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プリンターは置かない派でした。年に数回しか印刷しないなら、コンビニのネットプリントで足りる。実際、独身のころから5年ほどそれで成立していたんです。考えが変わったのは、保育園の入園が決まった週でした。提出書類が想像の3倍あって、しかも「明日まで」が続いた。結論としては買ってよかったんですが、本体価格よりインク代のほうが高くつく構造だけは、先に知っておくべきでした。
コンビニ印刷で足りていた5年間
まず、コンビニ印刷が優秀なのは事実です。PDFをアプリから登録して、予約番号を持って店に行けば、白黒1枚20円、カラー1枚60円前後で出せます。うちからコンビニまでは徒歩4分。年に10枚も印刷しない生活なら、本体代もインク代も置き場所も不要で、圧勝でした。
実際、確定申告の書類も、賃貸の更新書類も、これで乗り切っています。5年で使った金額はおそらく3000円もいっていません。プリンターを買っていたら、本体だけで元が取れない計算です。
破綻したのは、印刷の性質が変わったからでした。以前の印刷は「予定されている印刷」だったんです。日付が分かっていて、余裕を持って準備できる。それが子どもが生まれてから、予定されていない印刷に変わりました。
保育園の書類で、時間の使い方が壊れた
具体的に書きます。入園説明会の翌週、提出を求められた紙が11種類ありました。児童票、食物アレルギー調査票、緊急連絡先カード、写真掲載の同意書、登降園の届出。多くはPDFで配られて、印刷して手書きで記入して提出するという形です。
問題は、記入をミスするたびに刷り直しになることでした。緊急連絡先カードを2回書き損じて、そのたびにコンビニに行っています。往復8分プラス操作の時間で、1回15分。生後4ヶ月の子を妻に預けて出るので、実質のコストは15分では済みません。
さらに、うちのマンションはエレベーターが1基で、朝は5分待つこともあります。抱っこ紐で寝かしつけている最中に「あの書類、明日までだった」と気づいた夜、家を出られなかったんですよね。あの時点で私は、月に数百円の話ではなく、家を出なくていいこと自体に金を払う判断をしました。
1万円以下の複合機を買った
選んだのはキヤノンのPIXUS TS3730です。A4のインクジェット複合機で、Wi-Fi対応、スキャンとコピーもできます。使うインクはBC-366とBC-365。本体は5000円台から1万円弱くらいの価格帯で、私は7000円ほどで買いました。
選定の基準は割り切っていて、写真は印刷しない、両面自動印刷もいらない、置き場所は最小。この3つでした。子どもの写真は現像サービスに出したほうが綺麗で安いので、家のプリンターには最初から期待していません。求めたのは白黒のA4を確実に、今すぐ出せることだけです。
Wi-Fi設定は10分ほどで終わりました。MacからもiPhoneからも、印刷ダイアログに普通に出てきます。私は仕事でSwiftを書いているのでAirPrint周りは馴染みがありましたが、特別な知識は不要でした。
置き場所は、机の横のカラーボックスの上です。本体の設置面積はA4の紙より少し大きいくらいで、幅が43cm前後、奥行きが32cm前後。ただし使うときは背面の給紙トレイを立てて、前面の排紙トレイを引き出すので、上下と手前に余裕がないと成立しません。私は上に棚板があるところに置こうとして、給紙トレイが立たずに置き場所を変えています。カタログの寸法は畳んだ状態の数字だと考えたほうがいい。
スキャンとコピーも付いていますが、正直あまり使っていません。原稿台に1枚ずつ置いて蓋を閉めるタイプなので、複数枚を処理するには向いていないんです。1枚をコピーしたいとき、たとえば保険証をコピーして提出する、といった場面では便利でした。年に数回そういう用事があります。
本体より高いインクという構造
ここが正直いちばん引っかかっている部分です。純正インクは黒とカラーの2本セットで、大容量タイプでも合わせて5000円前後します。本体が7000円だったので、インクを2回買えば本体価格を超えます。
プリンター本体が安いのは、インクで回収する前提の価格設定だからです。分かってはいたんですが、実際に自分の口座から出ていくと、なかなか複雑な気持ちになりました。私は標準容量ではなく大容量タイプを選んで、単価を下げています。それでも1枚あたりのコストで見ると、白黒の文書ならコンビニと大差ないくらいでした。
つまり、コスト面での勝ちはほぼありません。買う理由は時間と、家を出なくていいことだけです。ここを勘違いすると後悔すると思います。
目詰まりと、それを避けるための運用
失敗談を書きます。買って最初の2ヶ月、まったく使わない時期がありました。3ヶ月ぶりに印刷したら、黒が完全にかすれて出てきた。ノズルチェックパターンを印刷すると、黒のラインが半分以上抜けていました。
クリーニングを3回かけて復活しましたが、クリーニングは1回ごとにそれなりの量のインクを消費します。使っていないのにインクが減るという、いちばん腹立たしいパターンです。
今は月に一度、意識的に1枚印刷するようにしています。内容は何でもよくて、私はカレンダーを刷っています。これを始めてから目詰まりは起きていません。インクジェットを家に置くなら、この「使わなくても定期的に動かす」運用は必須だと考えたほうがいいです。長期間使わない可能性が高いなら、むしろレーザーやコンビニのほうが向いています。
その他の不満も挙げておきます。印刷速度は速くありません。A4の白黒で1枚あたり10秒前後、カラーの資料だと20秒近くかかります。それと、動作音がそこそこ大きい。給紙のときのガコンという音は、寝室の隣で夜中に鳴らすと気になるレベルです。私は日中に印刷を寄せています。
置くか置かないかの分かれ目
半年使っての整理として、判断基準は印刷枚数ではないと思っています。年に何枚刷るかで計算すると、たいていの家庭はコンビニのほうが安い。
分かれ目は、印刷が急に発生する生活かどうかです。子どもの提出物、役所の手続き、習い事の申込。これらは日付を選べないうえ、書き損じで再印刷が発生します。家を出るのに手間がかかる時期、つまり乳幼児がいるあいだは、家に1台あることの価値がコストを上回りました。
逆に言えば、子どもが小学校に上がってひとりで留守番できるようになったら、私はまたコンビニ派に戻るかもしれません。恒久的な設備ではなく、今の数年間のための道具として買った、という感覚が近いです。7000円の本体を3年で使い切るつもりなら、月あたり200円弱。夜中に家を出られなかったあの1回を思えば、私にとっては安い部類でした。置かない判断も間違いではないので、自分の生活で印刷が「予定できるもの」かどうかを一度考えてみるのがいいと思います。
この記事は在宅環境の個別レビューです。どこから手を付けるべきかはデスク以外の在宅環境|見落としがちな投資先で整理しています。

