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スマートウォッチは通知を増やす道具だと思っていました。手首がずっと震えている生活なんて絶対に嫌だったので、5年くらい選択肢から外していたんです。買った理由はその逆で、スマホを見る時間を減らしたかったから。手首で見出しだけ確認できれば、ポケットからスマホを出す回数が減るはずだ、という仮説でした。結果として1日のスクリーンタイムは47分減りました。ただしそこに至るまでに、通知設定で半日つぶしています。
スマホを一度出すと、5分は戻ってこない
子どもが生まれてから、スマホを出す動作のコストがはっきり上がりました。抱っこしていれば片手が塞がっているし、寝かしつけの途中なら画面の光が問題になる。それでも通知が来ると気になって出してしまう。
厄介なのは、出したあとです。通知そのものは3秒で終わるのに、ついでにメールを見て、ついでにニュースアプリを開いて、気づくと5分たっている。スクリーンタイムは平日で1日3時間12分でした。仕事でコードを書く時間は別なので、純粋にスマホだけの数字です。
だから欲しかったのは、「開かずに済ませる」ための一次表示でした。差出人と最初の一行だけ分かれば、9割は「あとでいい」と判断できる。
選んだのはXiaomiのSmart Band 10
条件は3つでした。バッテリーが長いこと、寝ているあいだも着けていられる軽さであること、そして高くないこと。健康管理を本格的にやりたいわけではないので、上位機種の必要がありませんでした。
Smart Band 10は1.72インチの画面で、最大1500nitsの高輝度に対応しています。この明るさが効くのは屋外で、真夏の日中にベビーカーを押しながらでも文字が読めました。LINEの通知にも対応していて、防水なので手洗いのたびに外す必要もない。育児中は調乳とオムツ替えで1日20回以上手を洗うので、これは地味に大きいです。
不満を先に書くと、画面が縦長なので1画面に出る文字数が少ないです。日本語だと20文字前後で切れる。「〇〇さんから返信」までは読めても、本文の要点までは分からないことがよくあります。あとシリコンバンドは、夏場に着けっぱなしで寝ると汗で痒くなりました。私は週に2回ほど外して洗っています。それと、抱っこするときに本体が子どもの顔に当たるので、うちでは文字盤を手首の内側に回して着けるようになりました。
スクリーンタイムが3時間12分から2時間25分になった
着け始めて3週間後、平日の平均が2時間25分になっていました。47分の減少です。減った内訳はほぼ「通知を見るために開いて、そのままダラダラ見た時間」でした。
効いているのは、手首だとついで行動ができないことだと思っています。1.72インチの画面には次に開くアプリのアイコンが並んでいないので、通知を読み終わったら手首を下ろすしかない。動線が行き止まりになっている。スマホの通知センターは、隣にホーム画面という入り口があるから続いてしまうんですよね。
ただ、最初の1週間はむしろ増えました。手首が震えるたびに気になってスマホも確認していたからです。減り始めたのは、あとで書く通知の絞り込みが終わってからでした。
音を出さずに受け取って、その場を離れない
いちばん想定通りだったのが、無音での受信です。うちは2LDKで寝室とリビングが壁一枚。子どもが寝ている横で作業していると、スマホのバイブが机の天板に響いて意外と大きい音になります。マナーモードでも、あの「ヴッ」という共振音で起きたことが2回ありました。
手首に着けていると、振動が伝わる先が机ではなく自分の腕なので、音がほぼ出ません。腕時計の振動は本人以外にはまず気づかれない。深夜にアラートを受ける可能性がある日は、スマホを完全にサイレントにして、机から離れた場所に置いて、通知は手首だけで受けるという運用にしています。
スマホを机から離す、というのがこの運用のいちばん大事なところでした。手元にあると結局そっちを見るので、意味がなくなります。
仕事の話も少し書きます。リリース直後などに、クラッシュレポートの急増を知らせるアラートがSlackに流れてくる日があります。在宅でそれを受けるとき、以前は通知が鳴るたびにPCの前に戻っていました。子どもを抱いていても、とりあえず戻る。
いまは手首でチャンネル名と冒頭の一行を見て、判断を3つに分けています。自分が今すぐ動く必要があるもの、誰かが対応中と分かるもの、単なる情報共有。実際に戻るのは1つ目だけで、体感で戻る回数が半分以下になりました。抱っこ紐で寝かせている最中に立ち上がらずに済むのが、いちばんありがたい。
もちろん20文字で本当に判断できるのか、という問題はあります。冒頭が同じ文言で始まる別のアラートを見間違えて、30分ほど気づくのが遅れたこともありました。いまは重要度の高いものだけSlack側で冒頭に記号を付けています。手首で読む前提でメッセージの書式を変える、というのは思っていなかった副作用でした。
睡眠と心拍の記録は、医療機器ではない
Smart Band 10には心拍と睡眠のモニタリング機能があります。使ってはいますが、扱いには気をつけているつもりです。
これらの記録は医療機器としての診断や治療を目的にしたものではありません。数値そのものが正しいかどうかを私は検証できませんし、装着の緩さや腕の動きでも変わります。私が見ているのは絶対値ではなく、あくまで傾向のほうです。たとえば深い睡眠の割合が数日続けて下がっているなら、夜間の対応が続いた週なんだな、と後から納得する材料になる。それくらいの使い方が実態に合っていると感じています。
逆に、記録を見て体調を判断するのはやめました。一度、睡眠スコアが低い日が続いたのを気にして数日引きずったことがあって、そのときは単にバンドを緩く着けていただけでした。体調に不安があるなら、腕の数字を眺めるより医療機関に相談したほうが早いです。この機能は健康を管理してくれるものではなく、生活を後から眺めるログだと思っておくと、ちょうどいい距離感になりました。
最大21日間は、条件がそろったときの数字
バッテリーは公称で最大21日間です。実際どうかというと、私の使い方だと11日前後でした。仕様の数字が嘘というわけではなくて、条件が違うだけです。
常時表示オフ、明るさは中間、心拍の計測は自動、通知は絞ったうえでオン、睡眠計測は毎晩。この状態で100%から始めて、11日目の夜に10%を切るペースでした。試しに常時表示をオンにしたら5日弱まで落ちた。画面が出続けるコストがいちばん大きいです。
逆に言えば、10日充電しなくていいのは運用としてかなり楽です。毎晩充電が必要なら睡眠計測は成立しません。うちは日曜の朝、子どもの朝寝の時間に充電器へ載せる形に固定しました。1時間ちょっとで満充電なので朝寝1回で終わります。
通知を絞る設定に、半日かかった
いちばんつまずいたところを書きます。買った当日、私はアプリ側で通知を全部オンにしました。全部見てから減らそう、と思ったんです。その日の午後だけで手首が40回以上震えて、夕方には外しました。
厄介だったのは、通知の許可が2段構えになっていることです。スマホのOS側でそのアプリの通知が許可されていて、なおかつ連携アプリ側でそのアプリが転送対象になっている必要がある。片方だけ切っても止まらない組み合わせがあって、犯人のアプリを特定するのに時間がかかりました。
もうひとつハマったのが、逆に「必要な通知が来ない」ほうです。iPhone側の設定で、通知の転送がスマホのロック中しか有効にならない状態になっていました。PCで作業しながらスマホの画面を点けていると、手首には何も来ない。当然そうなる仕様なんですが、原因に気づくまで「この機種は通知が不安定だ」と誤解していました。半日つぶしたのはほぼこれです。
いま手首に通知を出しているのは、電話、家族のLINE、仕事のSlackで自分宛てのメンションだけ。メールもニュースもカレンダーも切りました。手首に出す条件は「見た瞬間に立ち上がる可能性があるか」で決めています。この基準にすると、大半のアプリは残りません。
通知を減らすために通知デバイスを買う、というのは矛盾しているようで、実際に効いたのは「通知の受け口を1.72インチに縮めた」ことでした。表示できる情報が少ないから、置ける通知も少なくなる。制約のほうが仕事をしてくれた道具だったと思っています。

