※ この記事にはプロモーションが含まれています。
防災の買い物で、費用対効果が一番良かったのは何かと聞かれたら、私はゴミ袋と答えます。200枚で2,000円しないし、押し入れの隅に収まるし、期限がない。それでいて、なかったときの困り方が尋常じゃない。
最初に備蓄リストを作ったとき、ゴミ袋の欄には「45L 20枚」と書いていました。普段のペースで1週間分だと思ったからです。実際に必要枚数を数え直したら、3倍以上足りていませんでした。
ゴミ収集は、たぶん止まる
前提として、災害時にゴミ収集がいつも通り来ることは期待できません。道路が寸断されれば収集車が入れないし、清掃工場が被災すれば処理そのものが止まる。職員の方も被災者です。
過去の大きな災害では、家庭ゴミの収集が数日から1週間以上滞った例が報告されています。粗大ゴミや災害廃棄物になると、もっと長い。一般的に、生活ゴミは数日から1週間程度は自宅で保管する前提で備えるのが現実的とされています。
つまり、出したゴミは家の中かベランダに積み上がります。ここが想像しにくいところで、私は「ゴミ袋が足りない」ことよりも「ゴミの置き場所がない」ことのほうが先に問題になると気づきました。袋がなければ、そもそも封じることすらできません。
平常時の何倍のゴミが出るか、書き出してみた
我が家は妻と私、生後5ヶ月の子どもの3人。平常時、45リットルの袋は週に2枚くらいのペースです。それが災害時にどうなるか、種類ごとに数えてみました。
まずオムツ。1日8〜10枚使うので、1週間で60〜70枚。これは平常時と同じですが、平常時は2日に一度収集があるので溜まりません。溜まると体積も匂いも一気に効いてきます。
次に簡易トイレ。1人1日5回程度×3人×7日で、単純計算105回分。凝固剤を使った携帯トイレの袋がそのままゴミになるので、これだけで相当な量です。しかも中身は排泄物なので、絶対に密閉が必要になる。
そこに使い捨て食器が乗ります。紙皿、紙コップ、割り箸、ラップ。3人×3食×7日で、皿だけで60枚以上。食べ残しが付着した状態です。
これを足していくと、平常時の3倍から4倍という数字になります。うちの試算では、45リットル袋で1週間に7〜8枚。それに小分け用の袋が数十枚。予備を見て、最終的に45リットルを200枚買いました。多すぎるように見えますが、平常時のゴミ出しにも使えるので、余っても腐りません。
45リットルだけでは回らない
枚数を揃えたあとで、サイズの使い分けが要ることに気づきました。全部45リットルにすると、実は使いにくい。
大きい袋に生ゴミやオムツを少しずつ入れていくと、いっぱいになるまでの間ずっと口が開いた状態になります。匂いが出るし、虫も寄る。かといって少量で口を縛ると、袋がもったいない。
解決策は、小さい袋で個別に密閉してから、大きい袋にまとめて入れる二重構造です。オムツ1枚、簡易トイレ1回分を小袋で縛って、それを45リットルにまとめる。こうすると匂いが漏れにくいし、大きい袋を開け閉めする回数も減ります。
我が家の構成は、45リットルを主力に、20〜30リットルを分別用と持ち運び用に少し、それに小さい防臭袋を大量。この3段階です。大きすぎる70リットルや90リットルは、満杯にすると重すぎて動かせないので買いませんでした。女性でも運べる重さを考えると、45リットルでも入れ方によっては限界を超えます。
結局、45リットルを200枚買った
選んだのは大日産業のEco Tough 45リットル 半透明です。200枚入りのボックスタイプで、65×80センチ。素材はHDPEで、全面にエンボス加工がされています。
ボックスタイプにしたのは、収納と取り出しのしやすさが理由です。ティッシュのように1枚ずつ引き出せるので、押し入れに置いたまま使える。ロールタイプだと巻きが戻って散らかるし、平たい袋詰めだと重ねたときに崩れます。
HDPEは硬めでシャカシャカした手触りの素材で、薄くても引っ張り強度が出るのが特徴です。エンボス加工が入っているぶん、袋同士が張り付かずに1枚だけ取り出しやすい。これは実際に使ってみて分かった地味な利点でした。
不満もあります。HDPEは硬いぶん、突き刺しに弱い。割り箸の先や缶詰の蓋のような尖ったものを直接入れると、簡単に穴が開きます。うちは一度、ガラスの破片を入れようとして袋を破りました。柔らかいLDPE素材の袋のほうが、鋭利なものには強い。破片やガレキを扱うなら、厚手のLDPEを別に何枚か持っておくべきです。
それと、200枚の箱は思ったより場所を取ります。届いた箱は靴箱2つ分くらいの体積があって、押し入れの棚を1段占領しました。安いからといって500枚買うと、置き場所で後悔します。
防臭袋は、別枠で用意する価値がある
普通のゴミ袋は、匂いを通します。ポリエチレンの分子構造には隙間があって、匂いの分子はそこを抜けていく。オムツを普通のゴミ袋に入れて口を縛っても、部屋が臭うのはそのためです。
防臭袋は素材そのものが匂いを通しにくく作られていて、うちはオムツ用に買っていたものを防災用にも回しています。1枚あたり数円から十数円と、普通のゴミ袋より一桁高い。だから全部これにするのは非現実的です。
使い分けとしては、匂いの発生源だけ防臭袋で個別に密閉して、そのあと普通の45リットルにまとめる。オムツと簡易トイレ、それに生ゴミ。この3つに絞れば、1週間で50〜80枚くらいで足ります。うちはSサイズを100枚、Mサイズを50枚ほど常備しています。
断水中は生ゴミを流せないので、三角コーナーに溜めることもできません。調理をなるべく減らして生ゴミ自体を出さない、というのも実は有効な対策です。使い捨て食器を使う理由のひとつでもあります。
ベランダに置けるか、という問題
溜まったゴミをどこに置くか。室内は論外なので、うちはベランダを想定していました。ところが実際に考え始めると、これも簡単ではありません。
まず直射日光です。夏のベランダは、床面が50℃を超えることもある。そこにゴミ袋を放置すると、中で発酵が進んで匂いが強烈になるし、袋が膨張して破ける可能性もあります。うちは室外機の裏の日陰になる一角を、ゴミの置き場と決めました。
次に虫。密閉が甘いと数日でハエが寄ってきます。マンションのベランダは隣戸と近いので、匂いは確実にトラブルの種になる。ここでも防臭袋での個別密閉が効いてきます。
それから避難経路の問題です。マンションのベランダには、隣戸との間に蹴破れる隔て板があって、そこは避難経路として空けておく必要があります。物置やエアコン室外機を置いてはいけない場所です。ゴミを積むときも、この前を塞がないようにしないといけない。ベランダは物置ではなく避難路というのは、防災を考え始めてから意識するようになった点でした。
最後に
ゴミ袋は、防災グッズの中で最も安くて、最も軽視されているものだと思っています。ポータブル電源に15万円かける前に、2,000円のゴミ袋200枚を買っておくほうが、たぶん生活の質は落ちません。
買うときの目安は、45リットルを1週間分で10枚前後、余裕を見て50枚以上。防臭袋を50〜100枚。それに厚手のLDPEを10枚ほど。合計しても3,000円台で収まります。期限もないので、余ったら普段のゴミ出しで消費すればいい。優先順位を付けるなら、私はかなり上のほうに置きます。
この記事は防災グッズの個別レビューです。在宅避難という選択肢と備え全体は在宅避難という選択肢|避難所に行かない備えのつくり方にまとめています。

