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宿が取れなかったときの代替案として、車中泊を調べていました。費用は宿代がまるごと浮くし、時間の縛りもない。理屈だけ見ると子連れに向いていそうに思えたんです。
ただ、調べれば調べるほど「生後6ヶ月の子を連れてやることではない」という方向に傾きました。うちはまだ実行していません。行っていない以上、現地の話は書けない。代わりに、何がハードルになるのかを整理した結果と、それでもやるなら道具はここを見るという話を書きます。
最初に引っかかるのは、寝床が平らにならないこと
車中泊の情報を集めていて、最初に必ず出てくるのが段差の話です。ミニバンやSUVでシートを倒しても、完全なフラットにはならない車種がほとんど。背もたれとシートの継ぎ目、座面と荷室の高低差、シートレールの出っ張り。大人なら「まあ寝られる」で済ませられても、体重7kg前後の赤ちゃんだと話が変わります。
体が軽いぶん、わずかな傾斜でも寝ている間に転がっていく。大人がクッションで支えるという話も見かけますが、それを一晩やるなら親は寝られません。だから段差を消す作業が、車中泊の準備のほぼ全部になる。マットや隙間を埋めるパッドが必須アイテムとして紹介されているのは、そういう理由です。
ここは車種によって必要な厚みも幅も変わります。自分の車の荷室を実測してから道具を選ぶ、という順番でないと確実に無駄が出ると思いました。ネットには「この車ならこのマットがぴったり」という情報がそれなりに落ちていますが、年式やグレードで内装が違うこともある。最終的には自分でメジャーを当てるしかない。
私が調べていて意外だったのは、フラット化を謳う純正オプションでも完全な水平にはならない、と書いている人が多かったことです。数センチの傾斜は残る。大人が一晩寝るぶんには誤差でも、赤ちゃんを寝かせる面としては誤差で済まない差だと思います。
寝返りと落下を、車の中でどう防ぐか
うちの子は寝返りをするようになりました。家では床にマットを敷いて、周りに物を置かない運用でどうにかなっています。ただ車の中は事情が違う。
シートの端、ドアとの隙間、荷室と後部座席の間。落ちる、というより挟まる方向のリスクがある。しかも暗い車内では、親が気づくのが遅れます。ベビーカーやベビーベッドのように柵で囲う前提の設計にはなっていないので、そこを自分で作らないといけない。この「自分で安全を設計する」量が、宿に泊まる場合と比べて明らかに多いんですよね。
この一点だけでも、乳児期にわざわざ選ぶ理由が薄いと感じました。宿の部屋なら、和室を選んで布団を床に敷けば落ちる高さがゼロになる。同じ問題を、はるかに少ない手数で消せてしまうんですよね。
それと、車内で親と子が並んで寝る形になると、大人の寝返りが当たる可能性もあります。家では別々の寝床にしているのに、車では物理的に距離が取れない。ここも気になった点でした。
温度管理が、いちばん妥協できない部分
調べていて、ここが決定的でした。車はエンジンを切ると空調が止まります。断熱もほとんど効かないので、外気温にそのまま近づいていく。夏は締め切った車内が短時間で高温になることが繰り返し注意喚起されていますし、冬は逆に冷え込みます。
ではエンジンをかけたままにすればいいかというと、そこにも問題がある。積雪時のアイドリングは、排気口が塞がれることによる一酸化炭素中毒の危険があるとして、JAFや自治体が繰り返し注意を出しています。マフラー周りの除雪をしても、降り続けていれば埋まる。体温調節が未熟な乳児を、その環境に置く判断は私にはできませんでした。
春や秋の穏やかな時期なら成立するのかもしれません。ただ、その「穏やかな時期」の幅は思っているより狭い。夜明け前に一気に冷える日は普通にありますし、標高の高い場所へ行けば夏でも冷えます。逆に、日が昇ってからの車内は季節を問わず温度が上がりやすい。
ポータブル電源とファン、あるいは電気毛布で対応するという方法も紹介されています。ただ、それを揃える費用と積む荷物を考えると、宿代との差がかなり縮まる。コストを理由に車中泊を選ぶなら、装備費まで含めて比べないと意味がないというのが、計算してみた感想です。
マットを見るなら、厚みと膨らませ方
それでも道具は一度調べました。車中泊マットは、大きく分けて折りたたみのウレタン系と、空気を入れるインフレータブル系があります。荷室の段差を埋めるだけなら前者のほうが手軽で、寝心地を取るなら後者。厚さ8cm前後の自動膨張式が、腰への負担を減らす定番として紹介されていることが多い印象です。
気になったのは収納サイズです。厚みのあるインフレータブルマットは、畳んでも膝丈くらいの筒になる。使わない日はそれが車に載りっぱなしになるので、ベビーカーとの共存を考えると荷室がかなり圧迫されます。うちの車では、この時点で現実味がだいぶ下がりました。
安いウレタンマットも見ましたが、薄いと段差を消しきれないという口コミが目立つ。結局、車種に合う厚みを最初に見極めないと買い直しになる商品だと思います。私が最初に候補にしたのは2,000円台の薄いタイプで、これは冷静に考えて失敗する買い方でした。段差を埋めるのが目的なのに、埋まらない厚みを値段だけで選ぼうとしていた。
もうひとつ、空気を入れるタイプは音が出ます。自動膨張式でもバルブの操作音はするし、電動ポンプ付きなら当然モーター音がする。子どもが寝てから設営し直す、という運用が難しい点は頭に入れておいたほうがよさそうです。
トイレと着替えの問題は、たぶん解決しない
夜中のおむつ替えをどこでやるのか。これも答えが出ませんでした。車内で替えるなら平らなスペースと明かりがいる。外に出るなら気温と虫と人目の問題がある。道の駅やサービスエリアのトイレを使う手はあるものの、おむつ替え台が必ずあるとは限らないし、深夜に子どもを連れて歩くこと自体が負担です。
吐き戻しや漏れで着替えが必要になったときも同じで、汚れた服を置く場所が車の中にない。この辺りは「工夫でどうにかする」の限界を超えている気がしました。
授乳についても同じことが言えます。ミルクならお湯が要る。母乳なら落ち着いて座れる場所が要る。宿ならどちらも部屋の中で完結しますが、車の中だと運転席を前に出したり荷物をどかしたりという作業が毎回発生する。夜中に何度もそれをやる想像をしたら、私は無理だと判断しました。
今の結論と、いつなら考え直すか
調べた範囲での結論は、生後6ヶ月では勧められない、です。費用が浮くのは魅力ですが、そのために親が一晩気を張り続ける構図になる。旅の目的が「子どもと過ごすこと」なら、本末転倒になりそうでした。
もうひとつ、これは調べてから気づいたことなんですが、車中泊が許可されている場所は思ったより限られます。道の駅は仮眠のための駐車は認めていても、宿泊行為としての利用は控えるよう案内している場所が多い。オートキャンプ場やRVパークのように、車中泊を前提にした有料の場所を使うのが筋のようです。そうなると、やはり費用は完全なゼロにはならない。
考え直すとしたら、自分で歩けて、暑い寒いを言葉で伝えられるようになってから。数年先の話です。それまでは、マットだけ先に買っておいて防災用として車に積んでおく、という使い方のほうが現実的だと思っています。災害時に車で過ごす可能性を考えれば、無駄にはならない。ただしその場合も、一酸化炭素とエコノミークラス症候群の注意点は同じように付いて回ります。
この記事は子連れ旅行の個別記事です。実際に行ってみた全体の記録は赤ちゃん連れ旅行|生後6ヶ月で行ってみた記録にあります。

