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年末に実家へ帰るとき、カバンの中を確認したら充電器が3個入っていました。MacBook用の大きいアダプタ、iPhone用、それと妻のAndroid用。ケーブルも含めるとポーチが一つ埋まります。3日間の帰省でこれは多い。
今は1個です。65Wの充電器が1つと、ケーブルが2本。GaNという素材を使った充電器に替えてから、荷物の構成が変わりました。ただ、安ければ何でもいいわけではなくて、最初に買った2,000円の製品では失敗しています。何を基準に選べばいいのかを、W数の考え方を中心に書きます。
GaNで何が変わったのか、理屈を短く
GaNは窒化ガリウムという半導体材料です。従来の充電器はシリコンのトランジスタで交流を直流に変換していました。GaNはシリコンより高い周波数でスイッチングできるという性質があります。
スイッチング周波数が上がると何が嬉しいかというと、内部のトランスやコンデンサといった部品を小さくできるんですよね。同じ電力を扱うのに、切り替えの回数が多ければ一度に蓄える量は少なくて済む。だから部品が小型化できて、結果として充電器全体が縮む。加えて変換時の損失が減るので、同じ出力でも発熱が抑えられます。
数字で言うと、私が以前使っていた61Wの従来型アダプタは実測で175gありました。今使っている65WのGaN充電器は約110g。厚みも半分近くになっています。同じ電力を出す機械が、素材を変えるだけで手のひらに収まるサイズになった。ここ数年でモバイル周りが一番変わった部分だと思っています。
W数はノートPCから逆算する
買うときに一番迷うのが出力の数字です。30W、45W、65W、100W。選び方はシンプルで、手持ちのノートPCの純正アダプタに書いてある数字を見ればいい。それ以上あれば足ります。
薄型のノートPCなら30Wから35Wあたり、性能の高い14インチクラスだと67Wから96Wというのが目安です。私のMacBookは純正が67Wなので、本来なら65Wでは足りない計算になります。ただ実際に使ってみると、コードを書いてビルドを回す程度の負荷なら、65Wでも充電しながらバッテリーが増えていきます。重い処理を長時間かけ続けると充電の速度が落ちるので、外出先で急いで満充電にしたい人は純正と同じ数字を選んだほうが確実です。
もうひとつの見方として、W数は電圧と電流の掛け算です。USB Power Deliveryでは5V、9V、15V、20Vといった電圧の段が決まっていて、20Vで3.25A流せれば65W。ノートPCが要求する電圧の段に対応していない充電器だと、W数の表記が足りていても本来の速度が出ません。仕様表に「20V/3.25A」のような組み合わせが並んでいるかを見ておくと、表記だけの数字に騙されにくくなります。
スマホだけなら30Wで十分すぎます。iPhoneが受け取れる電力は20W台なので、それ以上の充電器を持っていても速度は上がりません。
2,000円の120W充電器で一度失敗した
最初に買ったのは、通販で見つけた「120W・4ポート」と書かれた2,000円ちょっとの製品でした。合計120Wと書いてあるなら、MacBookに67W出せるだろうと単純に考えたんです。
実際に使うと、MacBookの画面の電池アイコンに稲妻マークは出るのに、作業していると残量がじわじわ減っていく。仕様表をよく読むと、単ポート使用時の最大は45Wでした。120Wというのは4つのポートを全部使ったときの合計値です。
もうひとつ気になったのが発熱でした。2時間つないだあと触ると、明らかに熱い。手を当てて数秒で離したくなる温度です。壊れはしませんでしたが、寝ている間にコンセントに挿しっぱなしにする気にはなれませんでした。今は使っていません。
Anker Nano II 65Wに買い替えた
買い直したのがAnker Nano II 65Wです。楽天での価格は4,490円。ポートはUSB-Cが1つだけ、プラグは折りたためるタイプです。
1ポートしかないというのは、迷った点でもありました。でも仕様表の読み方を間違えた経験のあとだと、1ポートで65Wと書いてあることの安心感のほうが大きかった。挿せば必ず65W出る。分け合う計算をしなくていい。
サイズは4cm角くらいで、コンセントに挿すと壁から4cmほど出ます。プラグを折りたためるので、カバンの中でほかの物を引っかけません。前のアダプタは飛び出したプラグがポーチの内側の生地を毎回引っかけていました。
1年ほど使って、MacBookとiPhoneを1つの充電器で回しています。同時に充電したいときはケーブルを差し替えるだけ。夜のうちにMacBookを充電して、朝は外してiPhoneに挿す。この運用で困った場面は今のところありません。
複数ポートを選ぶなら、配分表を必ず見る
とはいえ、複数ポートが便利な場面はあります。帰省先で自分のMacBook、iPhone、妻のスマホを同時に充電したいときなど。その場合に絶対に確認すべきなのが、ポートを同時に使ったときの出力配分です。
マルチポートの充電器は、合計の電力を分け合う設計になっています。65Wの2ポート製品なら、1ポート使用時は65W、2ポート同時なら45Wと18W、といった具合に振り分けられる。この配分は製品ごとに固定されていて、仕様表やパッケージの裏に小さく書かれています。書かれていない製品は、私なら買いません。
気をつけたいのが、ノートPCを充電中にスマホを挿すと、ノートPC側の出力が下がる点です。会議の直前にスマホを挿したら、MacBookの充電が止まっていた、ということが起きます。私はこれが嫌だったので、結局1ポートに戻りました。
短所と、買うときに見るところ
GaN充電器の弱点も書いておきます。
- 発熱する。小さい筐体に同じ電力を詰め込んでいるので、表面積あたりの熱は増える。65Wで充電中は本体がはっきり温かい
- 安価な製品の品質差が大きい。表記のW数が単ポートの値か合計値かすら曖昧なものがある
- コンセントによっては隣の口を塞ぐ。小さくなったとはいえ厚みはあるので、電源タップの間隔が狭いと2口目が使えない
1つめの発熱については、布団の上やソファのクッションの間に置いたまま充電するのは避けています。熱がこもる場所に置く前提の機械ではありません。私は電源タップを机の下のトレーに固定して、そこに挿しっぱなしにしています。
そして、これは必ず確認してほしい点として、PSEマークの表示があります。日本国内でコンセントに挿して使う充電器は電気用品安全法の対象で、届出をした事業者名とともにマークが表示されているはずです。本体の側面か底面の小さな刻印を見れば分かります。海外通販の格安品にはこれがない場合があるので、価格が不自然に安い製品を見つけたときは、まずここを見ます。
荷物としてどう変わったか
帰省の荷物に戻ると、いま持っていくのは65Wの充電器1個とUSB-Cケーブル2本です。ポーチには入れず、カバンの内ポケットに直接放り込んでいます。以前のアダプタ3個構成と比べて、重さで250gくらい減りました。
実家に着いて、コンセントが1口しか空いていない場面は毎回あります。以前はここで3個をどう回すか考えていました。今は1個挿して、寝る前にMacBook、朝にスマホ、という順番でこなすだけ。減らせる荷物のなかでは、いちばん効果が分かりやすかった部分です。
この記事は開発環境の個別レビューです。モニター選びの判断基準そのものは開発用モニターの選び方|4K・WQHD・ウルトラワイドをコードを書く視点でで整理しています。

