持ち出し用と在宅用|備蓄を2系統に分ける

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防災用品を買い集めて1年、うちの押し入れには大きめの衣装ケースが1つありました。水も食料もライトもカイロも簡易トイレも、全部そこに入れてあった。整理できているつもりでいたんですが、去年の防災訓練で中身を全部出してみて、これは失敗だったと気づきました。

重すぎて持ち出せないし、かといって家で使うには取り出しにくい。「避難所に持っていくもの」と「家で使うもの」は、求められる性質が正反対なんですよね。1つの箱に混ぜた時点で、どちらの用途でも中途半端になります。うちはそこから、備蓄を2系統に分け直しました。

1つの箱に全部入れて、どうダメだったか

気づいたきっかけは、衣装ケースを持ち上げようとした時です。中身込みで18kgくらいありました。これを背負って階段を降りるのは無理だし、そもそも衣装ケースは背負えません。逃げるための箱としては失格でした。

逆に、家で使う側から見ても不便です。カセットボンベを1本取りたいだけなのに、上に載っている非常食のダンボールをどけて、その下のブランケットをどけて、ようやく届く。押し入れの下段なので、しゃがんで腕を突っ込む姿勢になります。うちの妻は「使う気になれない」とはっきり言っていました。使う気になれない備蓄は、無いのとあまり変わりません。

もう1つ厄介だったのが、期限管理です。全部が同じ箱に入っているので、何がいつ切れるのか分からない。実際、点検の時に賞味期限が7ヶ月前に切れたレトルトのおかゆが出てきました。買った時は「期限が来たら食べればいい」と思っていたのに、箱の底にあると存在自体を忘れます。

持ち出し用と在宅用は、基準が正反対

分け直すにあたって最初に決めたのは、それぞれの箱の「合格基準」を1つだけにすることでした。基準が2つ以上あると判断がぶれます。

持ち出し用の基準は、重さ。背負って歩けなければ意味がないので、重さの上限を先に決めて、その中に何を入れるかを考える。中身から積み上げると必ず超えます。

在宅用の基準は、量。家から動かさないので重さは関係ない。代わりに「何日ぶんあるか」だけを見ます。持ち出し用に入れるかどうかで悩んだものは、全部こっちに回す。

この2つを決めてから、押し入れの中身を床に広げて仕分けし直しました。作業時間は夫婦で2時間ほど。地味ですが、これをやってから備蓄の話が具体的になりました。

持ち出し用は9kgに収めた

背負って歩ける重さの目安として、一般的に体重の1割から2割程度と言われることが多いようです。私は体重68kgなので、2割なら13.6kg。でもうちは生後6ヶ月の息子がいます。抱っこ紐で子どもを抱えると、それだけで8kg近い荷物を前に背負っている状態です。

そこで私のリュックは9kg、妻のリュックは5kgを上限にしました。実際に計ったら私のほうが9.4kgあったので、缶詰を2つ抜いて8.9kgに収めています。エレベーターが止まった前提で、マンションの階段を上り下りして確かめました。7階から降りるだけなら余裕ですが、上るのはきつい。9kgでもきついということが分かっただけでも、やった価値はありました。

中身を絞る作業で、最初にリュックから抜いたのはカセットコンロです。避難所で調理する場面をイメージして入れていたんですが、火気の扱いは避難所ごとにルールがあるし、コンロとボンベで2kg以上ある。これは家で使う側の道具だと割り切りました。給水タンクも同じ理由で外しています。折りたたみ式の10Lタンクは、水を汲みに行く道具であって、逃げる道具ではない。

逆に、持ち出し用にしか入れていないのがヘルメットと軍手、それと厚手の靴下です。避難の途中でガラスや瓦礫を踏む場面は、家の中より外のほうがずっと多い。ヘルメットは折りたたみ式にして、リュックの外側に留めています。

在宅用は、数字で決まる

在宅用は計算するだけなので簡単です。水は1人1日3リットル、最低3日分・推奨1週間分とされているので、うちは大人2人ぶんで3×2×7=42リットル。息子はミルクなので、調乳用に別枠で加えて、合計50リットルを目標にしました。2リットルのペットボトルなら25本、6本入りのケースで4箱と少しです。

食料も同じく1週間ぶん。簡易トイレは1人1日5回程度で計算するとされているので、大人2人×5回×7日で70回ぶん。実際には100回ぶんのセットを買いました。ここまで数字が出ると、あとは買うだけなので迷いません。

問題は場所です。水だけでケース4箱、簡易トイレの箱、非常食のダンボール。2LDKの賃貸で、この量をどこに置くかが最後まで悩みどころでした。うちは水をベッド下と玄関のシューズボックス上、食料をキッチンの吊戸棚、衛生用品を洗面所の下、と分散させています。1ヶ所にまとめないほうが、部屋が潰れなくて済む。

両方に置くもの、片方でいいもの

2系統に分けると、次に出てくるのが「これはどっちに入れるのか」という問題です。うちの結論は、迷ったら両方に置く、でした。

両方に置いているのは、ライト、水、モバイルバッテリー、常備薬、それと家族の連絡先を書いた紙のカードです。ライトは持ち出し用にヘッドライト、在宅用にランタン。用途が違うので、同じものを2つ買うわけではありません。水は在宅用が本体で、持ち出し用には500mlを4本だけ。モバイルバッテリーだけは完全に同じものを2個買って、片方をリュック、片方を寝室に置いています。1個を移動させる運用にしたら、絶対にどちらかで見つからなくなるからです。

片方だけでいいのは、さっき書いたカセットコンロと給水タンク、それにポリタンクや大型のポータブル電源。これらは在宅専用。逆にヘルメット、軍手、笛、雨具は持ち出し専用にしています。

  • 両方:ライト、水、モバイルバッテリー、常備薬、連絡先カード
  • 在宅のみ:カセットコンロ、給水タンク、大型の電源、簡易トイレの本体量
  • 持ち出しのみ:ヘルメット、軍手、雨具、現金の小銭

この振り分けを紙に書いて、押し入れの扉の内側に貼りました。半年後の自分は絶対に忘れているので。

在宅用の嵩を、圧縮袋で落とす

在宅用でいちばん場所を食っていたのが、毛布とタオルと着替えの類でした。かさばるわりに軽い。ここを圧縮袋で潰すことにしました。

買ったのは防災用の圧縮袋で、アルミ蒸着タイプの5枚入り。40×60cmと50×80cmの2サイズがあって、自封チャック付きで1,680円ほどでした。普通の衣類圧縮袋と違うのは、遮光性と防臭性があることです。アルミ蒸着なので中身が光や湿気で傷みにくく、袋の口を閉じれば匂いも漏れにくい。使用済みのおむつや汚物を入れるゴミ袋としても使える、という前提で作られています。

圧縮できる防臭ゴミ袋 圧縮袋 防災圧縮袋 汚物密封 50*70cm 防災用 ゴミ 圧縮 トイレ用凝固剤 簡易トイレ 便 汚物 生ゴミ ごみ

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大人の冬用毛布を1枚入れて手で押し出したところ、厚さが12cmから5cmくらいまで縮みました。半分以下です。着替え一式なら50×80cmの袋に3人ぶんが入って、押し入れの棚1段がまるごと空きました。

ただ、期待しすぎないほうがいい点が3つあります。1つ目は圧縮率で、掃除機を使わず手で押す方式だと、宣伝写真ほど薄くはなりません。半分になれば上出来だと思っておいたほうがいいです。2つ目はチャックで、私は最初、袋の口に毛布の繊維を噛ませたまま閉じてしまい、翌日には空気が戻って元の厚さに近くなっていました。閉じる前にチャック部分を指でなぞる、というひと手間が要ります。

3つ目が地味に一番困る点で、アルミ蒸着なので中が見えません。透明な圧縮袋なら開けずに分かることが、この袋だと開けないと分からない。うちは養生テープに中身と日付を書いて全部に貼りました。これをやらずに3袋作った時点で、どれが誰の着替えか分からなくなって全部開け直しています。

年に1回だけ、入れ替える日を決める

2系統に分けたことで、点検がかなり楽になりました。持ち出し用は「重さを計って、9kgを超えていないか」と「期限」の2つだけ見ればいい。在宅用は数字が決まっているので、減っているぶんを買い足すだけです。

うちは9月1日の防災の日を点検日にしています。カレンダーアプリに毎年繰り返しの予定を入れて、その日の午前中に押し入れを開ける。この記事のシリーズで書いてきた寝室の枕元、職場のデスク、ラジオの動作確認、連絡先カードの書き換えも、この日にまとめて済ませます。年1回と決めておくと、それ以外の日は考えなくて済むのが楽なんですよね。

ここまで書いておいて何ですが、これを一度に揃えようとすると3万円以上かかります。私も1年半かけて少しずつ買いました。もしまだ何もない状態でこの記事を読んでいるなら、いきなり2系統に分ける必要はありません。今日はライト1本でも、水を1ケースでもいい。買ったものが1つあれば、次に何が足りないかは自然に見えてきます。分類の話は、モノが増えてから考えれば間に合います。

この記事は防災グッズの個別レビューです。在宅避難という選択肢と備え全体は在宅避難という選択肢|避難所に行かない備えのつくり方にまとめています。

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