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結論から書くと、バランスボールで椅子を置き換えるのは私には無理でした。ただ、失敗だったとも思っていません。半年使って、いまは「1日のうち1〜2時間だけ座るもの」という位置づけに落ち着いています。腰が重いから高い椅子を買うべきか迷っていた時期に、まず5,000円台のこれを試したという順番自体は、悪くない判断だったと思っています。
椅子を買い替える前に、座り方の問題かどうかを切り分けたかった
在宅勤務が中心になって2年ほど経った頃、夕方になると腰の下のあたりが重くなるようになりました。原因として考えられるのは、椅子が体に合っていないか、座っている時間が長すぎるか、座り方が崩れているか。このどれかは切り分けないと分かりません。
私は理屈で考えるほうなので、一番安く検証できる仮説から潰そうとしました。椅子を買い替えるのは数万円かかります。座り方が原因なら、椅子を替えても解決しない可能性がある。そこで、姿勢を強制的に変える道具として、バランスボールを先に試すことにしました。
もうひとつ現実的な事情もあります。うちは2LDKの賃貸で、私の作業スペースは寝室の一角です。大きな椅子を置く余裕が本当にありません。バランスボールなら、使わないときは部屋の隅に転がしておける。省スペースという点でも試す価値はありました。
買ったのはカバー付きのチェアタイプ
選んだのは、MAROOMSのバランスボールチェアです。むき出しのボールではなく、布のカバーが付いていて椅子として使うことを前提にしたタイプ。直径は55cmくらいのものを選びました。身長172cmの私で、座ったときに膝が90度よりやや開くくらいです。
裸のボールにしなかった理由は2つあります。ひとつは見た目で、リビング側から見える位置に置くので、原色のツルツルしたボールが視界にあるのは妻からも不評でした。布カバーだとスツールっぽく見えます。
もうひとつが子どもです。生後6ヶ月でずりばいをする時期に、床に大きなツルツルの球体があるのは正直こわい。カバーがあると滑りにくく、転がるスピードも少し落ちます。完全に安全になるわけではありませんが、心理的な抵抗は下がりました。
2週間で気づいた、効いている実感と限界
最初の1週間は、正直けっこう楽しかったです。座面が安定していないので、常に微妙にバランスを取り続けることになります。座って30分ほどで腹の奥がじんわり熱くなる感覚があって、これは普通の椅子では絶対に起きないものでした。体幹に効いているのは間違いないです。
それと姿勢が勝手に良くなります。背もたれがないので、猫背になると単純に座っていられません。骨盤を立てて座るしかない構造になっているのが、この道具の一番の価値だと思います。
問題は2週間目に出ました。3時間を超えたあたりから、腰の重さが以前より強くなったんです。効いているはずなのに悪化する。これは考えてみれば当然で、バランスを取り続けることは休んでいないということです。常に微弱な運動をしている状態で6時間座れば、それは疲れます。
もうひとつ致命的だったのが、集中と相性が悪い場面があることでした。デザインの実装で細かい数値を詰めているときや、コードレビューで人の書いたロジックを追っているとき、体が微妙に揺れていると思考が乗りません。逆に、Slackを返したりドキュメントを読んだりする軽い作業のときは、まったく気になりませんでした。
転がる、空気が抜ける、床が傷む
実用面の不満を正直に書きます。
- 立ち上がると転がる。デスクから離れるたびに、後ろに転がっていないか確認する必要がある
- 空気が3ヶ月ほどで目に見えて抜ける。手押しポンプで補充する作業が定期的に発生する
- フローリングだと微妙に滑る。私はラグの上に置いて対処した
転がる問題は思っていたより厄介でした。会議で立ち上がって、戻ってきたら椅子がない、というのが毎回起きます。私は結局、デスク下の定位置に浅い座布団を置いて、そこに乗せる形にしました。それでも完璧には止まりません。転がらないタイプのスクエア型やドーナツ型もあるので、そこを重視するならそちらを選ぶべきです。
空気については、買って3ヶ月ほどでへたりを感じて、付属のハンドポンプで入れ直しました。作業自体は5分程度ですが、忘れているとじわじわ座面が下がって、気づかないうちに膝の角度が変わっています。腰が痛いと思ったら空気が抜けていた、ということが実際にありました。定期的な点検が要る道具です。
あと、これは道具の欠点ではないのですが、Web会議での見え方が変わります。座面の高さが普通の椅子と違うので、カメラに映る顔の位置がずれる。私は最初これに気づかず、1週間ほど画面の下寄りに映り続けていました。ボールに座る日はモニターの高さを少し下げるか、カメラの角度を調整する必要があります。毎回やるほどではないですが、大事な会議の前には確認するようにしています。
それと子どもがつかまり立ちを始めたら、これは間違いなく危険物になります。うちはまだその段階ではありませんが、そのときは使わない時間帯は別の部屋に片付ける運用に変えるつもりです。
いまの使い方は「補助的に、時間を区切って」
半年経ったいまの運用を書きます。メインの椅子はそのまま使っていて、バランスボールは午前に1時間、午後に1時間くらい、時間を区切って座り替えています。
この1時間という区切りにも根拠があります。2週間目に挫折したときの記録を見返すと、しんどくなり始めるのが座って180分前後でした。その3分の1くらいで切り上げれば、翌日に残らない。実際、1時間で立ち上がるようにしてから、翌朝に腰が重い日はほぼなくなりました。時間を測るのが面倒なので、私は午前と午後の会議のタイミングで機械的に座り替えています。
座り替えるタイミングは、作業の種類で決めています。集中して書くときは椅子、読むだけ・返信するだけの時間はボール。この使い分けにしてから、夕方の腰の重さは明確に減りました。同じ姿勢を6時間続けないこと自体が効いている、というのが今のところの私の理解です。
結局、腰の重さの原因は椅子でも座り方でもなく、同じ姿勢の継続時間だったということになります。これを切り分けられたのが、この5,000円台の買い物の一番の収穫でした。数万円の椅子を先に買っていたら、たぶん同じ姿勢で6時間座り続けて、同じ悩みを抱えていたはずです。
誰に向いていて、誰に向いていないか
向いていないのは、1日8時間これだけで働こうとしている人です。私が2週間で挫折したのと同じ道を通ります。それと、集中して細かい作業をする時間が長い職種も厳しいと思います。揺れは思考の邪魔をします。
向いているのは、いまの椅子に大きな不満はないけれど夕方に体が重い、という状態の人です。姿勢を変える選択肢が1つ増えるだけで、けっこう違います。あとは私のように、高い椅子に投資する前に原因を切り分けたい人。座り方の問題なのか、時間の問題なのかが、数週間で分かります。
置き換えるつもりで買うと失望します。増やすつもりで買うと、たぶん残ります。私の場合は後者で、いまも机の横に転がっています。転がっているのが少し邪魔なのは、最初から最後まで変わりませんでした。
この記事は在宅環境の個別レビューです。どこから手を付けるべきかはデスク以外の在宅環境|見落としがちな投資先で整理しています。

