家族分の防災リュック|中身をどう変えるか

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防災リュックは、大きいものを1つ買えば済むと思っていました。家族3人分をまとめて詰めておけば、いざというときそれを掴んで出ればいい。合理的に見えますよね。実際に詰めてみたら、重量計で18キロを超えました。

18キロのリュックを背負って階段を降りられるかというと、私でも厳しい。妻には絶対に無理です。しかも子どもを抱っこ紐で抱えたら、その時点で持てるものはほぼゼロになる。1つにまとめるという発想が、そもそも間違っていたという話をします。

大きいリュック1つに詰めたら、18キロになった

最初に買ったのは容量47リットルの大型リュックです。単体で4,000円台、キャリー対応で反射板も付いている。容量が大きければ全部入ると思ったんです。

入れたのは、水2リットル×3本、アルファ米と缶詰、簡易トイレ30回分、モバイルバッテリー2個、ランタン、救急セット、着替え3人分、オムツ20枚、液体ミルク8本、タオル、レインコート、軍手、ホイッスル、ラジオ。書き出すと妥当なリストに見えます。

問題は重量です。水だけで6キロ。液体ミルクが100mlパウチ8本で約900グラム。簡易トイレは1回分が軽くても30回分となるとかさばるし重い。全部積んだ結果が18.2キロでした。

この状態で家の中を1周してみたんですが、まず立ち上がるのに気合いが要る。玄関で靴を履くとき、リュックを背負ったまましゃがむと後ろに引っ張られてバランスを崩します。階段の想定で踏み台を昇り降りしてみたら、5往復で息が上がりました。マンションの8階から降りることを考えると、これは持てません。

抱っこ紐を使う側は、荷物を持てない

もうひとつ、決定的な問題がありました。生後5ヶ月の子どもをどうやって運ぶか。

ベビーカーは論外です。ガレキやガラスが散った道路では押せないし、階段も降りられない。となると抱っこ紐一択になります。抱っこ紐で子どもを前に抱えると、体重は6〜7キロ。それに加えてリュックを背負うと、前後の重量バランスが崩れて姿勢が保てません。

試しに、抱っこ紐に7キロのダンベルを入れて、背中に8キロのリュックを背負ってみました。歩けはします。ただ、前後合わせて15キロを支えている状態なので、腰にかなり来る。しゃがむ、階段を降りる、といった動作が一気に難しくなる。

ここで方針が決まりました。子どもを抱える側は、荷物を最小限にする。妻が抱っこ紐で子どもを抱え、私が荷物の大半を持つ。妻のリュックは水と必要最低限だけにして、5キロ以下に抑える。この配分を前提に、リュックを分けることにしました。

誰が何を持つか、実際に分けてみた

結果として、我が家は3つに分けています。私のメインリュック、妻のサブリュック、それに車に積んでおく箱です。

私のリュックは12キロを上限にしました。中身は水2リットル×2本、食料の大半、簡易トイレ、ランタン、ラジオ、救急セット、工具類、ゴミ袋。重くてかさばるものはこちらに寄せています。

妻のリュックは4.5キロ。水500ml×2本、液体ミルク4本、オムツ10枚とおしりふき、モバイルバッテリー1個、小型ライト、現金と身分証のコピー、タオル1枚。抱っこ紐で前が塞がるので、リュックは背中側だけで完結する構成にしました。ウエストポーチ的なものは、抱っこ紐と干渉するので外しています。

この配分を決めるとき、基準にしたのは妻が実際に背負って階段を降りられる重さです。体重の1割前後を目安に、5キロを超えたあたりから明らかに動きが鈍くなったので、そこで線を引きました。カタログの容量ではなく、本人に背負わせて決める。これが唯一まともなやり方だと思います。

分散するものと、1つでいいもの

2つに分けるとき、何を重複させるかで悩みました。全部2セットにすると重量が倍になるので、切り分けが要ります。

分散させるのは、はぐれたときに片方だけでは詰むものです。水は両方に入れる。灯りも両方。モバイルバッテリーも1個ずつ。現金も分ける。この4つは、どちらか一方しか手元にない状況を想定して、必ず両方に入れています。

逆に1つでいいのは、かさばるうえに同時に2つ使う場面がないものです。救急セットは1つ。ラジオも1つ。工具や十徳ナイフも1つ。簡易トイレは量が必要なので分けたい気もしますが、重量の都合で私のリュックにまとめました。

この判断の裏には、はぐれる可能性をどう見積もるかという問題があります。家族が同じ場所にいるときに被災するとは限らない。平日の昼間なら私は在宅勤務で家にいますが、妻が子どもと外出していることもある。常に一緒にいる前提で組むと、片方が持ち出せなかったときに破綻するんですよね。

妻用は、既製の1人用セットをベースにした

妻のリュックは、既製の1人用セットをベースに組み直しました。使ったのはアイリスオーヤマの防災リュック 1人用 33点セット BRS-33です。防災士監修で、エアー枕まで入っている構成。

ゼロから小物を集めると、ホイッスル、アルミブランケット、軍手、簡易トイレ、レインコート、給水袋、といった細かいものを1つずつ買うことになります。単品で揃えると、たぶんこれより高くつく。セットを土台にして、要らないものを抜き、足りないものを足すやり方のほうが早いという結論になりました。

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抜いたのは、大人用の非常食の一部と、水の一部です。妻のリュックは軽さが最優先なので、重いものを私側に移しました。足したのは液体ミルク、オムツ、おしりふき、それに子どもの着替え。1人用セットは乳児を一切想定していないので、この入れ替えは必須です。

不満点も書いておきます。付属のライトが思ったより暗く、うちは別のものに差し替えました。リュック本体の背面パッドも薄めで、長時間背負うと肩に食い込む感じがあります。そのぶん軽いという言い方もできますが、快適さを求めるなら本体だけ別に買うのもありです。あと、エアー枕は避難所での使用を想定した装備で、持ち出し1日目に使う場面はまずない。優先度としては低い部類だと思います。

子どもが歩けるようになったら、本人用も

今はまだ抱っこ紐ですが、2〜3年後には自分で歩けるようになります。そのときは、子ども用の小さなリュックを用意するつもりです。

目的は荷物を運ばせることではありません。自分の荷物を持っているという意識と、はぐれたときの保険です。入れるのは、飲みかけでない小さな水筒、食べ慣れたお菓子、小さいライト、そして名前と連絡先を書いたカード。重量は本人の体重の1割以下、せいぜい1〜2キロが上限でしょう。

それと、子ども用リュックの本当の価値は、避難訓練を一緒にできることかもしれません。自分のリュックがあれば、防災の話が自分事になる。うちの子はまだ何も分かりませんが、そういう設計にしておきたいと思っています。

最後に

防災リュックを買うとき、私は「容量」と「点数」ばかり見ていました。47リットル、33点。数字が大きいほうが良さそうに見えるからです。

実際に効いてくるのは、背負う人が何キロまで運べるか、という一点でした。そこから逆算すると、入れられるものは意外と少ない。全部入らないから分ける、そして分けるからこそ何を重複させるかを考える。この順番で組み直したら、我が家の構成はだいぶ現実的になりました。まずは家族それぞれに背負わせて、階段を1往復してみるのがいいと思います。数字より正確です。

この記事は防災グッズの個別レビューです。在宅避難という選択肢と備え全体は在宅避難という選択肢|避難所に行かない備えのつくり方にまとめています。

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