※ この記事にはプロモーションが含まれています。
ずりばいが始まった週に、子どもが床を舐めました。四つん這いになる手前の、腹ばいで進む時期です。顔が床から10センチの高さにあるので、当然そうなる。そのとき初めて、自分が床に何を撒いているのかを真剣に考えました。
それまでは、フローリング用のウェットシートを使っていました。裏面の成分表示を読むと、界面活性剤と除菌成分が書いてある。人体に有害というほどのものではないはずですが、舐めることを前提に設計されてはいない。洗剤を使わずに床を掃除する方法を探して、たどり着いたのがスチームクリーナーでした。
洗剤を使わないという条件で絞ると、選択肢が少ない
水拭きだけでもいいんじゃないか、と最初は思いました。実際、ほとんどの日はそれで足りています。ただ、離乳食が始まってから床につく汚れの質が変わりました。かぼちゃのペーストが乾いて固まったやつ、ヨーグルトの跡、油を含んだ肉のかけら。
これらは常温の水では落ちません。ぞうきんでこすると、こすった範囲に薄く広がるだけ。結局、洗剤を使うか、力を入れてこするかの二択になります。腰をやられている時期に、床にへばりついてこするのは避けたかった。
高温の蒸気を当てると、油脂と糖が緩んで浮きます。理屈としてはこれだけです。熱で汚れの粘度を下げて、あとは拭き取る。洗剤の化学的な力を、熱という物理的な力に置き換えているだけなので、洗剤で落ちない汚れが魔法のように落ちるわけではない。この点は最初に理解しておいたほうがいいです。
買ったのはハンディタイプ、理由は収納場所
スチームクリーナーには、モップのような形をしたキャニスター型と、片手で持つハンディ型があります。私が買ったのは、15点のアタッチメントが付いたハンディタイプ。1万円前後の価格帯のものです。
本命はケルヒャーのSC 2 EasyFixでした。楽天で21,799円ほど。タンクが大きくて連続使用時間が長く、床用のモップヘッドが付いてくるので、フローリング全面を一気にやるならこちらのほうが速いはずです。ただ、うちの2LDKにこれを置く場所がありませんでした。洗面所の収納は洗剤とおむつのストックで埋まっていて、新しい箱を入れる余地がない。
ハンディ型は靴箱の上段に収まるサイズだったので、そちらにしました。その代わり、床全体をやろうとすると腰をかがめ続けることになります。この判断は、正直まだ迷いがあります。
付属品が15点というのも、実際に使うのは3点くらいです。ブラシノズル、細口ノズル、布カバー付きのヘッド。残りは箱に入ったまま。多点セットは値段の割にお得に見えますが、使わないものが増えるだけでした。
使える場所と、使ってはいけない場所
ここが一番大事なところです。スチームは熱と水分を同時に与えるので、どちらかに弱い素材には使えません。
うちのフローリングは合板に化粧シートを貼ったタイプで、これは長時間同じ場所に当てると継ぎ目から水が入る恐れがあります。管理会社に確認したところ「短時間なら」という曖昧な回答でした。なので、一箇所に3秒以上留めないというルールを自分に課しています。無垢材のフローリングやワックスをかけた床は、反りや白化のリスクがあるので基本的に避けたほうがいい。
樹脂も種類によります。うちはベビーゲートのプラスチック部分にうっかり当てて、表面が少し曇りました。テレビの周辺やコンセントまわりも当然だめです。当たり前に聞こえますが、勢いがついていると手が滑る。
逆に相性がいいのは、キッチンの五徳とレンジフードの内側、浴室のドアのパッキン、それから子どものプラスチックのおもちゃです。おもちゃは洗剤で洗うと流水でのすすぎが面倒ですが、蒸気なら当てて拭くだけ。ここは本当に楽になりました。
予熱と水の補給が、思ったより体験を削る
スイッチを入れてから蒸気が出るまで、うちのモデルで約20秒。数字だけ見れば短いです。実際、待つのは苦になりません。
問題はタンクです。容量が350mlしかなく、連続で使えるのは10分弱。床の掃除を始めると、途中で必ず切れます。切れたら電源を落として、圧が抜けるのを待って、キャップを開けて、水を足して、また20秒待つ。この一連の作業が2分くらいかかる。
使う水にも注意が要ります。うちの地域は水道水の硬度がそこそこあるようで、説明書には精製水の使用が推奨されていました。半年ほど水道水で使ったら、ノズルの先に白い結晶が付き始めています。クエン酸を溶かした水を通して落としましたが、これも面倒な作業です。今は500mlの精製水を薬局で買い置きするようにしました。
洗剤を完全にやめられたわけではない
買う前は、これでウェットシートを卒業できると思っていました。実際には、まだ買っています。理由は、蒸気が届かない汚れがあるからです。
典型的なのが、水垢とカビです。浴室のドアのゴムパッキンに生えた黒い点は、蒸気を当てても色が変わりません。あれは繊維の奥に色素が入り込んでいるので、熱で浮かせるという理屈が通用しない。ここは素直に塩素系の洗剤を使っています。子どもは浴室にいない時間帯にやって、しっかり流す。
キッチンのシンクの水垢も同じで、こちらはアルカリではなく酸で溶かす話なので、蒸気は無関係です。蒸気で落ちるのは、熱で緩む汚れだけ。油、糖、皮脂、それに軽い雑菌。この範囲を超えたものには別の手段が要ります。
逆に、この線引きが分かってからのほうが、洗剤の使用量は減りました。以前は何にでもウェットシートを使っていたので、床とテーブルとおもちゃに毎日撒いていたことになる。いまは床とおもちゃはスチームか水拭き、洗剤は浴室と排水口に限定、という運用です。舐められて困る場所からは洗剤が消えた、という意味では目的を達しています。
年に数回しか使っていない、というのが正直な稼働状況
買って8ヶ月ほど経ちますが、床の掃除に使ったのは10回ないと思います。理由は単純で、日常の掃除にはスチームは重すぎるからです。準備と片付けを含めると15分かかる道具は、毎日の家事のサイクルに入りません。
実際の使いどころは、月末の週末とか、来客の前とか、離乳食を盛大にこぼした日とか。それから年末の大掃除。キッチンの油汚れに対しては明確に強くて、レンジフードのフィルターに当てると茶色い液が流れ落ちてきます。あれは気持ちがいい。
だから、床のために買った道具が、実際にはキッチンで使われている、という状況です。当初の目的だった「子どもが舐める床」に対しては、ふだんは水拭きで済ませて、汚れが固まったときだけスチームを出す。この頻度に落ち着きました。
費用対効果でいうと、微妙なところです。1万円を10回で割れば1回1,000円。ただ、洗剤を使わない選択肢を持てたことに対しては払う価値があったと思っています。買う前に自分に聞いておくべきだったのは、それを月何回やるつもりなのか、という一点でした。
この記事は家電の個別レビューです。買い替えの優先順位は家族が増えて買い替えた家電|一人暮らし仕様からの卒業にまとめています。

