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「だいたい6時間は寝てる」と、ずっと妻に言っていました。実際に測ってみたら、平均は5時間を少し切るくらい。1時間分は完全に私の思い込みでした。
エンジニアという仕事柄、数字が出ないものを議論するのが苦手です。眠いかどうかは主観だし、体感は当てにならない。それなら記録を取ればいい、と思って活動量計を買いました。3ヶ月ほど毎晩つけて寝て、分かったことと、測ることの限界を書きます。先に断っておくと、これらは医療機器ではないので、数値で何かを診断できるものではありません。
測る前と後で、認識が1時間ずれていた
最初の1週間の記録がこれです。就寝は23時30分前後。起床は6時30分前後。ベッドにいる時間だけで言えば7時間あります。私が「6時間は寝てる」と思っていたのは、この7時間から寝つきの時間を引いた感覚値でした。
ところが記録では、夜間に2回か3回、覚醒として記録される時間帯がある。子どもが泣いて起き上がる回数と、だいたい一致していました。1回あたり15分から40分ほど。合計すると、毎晩1時間半前後は起きていることになります。
それを引くと、実際の睡眠時間は5時間前後。7時間から1時間半以上が抜けていた計算です。妻に見せたら「私はもっと少ないと思う」と言われて、それはそうだなと黙りました。
短く寝ているのではなく、細切れに寝ている
合計時間より衝撃だったのが、連続で眠れている時間の長さでした。
記録を見ると、一度も起きずに眠れた最長の区間が、90分を切る日が3日に1日くらいあります。長い日でも2時間半ほど。子どもが寝ついてから最初に泣くまでが、だいたいそのくらいなんですよね。
睡眠は90分周期でめぐるという説明をよく聞きますが、周期の長さには個人差があるとされていて、きれいに90分で割り切れるものでもないらしい。ただ、深い睡眠がまとまって出てくるのは眠りはじめの数時間だと言われていて、私の記録でも深い睡眠と推定された時間帯は最初の区間に集中していました。
ここから私が変えたのは、寝る順番です。それまで、子どもを寝かしつけてから1時間くらいコードを書いたり動画を見たりしていました。深い睡眠が眠りはじめに出るなら、その1時間を後ろに回すより、先に寝てしまったほうが取り分が大きいはずだ、と考えた。夜の作業を朝5時台に移して、23時前には布団に入るようにしています。同じ5時間でも、朝の重さが違うように感じています。あくまで私の場合の話ですが。
1万円以下でも、記録は取れる
買ったのは、リストバンド型の活動量計です。心拍と睡眠の記録がついて、1万円を切るもの。この価格帯だと、バッテリーが2週間以上もつモデルがあって、私が使っているものは公称18日でした。
選ぶときに見たのは、電池のもちと重さの2点だけです。睡眠を測るには毎晩つけて寝る必要があるので、3日ごとに充電が要るものは続かないと判断しました。実際、18日もつと「充電しなきゃ」と考える回数が月に2回で済みます。
日本語表示のものだと、楽天で5,950円くらいの国内向けモデルもありました。こちらは商品ページに「非医療機器」とはっきり書いてあって、その姿勢は好感が持てます。心拍や血中酸素の測定機能がついていても、それは健康管理の目安であって、検査ではない。
3日間、逆に眠れなくなった
買ってすぐの失敗を書いておきます。バンドを腕につけて寝る違和感で、最初の3日はむしろ眠れませんでした。
私は普段、腕に何もつけません。腕時計も在宅勤務になってから外したままです。そこに幅2cmほどのバンドが常時ある状態は、想像以上に気になった。寝返りを打つたびに手首の存在を意識してしまって、初日の記録は睡眠時間3時間台。何を測っているのか分からない状態でした。
4日目くらいから慣れて、1週間後には忘れていました。ただ、この最初の数日のデータは使い物になりません。買ってすぐの数値を見て一喜一憂しても意味がない、というのは覚えておいてよかったと思います。
他の不満も並べておきます。まず充電のタイミングが夜に来がちなこと。18日に一度とはいえ、寝る直前に電池残量5%に気づくと、その晩は測れません。日曜の昼に充電する、とルールを決めて解決しました。
それから通知です。初期設定だとメールもチャットも全部手首に飛んできて、これがうるさかった。振動で子どもが起きたことが一度あります。今は通知を全部切って、記録専用の道具として使っています。あと、この価格帯の海外製は、アプリの日本語が怪しいことがある。私のものも「深い眠り」が「深く寝る」と表示されていて、意味は分かるけど落ち着かない。
数値は目安であって、診断ではない
ここは強調しておきたいところです。この手のウェアラブル端末が出す睡眠段階の推定は、あくまで目安です。医療機器ではないので、数値をもとに病気かどうかを判断することはできません。
仕組みとしては、加速度センサーで体の動きを見て、心拍の変動と組み合わせて眠りの深さを推定しています。脳波を測っているわけではない。だから、じっと目を閉じて動かずに考えごとをしていた時間が睡眠としてカウントされることもあるし、その逆もある。推定の精度は製品によって差があるとされていて、機種を変えると数値も変わります。
私が使っている数字も、絶対値としては信用していません。見ているのは変化のほうです。先週より連続睡眠が短くなっている、寝つきに時間がかかる日が増えている、といった相対的な傾向。そのくらいの解像度で使うのがちょうどいいと思っています。
そのうえで、日中に強い眠気が続く、いびきの最中に呼吸が止まっていると家族に指摘された、といった場合は、アプリの数値を眺めるより睡眠外来や呼吸器内科などの医療機関で相談したほうがいいです。私も一度、記録上の「無呼吸の疑い」らしき表示が出たことがあって不安になりましたが、これは機器の推定にすぎず、判断できるものではありません。気になるなら人に診てもらう、という結論しかない領域です。
測るのをやめたほうがいい日もある
3ヶ月使って、いちばん気をつけているのがこれです。数字を見て自分を責めるようになったら、外したほうがいい。
一時期、朝いちばんにアプリを開くのが習慣になっていました。スコアが62点、みたいな数字が出る。それが50点台だった日は、朝から「今日は調子が悪いはずだ」と自分に言い聞かせているような状態になっていました。実際にはそこまで悪くない日でも、点数が先入観をつくる。
妻に「その数字、見て元気になったことある?」と聞かれて、たしかにないな、と思いました。細切れ睡眠の原因は子どもで、それはどうにもならない。改善できない事象を毎朝計測して落ち込むのは、単純に効率が悪いです。
今は、アプリを開くのは週に1回、日曜の夜だけにしています。毎日の点数は見ない。週単位の平均だけ見て、前の週と比べる。それで十分でした。
測って得たものが何だったかというと、対策より先に「現状の把握」だったと思います。5時間しか寝ていない前提で予定を組むのと、6時間寝ているつもりで組むのとでは、判断が変わる。夕方に重い実装を入れない、金曜の夜に予定を詰めない。そういう組み立て方をするようになりました。道具が眠りを増やしてくれたわけではなくて、私が現実を知っただけです。
この記事は個別の対処法です。座り仕事で出てくる不調の全体像は座り仕事の体|4年でガタが来た場所を並べるにまとめています。

