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金額だけで計算すると、うちはカーシェアのほうが安いです。年間5,000kmしか走らない、平日は在宅勤務でほぼ乗らない、そういう乗り方でマイカーを持つのは経済的に合理的ではありません。それでも私は2022年に中古車を買って、今も持っています。子どもが生まれてから、判断の軸が金額から別のものに移ったからです。何が変わったのかを、数字と一緒に書いておきます。
カーシェアで足りていた2年間
結婚してから子どもが生まれるまでの2年ほど、うちはカーシェアで暮らしていました。マンションから徒歩4分のコインパーキングにステーションがあって、月に2〜3回、1回2〜3時間の利用。用途はホームセンターでの大きい買い物と、たまの遠出です。
これで何の不満もありませんでした。予約はスマホで15秒。ガソリンを入れる必要もない。洗車も車検もタイヤ交換も、全部他人の仕事です。エンジニアの発想で言うと、所有せずにAPIだけ叩いている状態で、運用コストがゼロというのは相当に気持ちがいい。
崩れたのは、子どもが生まれてからです。2026年3月に第一子が生まれて、退院の日から車の使い方が完全に変わりました。
チャイルドシートの積み替えという壁
いちばんの問題はこれでした。カーシェアの車にはチャイルドシートが付いていません。
正確に言うと、貸し出しているサービスもありますし、ステーションによっては備品として置いてある車もあります。ただ、うちの近所のステーションにはありませんでした。だから自分のチャイルドシートを家から運んで、その場で固定して、返却時に外して家に持ち帰ることになる。
チャイルドシート本体は乳児用のもので7kg前後あります。それを抱えてマンションのエレベーターを降り、4分歩き、車に取り付ける。ISOFIX対応の車なら固定自体は数分で終わりますが、そもそも借りる車がISOFIXに対応しているかは車種次第です。シートベルトで固定するタイプだと、ベルトの通し方を毎回思い出しながらやることになり、確実に10分以上かかります。
そして雨の日です。抱っこ紐で子どもを抱えたまま、片手で7kgのシートを持って、駐車場で説明書を確認しながら固定する。一度やって、これは続かないと分かりました。しかも取り付けが甘ければ安全に直結する作業を、急いで、雨の中で、片手でやっている。その状況そのものが良くない。
返却のときにも失敗しています。返却時間の5分前に慌ててシートを外して、固定用のベルトを助手席に置き忘れました。気づいたのは家に着いてから。次の利用者が乗る前に取りに戻って、結局30分無駄にしています。
年間コストを正直に計算した
買う前に、表計算ソフトで比べました。数字を隠さずに書きます。
マイカー側の固定費は、まず駐車場が月14,000円で年168,000円。これが最大の項目です。自動車税が1.5Lクラスで年34,500円。任意保険が年60,000円ほど(等級と車両保険の有無で大きく変わります)。車検はうちの場合2年で15万円前後だったので、年割りで75,000円。ここまでで約337,000円です。
これに変動費が乗ります。年5,000kmでリッター18km走るとすると、ガソリンは約278L。1L=175円なら約48,000円。タイヤは4本で3〜4年ごとに交換するので年割り2万円弱。オイル交換や消耗品で年1万円ほど。合計するとざっくり年間41万円前後という結果でした。1km走るごとに82円かかっている計算になります。
カーシェア側は、月会費が880円で年10,560円。時間料金は6時間パックを月2回使うとして月8,000円弱、年約96,000円。距離料金が16円/kmとして5,000kmで80,000円。合計で年19万円前後。
差は22万円です。しかも駐車場代が高い地域ほど差は開く。金額の話だけなら、比べるまでもなくカーシェアの勝ちでした。
それでも買った理由は、夜中の1回にあった
買う決め手になったのは、生後2ヶ月のときの夜でした。子どもが38度台の熱を出して、夜間の小児救急に電話をして、「連れてきてください」と言われた。時刻は22時半です。
そのときはタクシーを呼びましたが、配車まで18分待ちました。待っている間に考えていたのは、これがもしカーシェアだったらということです。アプリを開いて、近所のステーションに空きがあるかを見る。空いていればチャイルドシートを担いで歩く。空いていなければ、隣のステーションまで歩くか、タクシーを待つ。
私が受け入れられなかったのは、費用ではなく不確実性でした。 カーシェアは共有資源なので、必要な瞬間に空いている保証がありません。年に1回あるかどうかの場面のために月2万円弱を追加で払う、というのは経済合理性からは外れています。それでも払うことにした。この判断は人によって違って当然だと思っていて、近所に24時間の小児科があるとか、実家が近いとか、条件が違えば答えも変わります。
荷物を積みっぱなしにできる、が地味に効いた
買ってから気づいたメリットのほうが、実は日常への影響が大きかったです。荷物を降ろさなくていい。
子どもを連れて出かけるときの荷物は多いです。ベビーカー、抱っこ紐、おむつのストック、おしりふき、着替え一式、レジャーシート、バスタオル、日よけ、麦茶。これを毎回家から運んで、帰ってきたら全部降ろす、という往復がカーシェアでは必須でした。マイカーになってからは、使用頻度の低いものは積みっぱなしにしています。
ただ、そのまま放り込むとトランクが「なんでも入れる袋」になって、必要なものが取り出せなくなります。実際、1ヶ月でそうなりました。おむつの袋が破れて中身が散らばり、レジャーシートの下からおしりふきが出てくる。それで折りたたみ式のトランク収納ボックスを買いました。56Lで仕切りが付いていて、自立するタイプです。
仕切りで3つに分けて、左におむつ関係、真ん中に着替えとタオル、右にレジャーシートと外遊びの道具、と決めました。固定ストラップが付いているので、荷室のフックに留めておけばカーブで転がりません。使わないときは折りたためる。
不満は3つあります。まず56Lは満載すると重い。おむつのストックと水のペットボトルを入れたら10kg近くになって、家に持ち込むときに腰にきました。分割して運ぶ前提の容量です。次に、折りたたんでも底板の厚みが残るので、完全に平らにはなりません。うちは3cmほどの厚みが残っています。そして荷室が浅い車だと、箱の高さの分だけ開口部で引っかかる。私の車はコンパクトカーなので、出し入れするときに毎回少し斜めにしています。あと布製なので、底が泥で汚れたときに丸洗いできないのは弱点です。濡れた雑巾で拭くしかありません。
結論は「今の条件では」という但し書き付き
私の答えは今のところマイカーですが、これは永続的な結論ではありません。子どもが大きくなって夜中の通院が減れば、また計算が変わります。駐車場が値上がりすれば変わるし、近所のステーションにチャイルドシート付きの車が常設されれば、それも変わる。
逆に言うと、判断の材料になるのは車種でも燃費でもなくて、チャイルドシートを毎回積み替えられるか、荷物を降ろせるか、必要な瞬間に確実に乗れるか、この3つでした。子どもがいない頃はどれも問題にならなかった項目です。同じ計算をしている人がいたら、年間費用の比較表を作る前に、この3つを先に自分の生活に当てはめてみるほうが早いと思います。私は表を作ってから気づいたので、順番を間違えました。
この記事は車まわりの個別レビューです。子どもが生まれて足したもの全体は子どもが生まれて車に足したもの|1年で変わった車内にまとめています。

