※ この記事にはプロモーションが含まれています。
スマホのホーム画面に、家電を操作するためのアプリが7個ありました。電球、カーテン、ロック、カメラ、体重計、空気清浄機、それとルーター。全部メーカーが違うので、全部アプリが違う。玄関の鍵を開けるのにフォルダを開いてアイコンを探す時間が、物理キーを鞄から出す時間より長くなった時点で、これは失敗だなと思いました。この記事は、そこからハブを入れて整理した話です。赤外線で家電を動かす話は別記事で書いたので、ここではアプリとアカウントの側に絞ります。
アプリが7個。妻のスマホには3個しか入っていなかった
数えてみると、私のiPhoneには家関連のアプリが7個、ウィジェットが4種類ありました。ホーム画面2ページ目が丸ごとスマートホーム用のフォルダに占領されていた状態です。
問題はアプリの数そのものではありませんでした。妻のスマホには3個しか入っていなかったことです。しかもそのうち1個は、私のアカウントでログインしたまま。共有設定をしていないので、彼女は自分のアカウントを持っていない。つまり、私が出張でいない日は、寝室の電球をスマホから消せる人間が家に一人もいない状態でした。
ある日、私が飲み会で遅くなったときに妻から連絡が来ました。子どもを寝かしつけたあとリビングの間接照明を消したいのに、アプリが分からないと。物理スイッチは壁にありますが、スマート電球にしてしまったせいで、壁で切ると次に点けるときにネットワークから外れる。結局、私が電車の中から遠隔で消しました。これは便利さではなくて、単に家の照明が私という単一障害点にぶら下がっているだけです。
ハブを入れると何が変わって、何は変わらないか
整理のために入れたのが TP-Link の Tapo H110C です。楽天で3,900円。赤外線リモコン機能とチャイム機能があって、Sub-1GHz帯でドアセンサーや人感センサーを繋げるタイプ。うちの場合は、同じメーカーで揃えた機器を1つのアプリに寄せるための土台として使っています。
期待しすぎないほうがいい点も書いておきます。ハブを入れても、他社製品のアプリが消えるわけではありません。うちのカーテンは別メーカーなので、そちらは今もそのメーカーのアプリのままです。ハブが吸収してくれるのは基本的に同じ生態系の機器で、それを超える連携は音声アシスタントやMatterのような共通の土台を経由することになる。7個あったアプリは、結局4個までしか減りませんでした。
代替として比較したのが SwitchBot のハブ2とハブミニです。Matter対応版があるので、他社の機器も含めて1箇所にまとめたいならこちらのほうが素直だったかもしれません。うちは既にカメラと電球がTP-Link側だったので、数の多いほうに寄せました。この判断は、家にある機器の顔ぶれで変わると思います。
Matter、Thread、Zigbee、そして2.4GHz
規格の話を最小限だけ。Matterは複数メーカーの機器を同じ土俵に載せるための共通仕様で、Threadは低消費電力の機器同士がメッシュ状に繋がる通信規格。Zigbeeは以前から使われている同系統の規格で、これらとは別に、多くの機器がWi-Fiの2.4GHz帯で直接ルーターに繋がっています。ハブが必要かどうかは、その機器がどの経路で繋がるかで決まる。
ここで言いたいのは仕様の解説ではなくて、対応しているかどうかは製品ごと、さらにファームウェアごとに確認しないと分からないということです。「Matter対応と書いてあれば何でも繋がる」という理解で買うと、たいてい引っかかります。
私が実際に踏んだのがそれでした。Matter対応を謳う機器を買って、繋がらない。パッケージにもロゴがある。1時間くらい格闘して分かったのは、対応が有効になるのは特定バージョン以降のファームウェアで、出荷時のものは1つ前だったということでした。しかも更新するには、いったんメーカー純正アプリで初期セットアップを完了させる必要がある。「アプリを減らしたくて買ったのに、セットアップのためにアプリを入れる」という順序になったわけです。しかもファームウェア更新に12分ほどかかり、その間は機器が使えません。夜9時に始めなくてよかった。
もうひとつ2.4GHz帯の注意。うちのルーターは初期設定で2.4GHzと5GHzが同じSSIDに統合されていました。スマホは5GHzに繋がっている状態で機器のセットアップをすると、機器側が2.4GHzしか掴めないので途中で失敗する。バンドを分離して、セットアップ中だけスマホを2.4GHz側に繋ぐと通りました。これは電球でもカメラでも同じ症状が出るので、最初にやっておくと後が楽です。
妻が使えないなら、それは動いていないのと同じ
ここが本題です。私は最初、この家のスマートホームを「よくできた仕組み」だと思っていました。オートメーションを組んで、条件分岐を書いて、時刻とセンサーで動くようにして。動作は完璧でした。ただ、使えるのが私だけだった。
妻に「アプリのここを開いて、この部屋を選んで、スライダーで明るさを調整して」と説明したことがあります。3ステップです。私にとっては3ステップですが、片手で子どもを抱いている人間にとっては不可能な操作でした。抱っこ紐で両手が塞がっている、あるいは片手しか空いていない。その状態で階層を降りていくUIは使えません。
だから方針を変えました。妻にアプリを開かせないという方針です。具体的には、操作を音声か物理ボタンに落とし込む。照明は「ただいま」と言えば点く、寝室は「おやすみ」で消える。この2語だけ覚えてもらいました。それと、リビングの壁に貼れる物理ボタンを追加して、押すと間接照明が切り替わるようにしています。物理ボタンは子どもが触れない高さに貼りました。
結果として、妻がアプリを開く回数はほぼゼロになりました。使用頻度は明らかに上がっています。UIの質は、操作の手数ではなく、育児の片手制約の下で成立するかどうかで決まるというのが、私の得た結論です。
共有アカウントの設定で3日ハマった
もうひとつ、地味に苦労したのがアカウント共有です。当初は私のアカウントに妻のスマホからログインしていました。楽といえば楽ですが、通知が全部両方に飛ぶ。カメラの動作検知が妻のロック画面に一日中出る状態になって、これは2日で外されました。
正しくは、妻に別アカウントを作ってもらって、私の「ホーム」に招待する形です。ここで詰まりました。招待メールが届かない。迷惑メールにも入っていない。原因を追うと、招待を受ける側が先にアプリをインストールしてアカウントを作成し、招待に使ったのと同じメールアドレスで登録していないと紐づかない仕様でした。妻は普段使いのアドレスで登録していて、私は別のアドレスに招待を送っていた。ここに気づくまで3日かかっています。
加えて、招待した相手の権限が製品によって違いました。あるアプリではゲストが設定変更できず、オートメーションの編集は管理者だけ。つまり妻が自分でスケジュールを直せない。うちでは結局、頻繁に変えたい設定だけを音声コマンドと物理ボタンに逃がして、アプリ側の権限は私だけのまま運用しています。理想形ではありませんが、実用上はこれで回っています。
エンジニアの自分だけが運用できる家は、失敗している
1年やって思うのは、家の自動化で難しいのは技術ではないということです。ペアリングもオートメーションも、時間をかければ動きます。動かないのは、その仕組みを私以外が使えないときと、私が家にいないときです。
だから今は、新しい機器を検討するときに自分に2つ質問しています。これは妻が説明なしで使えるか。そしてネットワークが落ちたとき、物理的に操作できるか。この2つを通らないものは買わないことにしました。実際、去年欲しかった機器のうち2つは、この基準で見送っています。
ハブは万能ではありませんでした。アプリは7個から4個に減っただけだし、規格の相性は買ってみるまで完全には読めない。それでも、家族が使える形に寄せるための土台としては入れてよかったと思っています。設定に費やした休日の午後を3回ぶん取り返せたかというと、まだ微妙なところですが。
この記事は個別のレビューです。育児中に効いたスマートホーム機器の全体はスマートホーム|育児中に本当に効いたもので振り返っています。

