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寝かしつけの時間は、だいたい40分あります。うちの子は生後6ヶ月になったいまも、布団に置いてから寝つくまでにそのくらいかかる。部屋は真っ暗で、私は横に寝転がって、片手をトントンに使っている。この40分をどう過ごすかを1年近く考えていて、最終的に電子書籍リーダーに落ち着きました。スマホでも本は読めます。ただ、あの40分にスマホを開くと別のものが目に入るんですよね。ここでは、暗い寝室で使ってみて分かったことと、はっきり向いていない用途を書きます。
真っ暗な部屋で、片手だけで読める条件
寝室で本を読むための条件は、私の場合3つでした。真っ暗なままで読めること、片手で完結すること、そして子どもの顔に光が当たらないこと。
紙の本はこの時点で全部落ちます。読書灯をつければ子どもが起きるし、ページをめくるのに両手がいる。クリップ式の小さなライトも試しましたが、真横で寝ている顔に光が回り込みました。
電子ペーパーの端末が違うのは、光の出し方です。液晶のように背面から光を通すのではなく、画面の表面側から紙の面を照らすフロントライトという方式になっている。だから光が目に向かって直接飛んでくるのではなく、いったん画面で反射してから届きます。真っ暗な部屋で明るさを最小近くまで下げても、文字はちゃんと読めました。実際の設定は目盛りのいちばん下から2つ目です。この状態だと、隣の顔まで光は届きません。
選んだのはKindle Paperwhiteの16GB・広告なし
選定で迷ったのは画面サイズと、広告ありモデルにするかどうかでした。7インチディスプレイで、色調調節ライトがついていて、バッテリーは最大12週間。防水にも対応しています。
広告なしモデルを選んだのは、値段差より運用の理由が大きいです。広告ありだとスリープ画面に本の宣伝が出ます。真っ暗な部屋でスリープを解除したときに、読んでいた続きではないものが最初に目に入る。それが嫌でした。数千円の差はありますが、寝室専用機として買っているので、ここは払っておく判断をしました。
色調調節ライトは、寝る前だと確実に効きます。うちでは20時以降は暖色側にほぼ振り切っていて、白いままの表示と比べると画面がオレンジがかった紙の色になる。ただ正直に書くと、これは慣れの問題も大きいと思っています。最初の数日は「色が濁っていて読みにくい」と感じました。1週間ほどで気にならなくなり、いまは逆に昼間の白い設定のほうが眩しく感じます。買ってすぐ判断すると、この機能は不要だと結論しかねません。
ページ送りが片手で終わる
細かい話ですが、片手読書で効いているのはページ送りの操作です。画面の右側を親指でタップするだけで進む。左端をタップすれば戻る。持ち替えが発生しません。
実測で210g台なので、片手で持ち続けても手首が痛くならない重さでした。スマホより重いんですが、横になって持つときは重心が手のひらに乗るので体感は近い。ただし完全に不満がないわけではなくて、物理ボタンがないのは寝る前だと惜しいと感じます。目をつぶりかけたまま画面のどこかを触ると、ページ送りではなくメニューが降りてくることがある。上端付近のタップがそれなんですが、暗いので狙いがずれます。物理ボタン付きの上位機種があるのは、こういう理由なんだろうなと後から思いました。
スマホを開くと、Slackが目に入る
ここがいちばん大きい理由です。同じ本をスマホの読書アプリで読むこともできます。でも寝かしつけ中にスマホを開くと、通知バナーが降りてくる。仕事のSlackで自分宛てのメンションが1件見えた瞬間、頭がそちらに行きます。40分の残り30分は、内容としては本を読んでいるのに、頭の中では返信の文面を組み立てている。これを何度もやりました。
電子書籍リーダーには、そもそも本以外の通知が届く経路がありません。SNSアプリもチャットも入らないし、ブラウザは実質使えない。制約が強いから、40分が読書のまま終わる。うちでは寝室に持ち込むのはこれだけ、と決めていて、スマホは充電器に挿してリビングに置いています。
この「余計なことができない端末」という性質は、他の道具と交換できません。多機能な端末を1台持っていくほうが合理的に見えるんですが、実際にやると読書時間が消えました。
技術書には、はっきり向いていない
期待して失敗した用途も書いておきます。技術書です。仕事の本も寝る前に読めるだろうと思って、Flutterの解説書を1冊入れてみました。結論から言うと、この端末では読めませんでした。
電子書籍には大きく2つの形式があります。画面幅に合わせて文字が流し込まれるリフロー型と、紙の版面をそのまま画像として保持する固定レイアウト型。技術書は図表とコードの位置が意味を持つので、固定レイアウトで作られていることが多いんです。これを7インチで開くと、A5判の1ページがそのまま縮小されて表示されます。コードの注釈まで読める文字サイズではありませんでした。
ではリフロー型ならいいかというと、こちらも別の問題が出ます。コードブロックが画面幅で折り返される。インデントが揃わなくなって、どこがブロックの境界か分からなくなる。長い変数名が入った1行が3行に化けると、写経どころか読むのも厳しい。
拡大縮小も速くはありません。電子ペーパーは画面の書き換えに時間がかかるので、ピンチで拡大して位置を合わせて、また縮小して、というのを1ページごとにやると1冊で心が折れます。私は30ページで諦めました。この本は結局タブレットで読み直しています。技術書は横に置いたPCと行き来する読み方をするので、そもそも寝室で読む本ではなかった、というのが正しい反省だと思います。
目の疲れと、顔に落とした話
目の疲れ方については、断定的なことは書けません。私の実感として、寝る前に液晶を見ていた頃より寝つきが悪くない気はしています。ただ、これは同時期に通知を減らしたりスマホを寝室から出したりもしているので、画面の方式だけが理由だと言い切れません。あくまで私個人の体感で、一般化できる話ではないと思っています。
バッテリーは公称で最大12週間です。実際には、1日30分読んで、ライトは暖色の低め、Wi-Fiは基本オフという使い方で5週間ちょっとでした。仕様が誇大というより、条件が違うだけです。Wi-Fiを常時オンにしていた最初の月は3週間で切れました。それでも、月に1回充電すればいい端末というのはかなり気楽です。寝る前に充電残量を気にしなくていい。
失敗談もあります。寝かしつけ中に一緒に寝落ちして、顔に落としました。角が鼻に当たって、痛みで自分が起きた。子どもは無事でしたが、あれが子どもの顔の上だった可能性を考えると笑えません。それ以来、眠くなってきたら胸の上ではなく体の脇に置くようにしています。防水対応なのでミルクをこぼしても平気なんですが、落下は防水では守れない。ケースを付けるかどうかは、いまも迷っています。付けると重くなって、また落とす気がして。
道具で時間を作る、ということ
ここまでいくつかの道具の話を書いてきましたが、私が買ったものに共通していたのは、便利になったことよりまとまった時間が手元に戻ってきたことでした。3分が5回集まっても15分の使い道はありません。細切れの時間は消えるだけです。ところが40分が丸ごと1つ残ると、そこには本が1章分入る。
子どもが生まれてから、時間は増えも減りもしないのに、使える形の時間だけが極端に減りました。細かく割られてしまうからです。道具にお金を払う理由は、性能を上げることではなくて、割られた時間をもう一度くっつけることだったんだと思います。手を空ける、音を出さない、通知を止める。やっていることは全部それでした。
だから、買う前に決めるべきなのは商品名ではなく、どの時間帯の、何分を取り戻したいのかのほうです。私の場合は寝かしつけの40分でした。そこが決まっていれば、選ぶものは自然に絞れるし、向いていない使い方も先に分かります。技術書を寝室に持ち込もうとして失敗したのは、その40分に何をしたいのかを自分で決めきれていなかったからでした。
次に取り戻したい時間はもう決まっていて、朝の30分です。そこは道具で解決できるのかどうか、まだ分かっていません。
この記事は個別のレビューです。育児中に効いたスマートホーム機器の全体はスマートホーム|育児中に本当に効いたもので振り返っています。

