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防災用の灯りで一番厄介なのは、明るさでも値段でもなく「保管中に使えなくなること」だと思っています。私は乾電池式のライトで2回それをやりました。
1回目は液漏れ。押し入れに2年入れっぱなしにしていたライトを取り出したら、電池ボックスの中が白い粉だらけで、接点が腐食して通電しなくなっていました。2回目は単純に残量切れ。子どもが生まれてから防災用品を点検したとき、入れておいた単三電池が全部使い切りに近い状態だった。私が普段使いで抜いて、別のものを入れて戻したのを忘れていたんです。
それでソーラーランタンを試すことにしました。半年ほど窓際に置いて使ってみて、いいところと期待外れだったところが両方はっきりしたので書いておきます。
「置いておくだけで貯まる」の楽さは想像以上だった
導入して一番変わったのが、点検作業がほぼ消えたことです。乾電池式のライトは、半年に一度は電池を確かめる必要があります。うちは防災用品の点検を年2回、3月と9月にやると決めているんですが、この「決めたことを実行する」がなかなか続かない。
ソーラーランタンは、リビングの南向きの窓際、カーテンレールの手前に置いてあります。日中はレースカーテン越しに光が当たるので、こちらが何もしなくても勝手に充電されている。夜、間接照明として1時間ほど点けて、また窓際に戻す。これだけです。点検が「見えるところに置く」に置き換わったのが、我が家にとっては一番の効果でした。
もうひとつ副作用として良かったのが、置き場所が分かるようになったこと。押し入れの奥にしまってあるライトは、停電したときに取り出せません。真っ暗な中で押し入れを開けて、箱を下ろして、その箱を開ける。冷静に考えると相当な作業です。窓際に出しっぱなしなら、手を伸ばすだけで届く。
曇りが3日続くと、ソーラーはあてにならない
期待外れだったのはここです。梅雨の時期、6月に丸1週間ほど雨と曇りが続いたことがありました。窓際に置いたままにしていたランタンを点けてみたら、最大輝度で30分もたずに暗くなった。
ソーラーパネルは、面積と日射量で発電量が決まります。ランタンの天面に載っている数センチ角のパネルでは、快晴の直射日光でも満充電まで丸1日以上かかることが多い。レースカーテン越しの室内なら、もっと落ちます。曇天だとさらに一段下がる。ソーラーは「充電手段」ではなく「自然放電を補う手段」くらいに考えたほうが実態に近いというのが、半年使った実感です。
これは製品が悪いわけではなくて、物理的な限界です。ベランダに出して直射日光に当てれば状況は改善しますが、今度は取り込むのを忘れます。実際に忘れて、翌朝雨に濡らしました。防水等級があったので無事でしたが、あれがなかったら壊していたはずです。
だからUSB充電が付いているモデルを選んだ
結論として、我が家が選んだのはGlocusentのソーラーランタンです。決め手はType-Cでも充電できること。ソーラーは補助、本命はUSB、という割り切りです。
スペックとして気に入っている点をいくつか。本体が153グラムと軽く、防災リュックに入れても重量計算が狂わない。バッテリーは5000mAhで、Type-Cからの急速充電なら約3.5時間で満タンになります。無段階調光と3色の色温度切り替えがあって、避難所のような場所で最大輝度を使うと迷惑になるので、弱く絞れるのは実用的です。SOSモードと吊り下げ用のフックも付いています。逆充電に対応しているので、いざとなればスマホに少しだけ電気を渡せる。
不満もあります。まず、5000mAhをソーラーだけで満たすのは現実的ではない。晴天の屋外に何日か出しておけば貯まりますが、それは運用として続きません。それから、逆充電はあくまで非常用で、スマホを満充電にする容量ではない。5000mAhのうちランタン自身が使う分を差し引くと、スマホの残量を3割ほど押し上げるくらいの感覚です。モバイルバッテリーの代わりにはなりません。
あと個人的に惜しいのが、スイッチの操作系です。長押しと短押しでモードが切り替わる方式なので、真っ暗な中で慌てると狙ったモードに一発で入れない。停電した夜に「弱く点けたいだけなのに最大輝度で目が眩む」というのを実際にやりました。子どもが寝ている横でこれをやると、確実に起きます。
買う前に迷ったのが、価格帯の違うモデルでした。3,000円台のものから1万円を超えるものまであって、スペック表を並べると容量と明るさが違うくらいにしか見えない。実際に効いてくる差は、充電経路が何本あるかと、防水等級と、重さでした。安いモデルはType-C非対応でmicroUSBだったり、防水の記載がなかったりする。5年後にmicroUSBのケーブルが家にあるかというと、たぶんない。充電端子の規格は長期保管する道具ほど重要で、ここは価格より優先しました。
明るさでは乾電池式に勝てない
正直に書くと、絶対的な明るさは乾電池式のランタンに劣ります。うちにある単一電池4本のランタンは、部屋全体をはっきり照らせる。ソーラーランタンは、テーブルの上を照らして家族の顔が見えるくらいです。
理由は単純で、電池の総エネルギー量が違うからです。単一アルカリ電池4本と5000mAhのリチウム電池では、蓄えている電力量に差がある。加えて、ソーラーランタンは「長時間もつこと」を優先して設計されているので、最大輝度を高くしすぎない方向にチューニングされていることが多い。
なので我が家は、役割を分けています。部屋全体を照らすメインは乾電池式のランタン。ソーラーランタンは常夜灯的な弱い灯りと、持ち歩き用。トイレに行くとき、玄関で靴を履くとき、リュックの中を探すとき。灯りは1つでは足りなくて、明るさの違う複数を持つほうが実用的というのは、停電を1度経験してから考えを変えた部分です。
ベランダに吊るして、普段から使っている
防災グッズを「防災グッズ」としてしまい込むと、存在を忘れます。だから普段使いの用事を作ったほうがいい。うちの場合はベランダです。
夜、洗濯物を取り込むときにベランダの照明がなくて不便でした。賃貸なので照明を増設するわけにもいかない。そこでソーラーランタンをフックで物干し竿に吊るして、日中は充電、夜は手元灯として使うようにしました。IPX5の防水があるので、多少の雨なら気にしなくていい。夏の間、これがけっこう役に立っています。
普段から使っていると、バッテリーの調子も自然に分かります。半年経って「以前より点灯時間が短くなった気がする」と気づけるのは、毎晩触っているからです。しまい込んだままだと、5年後に取り出して初めて劣化に気づくことになる。リチウムイオン電池は使わなくても劣化するので、普段使いは実質的な点検だと思っています。
最後に
ソーラーランタンは「電池切れがない」わけではありません。曇りが続けば充電されないし、リチウム電池は年数で劣化します。それでも乾電池式より運用がずっと楽なのは確かで、点検を忘れる自覚がある人には合っていると思います。
選ぶときの条件は、私ならUSB充電に対応していること、防水等級があること、そして吊り下げられること。この3つです。ソーラー単独で完結する製品を探すのは、たぶん筋が悪い。あくまで自動で補充してくれる保険として考えると、期待が裏切られずに済みます。
この記事は防災グッズの個別レビューです。在宅避難という選択肢と備え全体は在宅避難という選択肢|避難所に行かない備えのつくり方にまとめています。

