあって、1600ppmから5分の換気で700ppm前後まで落ちます。真冬でも部屋の温度が下がるのは1.5度くらいで、10分もあれば戻りました。
意外だったのは、ドアを5cm開けておくだけでかなり違うことです。窓を閉めたままドアだけ開けて廊下とつなげると、上限が1200ppmあたりで止まりました。冬場、窓を開けたくない日はこれで凌いでいます。
会議中の数値を見て、話し方まで変わった
もうひとつ発見がありました。オンライン会議中は数値の上がり方が明確に速いんです。黙って作業している時間より、しゃべっている時間のほうが呼気の量が多いので、当たり前といえば当たり前なんですが。1時間の会議で400ppmくらい余分に上がります。
週に一度、2時間続くスプリントの計画会があって、これが終わるといつも頭痛がしていました。数値を見たら2200ppmまで行っていた。今は開始前に必ず換気して、1時間の区切りでカメラをオフにして窓を開けています。頭痛は出なくなりました。
子どもがいる家庭だと、もうひとつ判断材料になります。生後6ヶ月の子が昼寝している寝室は、当然ドアを閉めています。そこも測ってみたら、2時間の昼寝で1300ppm前後まで上がっていました。赤ちゃんは大人より呼吸数が多いので、狭い部屋を閉め切るときの目安が数値で持てるのは安心材料でした。妻とも「寝室は昼寝の前後で必ず開ける」というルールを共有できています。
不満な点と、置き場所で数値が変わる話
短所を書きます。まず電池運用だと消耗が速い。単三電池で使い始めたら3週間ほどで残量表示が減り始めたので、USBケーブルで給電しています。常時通電が前提の機器だと思ったほうがいいです。ケーブルが1本増えるのは正直うっとうしい。
次に、精度に関わる注意点。自分の口元の近くに置くと、実際の部屋の平均より高い値が出ます。最初、モニターの手前、顔から40cmの位置に置いていて、数値が異様に高いと思ったら呼気を直接拾っていました。今は机の端、顔から1.2mほど離した壁際に置いています。同じ部屋でも設置場所で200〜400ppmくらい平気でずれるので、置き場所を決めたら動かさないほうが、履歴として意味を持ちます。
それと、NDIR方式のセンサーは定期的な自動校正が入る仕様のものが多くて、たまに窓を開けた新鮮な空気に触れさせないと基準がずれていくと言われています。私は週末に窓際に置いて30分放置する、というのを習慣にしました。これが本当に必要かは正直分かっていませんが、コストがゼロなのでやっています。
買う前に考えておくといいこと
失敗談をひとつ。私は最初、2000円くらいの安いCO2計を買っています。半導体式と書かれていて、届いてすぐ息を吹きかけたら5000ppmまで跳ね上がって、そこから10分経っても400ppm台に戻らなかった。反応が遅いというより、値が信用できない感じでした。返品して買い直したので、結果的に2000円を捨てています。センサーの方式は買う前に確認したほうがいいです。
あと、これは効果の話ですが、数値が見えるようになっても部屋の空気そのものは勝手に良くはなりません。当然ながら、センサーは測るだけです。換気という行動を変えて初めて意味が出る。私の場合はカレンダーに予定を入れたことが効いたので、測定器と一緒に「換気の時刻」を決められるかどうかが分かれ目だと思っています。
午後の眠気を意志で殴っていた4年間が、5分の換気3回で終わりました。原因を体調に求めていたのが間違いで、部屋を疑うべきだったんです。同じように在宅で午後だけ調子が悪い人がいたら、まず自分の部屋の数値を見てみる価値はあると思います。

