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座り方が悪い、というのは分かっていました。分からなかったのは、なぜ最初はまっすぐ座れているのに、1時間後には同じ崩れ方をしているのかです。
意識で直そうとして、3ヶ月やって無理でした。集中していると姿勢のことは頭から消えます。だったら構造のほうを変えるしかない、と考えて骨盤サポートと呼ばれるタイプのクッションを試しました。この記事は、その仕組みと、実際に使ってどこまでで頭打ちになるかの話です。椅子はそのまま、座面だけの話に絞ります。
崩れているのは背中ではなく、骨盤の角度だった
姿勢が悪いと言われると、背中を反らせて胸を張ろうとしがちです。私も長いことそうしていました。でもその形は数分でしんどくなって、また元に戻る。
調べていて腑に落ちたのが、土台のほうが先だという説明でした。座ったとき、体重を受けるのは坐骨という左右2つの骨です。ここで受けているうちは骨盤が立っていて、背骨も自然にS字になる。ところが骨盤が後ろに倒れると、受ける場所が坐骨から仙骨、つまり尻の後ろ側にずれます。この状態が、いわゆる仙骨座り。
そうなると背中は丸まるしかありません。背中だけ伸ばそうとしても、土台が後ろに転がったままなので長続きしない。順番が逆だったわけです。私の場合、これが分かっただけで対策の方向が変わりました。
前滑りが起きる理由が、座面の形にあった
もうひとつの原因が、尻が前にずれることでした。座って40分もすると、背もたれと腰の間に拳が入るくらいの隙間ができている。
これは意志の弱さというより、座面が平らか、前が下がっていると起きやすいそうです。摩擦と重力の合成で、体はゆっくり前に流れる。しかも前にずれると背もたれに寄りかかるために骨盤が倒れるので、仙骨座りとセットで進行します。
骨盤サポート系のクッションは、ここに形で介入します。後ろが高く、前が低い座面にして、坐骨が後ろに落ち着く位置を作る。ものによっては太ももの外側に土手のような立ち上がりがあって、脚が開くのを抑えます。理屈としては分かりやすい構造です。
硬めの高反発のほうが、私には合っていた
最初に買ったのは柔らかい低反発タイプでした。座った瞬間の気持ちよさはこちらが上です。ただ、20分ほどで沈み込んで、後ろの高さが消えました。沈んだ結果、傾斜が平らに近づいて、崩れ方は以前と変わらない。
そこで硬めの高反発に替えました。MORIPiLOの骨盤サポートクッションのように、はっきり硬めと書かれた高反発の座布団タイプです。楽天だと勝野式の骨盤クッションが4,180円前後で、こちらは太ももの外側の立ち上がりが強めのタイプ。Amazonには折りたたみ式で背もたれまで一体になったLASSE MOAのような姿勢サポートチェアもあります。
硬さの表記は製品によってばらばらで、比較しづらいところです。ウレタンの反発力をニュートンで書いてあるものもあれば、単に「硬め」としか書いていないものもある。私は結局、レビューで「沈まない」と書かれているかどうかを目安にしました。あまり良い選び方ではないと思いますが、店頭で座り比べられない以上、ほかに手がなかったです。
硬いほうは、座った瞬間は正直あまり快適ではありません。最初の2日は尻が痛かったです。ただ3日目くらいから慣れて、そのあとは沈まないぶん後ろの高さが夕方まで残る。座り直したくなったときに、戻る位置がある感じでした。
90分で結局ずれる、という限界がある
正直に書くと、これを敷けばずっと骨盤が立ったまま、ということはありません。私の場合、だいたい90分を過ぎたあたりから前に流れ始めます。
ただ、以前と違うのは気づくタイミングです。前に滑ると、後ろの高い部分に尻が乗らなくなって、腿の裏の当たり方が変わる。その違和感で「あ、ずれた」と分かります。座り直すきっかけが物理的にできた、というのが私の実感で、それ以上のことは期待しないほうがいいと思っています。
いまはタイマーと組み合わせています。45分ごとにアラームを鳴らして、立つか座り直すか。クッションはあくまで、座り直したときの着地点を決める役割です。姿勢が矯正されて何かが治る、というような使い方はしていません。腰の違和感が数週間続いたり、脚のしびれを伴うようなときは、道具を買い足す前に整形外科で相談するのが先だと思います。
夏の蒸れと、カバーを外せるかどうか
高反発ウレタンの弱点は、通気です。うちの仕事部屋は西向きで、8月の午後はエアコンを26度にしても背中に汗をかきます。密度の高いウレタンは空気が抜けないので、太ももの裏がじわっとしてくる。
対策として、メッシュのカバーが付いているものを選びました。それでも夏場は、3時間座ると湿ります。私は洗い替えのカバーをもう1枚買い足して、週に1回ローテーションしています。カバーはファスナーで外せて、洗濯ネットに入れて洗濯機。乾くのに半日ほど。
本体のウレタンは丸洗いできないものが大半です。買う前にカバーが取り外せるかどうかは確認したほうがいい。ここを見ずに買って、汗が染みたまま使い続けた低反発のほうは、2ヶ月で処分しました。
厚みぶん座面が上がることと、車では使わなくなったこと
不満をもうふたつ。まず、後ろが高い構造なので、その分だけ座面全体が上がります。私のものは一番厚いところで9cm、坐骨が乗る位置でも6cmほど。椅子の高さを2cm下げて調整しました。高さの変わらない椅子だと、ここは詰みかねません。
もうひとつは車です。買った当初は運転席にも使うつもりでした。実際に置いてみると、シートがもともとバケット形状で、そこに傾斜のあるクッションを重ねると座面が高くなりすぎる。天井までの余裕が減って、ミラーの見え方まで変わりました。2回使って外しています。車用は、専用に設計された薄いものを別で用意するほうが現実的でした。
あと、太ももの外側の立ち上がりが強いタイプは、人によっては窮屈に感じます。私は問題なかったんですが、妻に貸したら「挟まれている感じがして落ち着かない」と言われました。体格で当たり方が変わるので、家族で共用するつもりなら、そこは期待しないほうがいいです。
椅子を買い替えられない人の、現実的な次の一手
まとめ方が難しいんですが、このクッションでやっていることは、座面の形を数千円で書き換えることだと思っています。椅子を替えずに、坐骨の落ち着く位置だけ作る。
90分でずれるという限界はあるし、夏は蒸れるし、座面は高くなる。それでも、崩れたことに自分で気づける状態になったのは大きい変化でした。合計で1万円弱の買い物のうち、当たりは4,180円のほう1つだけです。低反発から入って、硬めに行き着くまで2ヶ月かかりました。
いま同じ状態の人に何か言うとしたら、柔らかさで選ばないこと、それだけです。座った瞬間の気持ちよさと、夕方まで形が残ることは、たいてい両立しません。
この記事は個別の対処法です。座り仕事で出てくる不調の全体像は座り仕事の体|4年でガタが来た場所を並べるにまとめています。

