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USB-Cハブを比較するとき、ポート数の多さで選びたくなります。8-in-1、11-in-1と数字が並んでいると、多いほうが得に見える。私も最初はそう選んで、結果として3日を無駄にしました。
アプリ開発の仕事をしていると、ハブには一般的な用途にはない要求が乗ってきます。スマホの実機をつないでビルドを転送する、という使い方です。ここが不安定になると、コードの問題なのか接続の問題なのか切り分けができなくなって、時間がごっそり消えます。その話を含めて、何を基準に選んだかを書きます。
足りないのは数ではなく種類だった
私のMacBookにはUSB-Cが2つしかありません。片方は電源で埋まるので、実質1つです。この1つに何をつなぐか。
必要なものを並べると、外部ディスプレイのHDMI、SDカードリーダー、有線LAN、それとAndroid実機用のUSB-A。あとキーボードとマウスはBluetoothなので不要。つまり4種類です。数としては多くないのですが、種類が全部違うので、変換アダプタを個別に持つと4本になります。カバンの中でケーブルが絡むし、どれがどれか分からなくなる。
SDカードは、子どもの写真をミラーレスから吸い出すときに月2、3回使います。有線LANは在宅の会議で無線が不安定になる日の保険。カメラをオンにした4人以上の会議で、Wi-Fiだと映像が固まることが年に何度かあって、そのたびに有線に挿し替えると解決します。使用頻度は高くないけれど、必要なときに手元にないと困る種類のポートです。
2,500円のハブで、実機が落ちる原因を3日探した
最初に買ったのが、通販で2,500円くらいの8-in-1ハブでした。見た目は今使っているものとほとんど同じ、アルミの平たい筐体です。
問題が出たのはAndroidの実機テストでした。ハブのUSB-Aポートに端末をつないで、ビルドを流す。転送の途中で接続が切れて、端末が一覧から消える。挿し直すと復活して、しばらくするとまた消える。最初はUSBケーブルを疑って新品に替え、次に端末側の開発者オプションを疑い、そのあとPC側のドライバまわりを調べました。
3日目に、ハブを外して本体のUSB-Cポートに変換アダプタ1個で直接つないだら、何時間つないでも一度も切れませんでした。原因はハブでした。
あとから考えると、思い当たる点はいくつかあります。ハブの中では1本のUSB-Cの帯域を全部のポートで分け合っていて、有線LANとSDカードと実機が同時に動けば取り合いになる。それに、バスパワーのハブは接続機器へ供給できる電流に限りがあります。ビルド転送中の端末は充電しながら通信するので、電力を食う。安価な製品ほど、このあたりの余裕の設計が削られているんだと思います。
実機ビルドは本体直挿し、と決めた
この経験のあと、運用のルールをひとつ作りました。実機をつなぐときだけは、ハブを経由せずMacBook本体のポートに直接挿す。
面倒くさそうに聞こえますが、実際にはそうでもありません。実機をつなぐのは1日のうち数回、それぞれ数十分です。その間だけ電源ケーブルを反対側のポートに移して、空いた側に実機を挿す。ハブは外さずに、電源だけ移動させる形にしています。
大事なのは、切り分けの手間が消えることです。ハブ経由で不安定になったとき、それがハブのせいなのかコードのせいなのか、その場では判断できません。最初から直挿しと決めておけば、接続の問題という選択肢を検討から外せる。3日溶かしたあとだと、この安心感は2,500円の差額より価値があります。
買い直して落ち着いた構成
今使っているのはAnkerの8-in-1ハブです。HDMIが2つあってデュアルディスプレイに対応し、USB-Aが2つ、SDとmicroSDのスロット、有線LAN、それとPD入力用のUSB-Cという構成。
選ぶときに見たのは3点です。まずHDMIが4K60Hzに対応しているか。ここが30Hzまでの製品だと、マウスカーソルの動きが目に見えてカクつきます。4Kモニターを買った意味が半減するので、仕様表でリフレッシュレートまで確認しました。
次にデータ転送の速度表記です。5Gbpsと10Gbpsの製品があって、外付けSSDをつなぐなら差が出ます。私はSDカードからの読み出しが主なので、実はそこまで重要ではありませんでした。ただ、安すぎる製品は表記自体がなかったり、USB 3.0とだけ書かれていて世代が分からなかったりします。書いていないものは避けるという基準で足りると思っています。
3つめは有線LANが1Gbps対応かどうか。100Mbpsまでの製品が今でも売られていて、これだと自宅回線の速度を出しきれません。
SDカードスロットについても、ひとつ知っておくといい点があります。カードリーダーには対応する規格の世代があって、一般的なUHS-Iの製品だと読み出しの上限が理論値で毎秒104MBあたりに張り付きます。ミラーレスで撮ったRAWを100枚単位で吸い出すと、この差が待ち時間としてそのまま出る。私は月に数回なので気にしていませんが、写真や動画を毎日扱う人はここを見たほうがいいです。
逆に、あきらめた点もあります。8-in-1だと3.5mmのオーディオジャックが付いていない構成が多く、私が買ったものにもありません。有線のイヤホンを使う人は、そこが要るかどうかを先に決めたほうがいいです。
パススルー充電で、届く電力は減る
ハブのUSB-Cポートに充電器をつなぐと、ハブ経由でノートPCを充電できます。パススルー充電と呼ばれる仕組みで、これがあるとケーブル1本でモニターも充電もまかなえます。
ただし、入れた電力がそのまま届くわけではありません。ハブ自身も動くために電力を使うからです。私の環境では、65Wの充電器をハブに挿してMacBookに届いていたのは50W前後でした。仕様表には「最大100W入力・最大85W出力」といった書き方で載っていることが多く、この差がハブの取り分です。
実用上、通常の作業なら50Wでも充電は進みます。ビルドを連続で回すような重い処理中は、充電が追いつかずに残量が減っていくことがある。私はそういう日だけ電源を本体に直挿しにしています。ここでも直挿しです。
発熱と、置き場所の話
短所として、発熱ははっきりあります。有線LANと外部ディスプレイをつないだ状態で3時間ほど作業すると、アルミの筐体が触って熱いと感じる温度になります。低温やけどを心配するほどではないものの、手首の近くに置いていると気になる。
私はハブをキーボードの左奥、手が触れない位置に移しました。ケーブルが本体に直付けされているタイプだと置き場所の自由度が低いので、ケーブルが20cmくらいあるものを選んだほうが取り回しは楽です。
もうひとつ、これは短所というより性質ですが、ハブは持ち運びを前提にした道具です。据え置きで毎日同じ構成をつなぐなら、電源を内蔵した据え置き型の製品のほうが安定します。カバンに入れて持ち出す予定がないなら、ハブという選択自体を疑ってみてもいいと思います。
選ぶ前に決めておくこと
ポート数の多さは、選定の基準としてはかなり弱い指標でした。私に必要だったのは、4K60Hzが出るHDMIと、1Gbpsの有線LANと、実機をつながないという運用ルールです。
そして、安いハブが悪いわけではありません。写真の取り込みと外部モニターだけなら、2,000円台のもので何の問題もなく動きます。開発で実機をつなぐ、外付けSSDから大きなファイルを読む、といった負荷のかかる使い方をするかどうか。そこで必要な価格帯が変わる、というのが3日を溶かして得た結論です。
この記事は開発環境の個別レビューです。モニター選びの判断基準そのものは開発用モニターの選び方|4K・WQHD・ウルトラワイドをコードを書く視点でで整理しています。

