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うちでスマートホーム機器を買い足し始めたのは、子どもが生まれて2ヶ月ほど経った頃です。ガジェットが好きだからではなくて、両手が空いていない時間が1日に5時間くらいあると気づいたからでした。抱っこしていると壁のスイッチに手が届かない。寝かしつけの途中で立ち上がれない。もうひとつが音で、子どもが寝ているあいだはドアの開閉音すら怖い。この2つの制約を回避する手段として、たまたま自動化が使えたという話です。半年で8種類くらい入れて、効いたものと死蔵したものがきれいに分かれました。効果が大きかった順に書きます。
動機は「近づけない」と「音を出せない」の2つだけだった
導入するかどうかの判断基準は、途中からひとつに収束しました。その操作を、片手で、あるいは体を動かさずにできるようになるか。これだけです。単に便利になるかどうかではありません。今すでにできている操作が少し楽になる程度のものは、結局どれも使わなくなりました。
抱っこの姿勢を具体的に書くと、生後5ヶ月で体重が7.2kg。左腕で支えて、右手は背中に添えているか、そうでなければ空いています。つまり自由に使えるのは右手一本で、しかも大きく動かすと起きる。この状態で確実にできる操作は、スマホの画面をなぞることと、声を出すことだけなんですよね。声も、寝入りかけのときは使えません。実質、片手でスマホ、が上限です。
なお、スマートプラグでデスク周りの電源をまとめて落とす話と、外出先からエアコンを入れるスマートリモコンの話、それにスマートスピーカーのタイマーと別室作業用のベビーモニターについては、それぞれ別記事で書きました。ここでの順位付けには入れていません。
1位は照明だった。抱っこしたまま部屋を暗くできる
効果がいちばん大きかったのは、導入したなかでいちばん安いスマート電球でした。1個2,000円前後です。
寝室で寝かしつけをしていて、あと少しで寝そうというところまで来る。でも枕元の照明が点いている。壁のスイッチまでは3歩で、うちのフローリングは3歩のうち1歩が確実に鳴ります。この1歩で起きたことが、正確には数えていませんが10回以上ありました。抱っこしたまま右手のスマホで明るさを落とせるようになって、この失敗が消えました。照明の操作回数は朝晩合わせて1日8回前後。回数が多いぶん、効果も大きかったんだと思います。
買ったのはTP-LinkのTapo L510Eです。E26口金、800lmで60W形相当、電球色。調光には対応していますが、色温度を変える調色は非対応のモデルです。ハブは要らず、電球単体で2.4GHzのWi-Fiに直接繋がります。保証は3年ついていました。
不満は、壁のスイッチで電源を落とすと当然ながら一切の操作を受け付けなくなることです。うちでは妻が習慣で壁スイッチを切ってしまい、翌朝アプリから点かない、という日が最初の1週間で3回ありました。スイッチにテープを貼って物理的に固定するまで解決しませんでした。調光の使い方や口金とサイズの選び方は別に1本書いたので、細かいところはそちらに残してあります。
2位は玄関の鍵。ベビーカーを押したまま家に入れる
2番目がスマートロックです。操作回数は1日2回しかありません。それでも2位なのは、1回あたりの失敗コストが照明より明らかに高いからでした。
散歩から帰ってきた場面を思い出すと、片手でベビーカーを押していて、もう片方の手にスーパーの袋。子どもは大抵ベビーカーで寝ています。ここで鍵を出すには、いったんベビーカーから手を離して、袋を床に置いて、ポケットかバッグを探る必要がある。マンションの共用廊下でこれをやると、風でベビーカーが動くのが怖いんですよね。実際、鍵を探しているあいだに子どもが起きて泣き出したことが何度もありました。
導入したのはSwitchBotのスマートロック Liteと指紋認証パッドのセットで、楽天で14,980円でした。工事は不要で、既存のサムターンに両面テープで貼り付けるタイプです。指紋のほかに暗証番号、SuicaやPASMOなどのICカードでも解錠できます。うちで実際に使っているのは指紋がほとんどで、手が濡れているときだけ暗証番号に切り替えています。
不満というより怖いのは電池です。切れたら開きません。だから物理鍵は今も必ず携行していて、これは外せない運用になりました。あとは両面テープの粘着で、夏場に一度わずかにズレて空回りしています。取り付けや賃貸での注意点は書くことが多かったので、これも別記事にまとめました。
3位と4位は、カメラとアームスタンドだった
3位はネットワークカメラです。TP-LinkのTapo C200を、玄関とリビングに1台ずつ。フルHDの1080pで、パンチルトで首が動き、赤外線の暗視に対応しています。動作検知でスマホに通知が飛び、双方向通話もできる。microSDカードを挿せばローカルに録画できて、クラウド録画のほうは有料プランです。保証は3年。
効いた理由は、階を移動しなくてよくなったことに尽きます。宅配のインターホンが鳴ったとき、抱っこしたまま玄関まで行くか、下ろして泣かれるかの二択だったのが、スマホで映像を見て判断できるようになりました。留守中の様子や、実家に置いた1台の使い方については別記事で詳しく書きます。
不満はパンチルトのモーター音で、静かな寝室だとはっきり聞こえます。首を振る操作は子どもが寝ている部屋では使えません。それと通知の量。初期設定のままだとカーテンの揺れでも飛んでくるので、感度を下げるまでは1日40件くらい来ていました。
4位はスマホアームスタンドです。1,599円。フレキシブルアームでベッドの枠に挟むタイプで、アームの長さは75cm、100cm、135cmから選べました。4〜7インチのスマホに対応。
添い寝で腕が下敷きになっている時間が長くて、その30分から1時間をどう過ごすかという問題がありました。スマホを持つと落として当てそうで怖い。アームに載せてしまえば、そもそも手を使いません。角度と落下対策の細かい話は別記事にしましたが、順位としてはここです。
短所は、アームが長いほどたわむこと。135cmを買ったんですが、寝返りでベッドが揺れるとしばらく画面が上下します。あと、子どもが手を伸ばして掴むようになってからは、顔の真上には出さない運用に変えました。
買ったのに使わなくなったもの
正直に書くと、3つあります。
ひとつめが廊下に付けた電池式の人感センサーライト。夜中のトイレとミルク作りのために付けたんですが、誤検知が多くて、こちらが通っていないのに光る。寝室のドアの隙間から光が入って子どもが起きたことが2回あって、2ヶ月で外しました。
ふたつめがNFCタグです。玄関の壁に貼って、スマホをかざしたら照明とエアコンがまとめて動く、という仕組みを作りました。動作としてはちゃんと動きます。ただ、スマホを取り出してかざすなら、そのままアプリを開いても手間は変わらないんですよね。作った本人が3日で使わなくなりました。エンジニアが陥りがちな、仕組みを作ること自体が目的化したパターンだと思います。
みっつめがスマート体組成計。毎朝乗ればグラフになるのは面白いんですが、そもそも毎朝乗る時間がない。データが1週間空くとグラフとして意味を持たなくなって、今は棚の上です。
いちばん時間を取られたのは、機器同士が繋がらないところだった
導入そのものより厄介だったのが、メーカーをまたいだときの相互接続です。
まずアプリが分かれます。うちだとTapoアプリとSwitchBotアプリの2つ。照明を消したいときと鍵を確認したいときで別のアプリを開くことになります。私はまだいいとして、妻のスマホに2つ入れてもらって、両方のアカウントを共有設定するところで一度つまずきました。共有される権限の範囲がアプリごとに違って、鍵のほうは共有相手だと一部の設定が触れない。
次にハブの要否です。Wi-Fiに直結する機器はハブなしで動きますが、電池で動くセンサー類はだいたい別途ハブが必要でした。カタログの「スマホから操作できる」という記述だけを見て買うと、届いてから追加で3,000〜4,000円かかることになります。私は温湿度計で一度これをやりました。
そしていちばん時間を溶かしたのが、ほとんどのIoT機器がWi-Fiの2.4GHz帯にしか対応していないことです。うちはメッシュWi-Fiで、2.4GHzと5GHzを同じSSIDにまとめてバンドステアリングさせていました。この状態だと、セットアップ中のスマホが5GHzを掴んでいるせいで電球が見つからない。管理画面から一時的に5GHzを止めて、設定が終わってから戻す、という手順にたどり着くまで1時間近くかかりました。2台目以降は同じ手順でやるだけなので5分です。
この乱立をMatterという共通規格で吸収できるという話もあって、実際うちも一部は対応しています。ただ、対応と書いてあっても機能がすべて使えるとは限らないところがあるので、そこは別記事でまとめて検証します。
半年やって、効いたものに共通していたこと
順位を並べ直すと、効いたものには共通点がありました。1日の操作回数が多いか、1回あたりの失敗が痛いか、そのどちらかを満たしている。照明は前者で1日8回、鍵は後者で1日2回。カメラとアームスタンドは、回数は少ないけれど「そのとき動けない」という状況に直結していました。
逆に使わなくなった3つは、操作回数が1日1回以下で、しかも手が空いているときにやる操作ばかりです。買う前にこの2軸で考えていれば、人感センサーとNFCタグには手を出していなかったと思います。
合計で3万円ちょっと。数字だけ見ると安くはないんですが、寝かしつけの失敗が減ったぶんで元は取れている感覚があります。次に検討しているのはカーテンの自動開閉で、朝の光で起こす運用が回るかどうか、レール形状の確認から始めるところです。
それぞれの詳しい記事
この記事で触れたものは、それぞれ単体でも詳しく書いています。気になったものがあれば個別記事も読んでみてください。

