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ベッドを捨てました。子どもが寝返りを始めたのがきっかけです。ベッドの高さは40cmほどあって、そこから落ちる想像をした時点で選択肢は消えました。フレームを解体してリサイクルに出し、6畳の寝室にマットレスを3枚並べる運用に切り替えたのが4ヶ月ほど前。
ついでに自分の腰のことも考え直しました。というのも、朝の腰の重さがずっと引っかかっていたからです。マットレスを選び直すにあたって調べたことと、実際に買って外したところを書きます。腰痛が寝具で解決すると言いたいわけではなくて、選ぶときに見る数字がどこなのか、という話です。
高反発と低反発は、寝返りのしやすさで分かれる
まずこの2つの違いです。名前のイメージだと「硬いか柔らかいか」に見えますが、本質は押し返す速さのほうにあります。
低反発は、体の形に沿ってゆっくり沈み込みます。体圧が広い面積に分散されるので、一点に負担が集中しにくいとされる。かわりに、沈んだところから体を動かすのに力が要ります。寝返りのときに、いったんウレタンの壁を乗り越えるような感じ。
高反発は逆で、沈み込みが浅く、押した分だけすぐ返ってきます。腰が落ち込みにくく、寝返りが少ない力で打てる。私が高反発を選んだのは、この寝返りの部分でした。人は一晩に20回前後は寝返りを打つとされていて、それがしにくいと同じ姿勢が続く。腰の重さの一因はそこかもしれない、と考えました。
硬さの指標として、Nという単位が使われます。ニュートンの略で、数値が大きいほど硬い。目安として110N未満がやわらかめ、110〜140Nがふつう、140N以上が硬めと区分されることが多いです。180Nや190Nと書かれているものは、その中でもかなり硬い部類に入ります。
体重が変われば、最適な硬さも変わる
ここが見落とされやすいところだと思うんですが、同じマットレスでも体重によって沈み方が違います。当たり前の話なんですけど、レビューを読むときにこれを忘れがちなんですよね。
私は172cm・68kgです。同じ190Nのマットレスに、体重50kg台の妻が寝ると「板みたい」と言う。妻の体重だと表面がほとんど沈まないので、腰やお尻の丸みの下に隙間ができて、肩と腰の2点で支える形になる。逆に、80kg以上の人が柔らかいものを使うと腰から沈んで、体がV字になります。
だから「腰痛には高反発」という一行の情報は、半分しか合っていないことになります。自分の体重に対して沈み込みが適正かどうか、が問題であって、硬ければいいわけじゃない。星の数だけ見て買うと、レビューを書いた人の体重が自分と20kg違う、みたいなことが普通に起きます。
三つ折り10cmを3,980円で試した
最初に買ったのは、三つ折りの高反発マットレスでした。97×195cm、厚さ10cm、硬さ190N。楽天のセール時で3,980円前後。この価格帯なら、合わなくても実験代として諦められると思って選んでいます。
床に直接敷いて使っています。ベッドをやめたので、これで正解でした。子どもが転がっても落ちる高さがないし、日中は三つ折りにして押し入れに入れられる。6畳に3枚並べると床がほぼ埋まるので、しまえるのは効きます。
不満は3つあります。ひとつめは折り目です。三つ折りは65cmごとに継ぎ目があって、私の身長だと2本目の折り目がちょうど腰の下あたりに来る。新品のうちは折り癖が残っていて、そこがわずかに凹むんですよね。1ヶ月ほど敷きっぱなしにしたら気にならなくなりましたが、最初の2週間は毎晩気づいていました。
ふたつめは厚み。10cmあれば底付きはしない、と思っていたんですが、寝返りで腰に体重が集中する瞬間、床の硬さをうっすら感じる日があります。体重が重い人だと、10cmでは足りない可能性があると思います。
3つめは匂いです。圧縮ロールで届くので、開封直後はウレタンの匂いがはっきりありました。窓を開けて半日、立てかけて2日。3日目でほぼ抜けましたが、届いたその日に寝るつもりだと当てが外れます。
床置きはカビとの戦いになる
ベッドをやめて分かったのが、これです。床にマットレスを直接敷くと、体温と汗で発生した水分が下側にたまります。フローリングは通気しないので、逃げ場がない。
実際、敷きっぱなしにした2週間目に裏側を見たら、床との接地面が湿っていました。カビが出る一歩手前だったと思います。それ以来、朝は三つ折りにして立てて置く、週に1回は壁に立てかけて数時間風を通す、という運用にしています。除湿シートを1枚挟むようにもしました。1,500円くらいのもので、湿気を吸うとセンサー部分の色が変わるタイプ。
この手間を毎日やれるかどうかは、けっこう分かれると思います。私は在宅勤務なので、朝の休憩時間に立てるだけで済んでいる。毎朝家を出る生活だったら、たぶん続きません。その場合はすのこを敷くか、ベッドフレームに戻すほうが現実的です。
ポケットコイルとの比較で悩んだところ
三つ折りウレタンにする前、ポケットコイルのマットレスも検討していました。コイル数528個、厚さ22cmで2万円弱、みたいなものです。
コイルは、独立したバネが体の凹凸に個別に沈むので、体圧分散という点では有利とされています。厚みがあるぶん底付きの心配もない。寝心地だけで言えば、ホテルのベッドに近いのはこちらです。
それでも外したのは、重さと運用が今の暮らしに合わなかったからです。厚さ22cmのシングルは、実物で20kgを超えるものが多い。毎朝立てるのは無理だし、押し入れにも入りません。子どもと川の字で寝る期間はたぶん数年で、そのあいだは「しまえること」の優先順位が寝心地より上でした。あと、子どもがおしっこを漏らしたときに洗える構造かどうか、というのも現実的な判断材料です。ウレタンならカバーを外して洗える。コイルは中まで濡れたら終わりです。
結局いちばん大事なのは、返せるかどうかだった
ここまで硬さだの厚みだの書いてきて何ですが、いま人に聞かれたら「返品保証かお試し期間がついているものにしたほうがいい」と答えます。
理由は、マットレスは2週間寝てみないと判断できないからです。初日は「いい買い物をした」と思う。3日目に腰が違和感を訴えて、1週間後にはそれが消えていたりする。体が寝具に慣れる期間があるので、短期の印象がまったく当てになりません。店頭で5分寝るのは、ほぼ何の情報にもならない。
20日間の返品保証や、90日間のお試し期間を用意しているブランドがあります。その分だけ価格には乗っているはずですが、合わなかったときに数万円が押し入れの肥やしになるリスクを考えると、保険としては妥当だと思っています。私が3,980円のものから試したのも、要は同じ発想でした。捨てられる金額で試す、というやり方。
最後にひとつ。朝の腰の重さは、寝具を替えてから少し楽になったように感じています。ただ、それが高反発のおかげなのか、ベッドをやめて床の高さで寝るようになったからなのか、単に季節が変わったからなのか、切り分けはできていません。腰の痛みが数週間以上続いているなら、マットレスを買い替える前に整形外科で一度診てもらうのが順番として正しいと思います。私は買ったあとに受診して、「寝具のせいとは限らない」と言われました。順番が逆でした。
この記事は個別の対処法です。座り仕事で出てくる不調の全体像は座り仕事の体|4年でガタが来た場所を並べるにまとめています。

