非常用救急セット|市販品に自分で足したもの

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市販の救急セットを買って、届いたその日に中身を全部テーブルに出してみました。結果、絆創膏とガーゼと包帯。あとは小さいハサミとピンセット、三角巾が一枚。それで終わりです。正直、拍子抜けしました。

いや、悪い商品だったという話ではないんです。パッケージ通りのものがきちんと入っていた。私が勝手に「救急セット」という言葉からもっと医療っぽい何かを想像していただけで。市販の救急セットは、あくまで外傷の応急処置キットなんですよね。熱が出た子どもにも、持病のある家族にも、それ単体では何もできない。

そこから半年かけて、うちの家族3人に合わせて中身を足していきました。何を入れて、何を諦めたか。

床に並べて数えたら、7種類しか入っていなかった

買ったのは「エイドチーム2」という救急セット。楽天で400円です。手のひらより少し大きいくらいのポーチに応急手当用品が一式まとまっているタイプ。Amazonだと「フラバ 救急バッグ」のような労働安全衛生規則対応の日本製セットが同じ枠で、そちらは一回り大きい。

最初は値段だけ見て「安すぎるから中身もスカスカだろう」と思っていました。開けてみると必要なものは入っている。ただし必要な「外傷用の」ものだけが。

エイドチーム2 救急セット 応急手当 AID-TEAM 防災グッズ

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不満もはっきりあります。まずポーチが薄い。外から押すと中身の形がそのまま浮き出るくらいで、リュックの底で潰れるとハサミがガーゼの袋を破りそうで怖い。仕切りも最低限なので、物を足すと途端にごちゃつきます。私は結局、中身をひと回り大きいポーチに移し替えました。

それでも買ってよかったのは、「揃えるべき下地」が一発で手に入ったからです。絆創膏の各サイズ、滅菌ガーゼ、包帯、テープ、消毒綿。バラで買い集めると種類を選ぶだけで一晩溶けます。土台を買って足していく。この順番は正解でした。

中身を眺めていて腑に落ちたのは、市販の救急セットが想定している場面がかなり狭いということです。作業中に手を切った。転んで膝を擦りむいた。この2つに全振りされている。でも災害で困る場面はそこだけじゃない。避難所で子どもが夜中に発熱する。慣れない環境で腹を壊す。ホコリっぽい中で持病の症状が出る。どれも絆創膏では何ともなりません。

家族3人の顔を思い浮かべながら足していった

何を足すかは、ネットのリストを写すのをやめて、家族の顔を思い浮かべて決めました。大人2人と生後5ヶ月の子ども1人。それぞれが普段どんなことで薬に頼っているか、を書き出すところから。

結果、足したのはこのあたりです。

  • 普段から飲んでいる常備薬(頭痛薬、胃薬、整腸剤)を数日分
  • 子ども用の解熱剤。かかりつけで処方されているものと、体重に合わせた用量のメモ
  • 体温計(大人用と、耳で測る非接触タイプ)
  • 消毒液とアルコール綿。傷用と手指用は別物なので両方
  • 不織布マスク10枚と、使い捨てのポリ手袋20枚
  • まともに切れるハサミと、大判の滅菌ガーゼ(10cm角を10枚)

ハサミをわざわざ足したのは、付属のものが小さすぎたからです。眉ハサミくらいのサイズで、包帯は切れても、服の袖を切って傷を出すような使い方はまず無理。ガーゼも同じで、付属は5cm角が数枚。指なら十分ですが、腕や脚をある程度の面積で覆うには足りません。

使い捨て手袋は最初リストに入れていませんでした。入れたのは、子どもの吐き戻しを素手で処理して、そのあと手を洗う水がなかったら、と想像したからです。20枚入り200円ほどのものが、たぶん一番コスパのいい追加でした。

薬についてひとつだけ。市販薬も処方薬も、他人と共有するものではありません。「これ効くよ」と善意で渡すのは、避難所のような場面ほど危ない。うちのセットは、あくまで我が家3人ぶんです。

一番効くのは薬じゃなくて、紙だった

足したものの中で、いま一番「これは正解だった」と思っているのは、実は薬でも道具でもありません。お薬手帳と保険証のコピーです。

きっかけは、子どもの夜間受診で慌てて家を出たときでした。保険証も母子手帳もお薬手帳も置き場がバラバラで、探すのに数分かかった。電気がついている平時の家で数分です。停電した部屋で急いでいたらどうなるか。

避難先で診てもらう場合、医師はこちらの背景を何も知りません。何の薬を飲んでいるか、アレルギーがあるか、前にどんな処方を受けたか。それを口頭で正確に伝えられる自信は私にはない。薬の名前なんて覚えていないので。お薬手帳のコピーが1枚あるだけで、その説明がまるごと済む

保険証のコピーも同じ理屈です。原本を紛失したら困るのでコピーにして、A4を2つ折りにしてチャック付きの袋に入れ、救急ポーチの一番外側のポケットに入れています。濡らしたら終わりなので、袋は必須。

ついでに、家族3人のアレルギーの有無、かかりつけ医の名前と電話番号、子どもの生年月日と現在の体重を書いた紙を1枚足しました。手書きで5分。体重を書いたのは、子どもの薬の量が体重で決まることが多いからです。ただし用量の判断そのものは素人がやることではないので、数字を渡すところまでが私の仕事と割り切っています。

持病の薬は「手に入らない前提」で多めに置く

発端は私の親の話です。毎日飲む薬があって、切らすと明確に体調が崩れる。災害時にいちばん深刻なのは、たぶんそこだろうと。

災害時には薬局が開かない、物流が止まる、処方の記録にアクセスできない、といったことが重なります。数日で復旧するとは限らない。いつも通り手に入るという前提を外しておくのは、地味ですが効きます。

とはいえ、処方薬を勝手に多めに買い置きすることはできません。自己判断でどうにかする領域ではないので、次の受診のときに「災害に備えて手元に少し余裕を持っておきたい」と相談するのが筋です。日数の調整ができるかは薬によって違いますし、保管に温度管理が要るものもある。かかりつけの医師や薬剤師に一度きいてみるのが確実です。

うちは相談した結果、飲み忘れなどで自然に手元に残るぶんを捨てずにまとめておく、という運用に落ち着きました。数としては数日ぶん。それでも、ゼロと数日ぶんの差は大きい。

赤ちゃんの分は、袋ごと完全に分けた

最初、大人の常備薬と子どもの解熱剤を同じポーチに入れていました。数日で分けました。

理由は単純で、間違えるのが怖かったからです。大人用と子ども用では成分も用量もまったく違う。停電した部屋で、泣いている子を抱えながら、手探りで薬を出す場面を想像したら、同じ袋に入れておくのは無理だと思いました。うちの子は生後5ヶ月で、そもそも渡せるものがほとんどない。だからこそ「触っていいもの」と「触ってはいけないもの」の物理的な分離が要る。

やったことは大したことではありません。半透明のチャック袋を2枚用意して、片方に赤いテープを貼って「こども」と書いた。中には子ども用の体温計、処方された解熱剤、用量のメモ、清浄綿。大人用の袋には子どもに使えないものだけをまとめました。手触りでも分かるよう、子ども用にはガーゼを1枚多く入れて厚みを変えています。電気を消して試したら、これは通りました。

ひとつ書いておくと、乳児に何をどれだけ使えるかは、月齢と体重で細かく変わります。ネットで見た用量をそのまま当てるのは危ない。私は処方のときに聞いた内容をメモに残しているだけで、判断はかかりつけ医に投げる前提です。備えるのは薬そのものではなく、医師に正確に伝えられる状態のほう。

半年に一度、全部出して並べる日を決めた

救急セットで一番やりがちな失敗がこれだと思います。詰めて、押し入れに入れて、忘れる。

実際やりました。1年放置した古い救急箱を開けたら、絆創膏の粘着面が黄色く変色して、貼っても数分で剥がれる状態になっていた。絆創膏にも使用期限があると、そのとき初めて意識しました。パッケージの裏にちゃんと書いてあるんです。市販薬にも当然あります。

それ以来、点検日を決めました。防災用品の点検でよく言われる「3月と9月」に合わせて年2回。カレンダーに繰り返し予定で登録して、通知が来たら中身を全部テーブルに出す。この「全部出す」がポイントで、袋を覗くだけでは奥のものを必ず見落とします。並べたら期限が半年以内に切れるものを抜いて普段使いに回し、抜いた数だけ買い足して戻す。所要時間は15分ほど。

ついでに、子どもの体重を書いたメモも更新します。この半年で3kg以上増えたので、去年の数字はもう使えない。子どもがいる家の救急セットは、放っておくと勝手に古くなる。大人だけの家と決定的に違うのはここだと思います。

道具は揃った。でも私は、使い方を知らない

ここまで書いておいて何なんですが、一番の反省を最後に。ポーチの中身を整え終わって、満足して蓋を閉じたあとに気づきました。この三角巾、どう使うのか私は知らない。包帯の巻き方も正直あやしいし、止血の正しい方法もテレビで見た記憶があるだけです。

道具が揃っていることと使えることは別物なんですよね。エンジニアの仕事に例えるなら、ライブラリを入れただけでドキュメントを一行も読んでいない状態です。動くわけがない。

なので今は、自治体や消防が開催している普通救命講習を調べているところです。3時間程度の講習が無料か低額で受けられるところが多く、心肺蘇生やAEDの使い方、止血の基本を実際に手を動かして習える。予約が数ヶ月先まで埋まることもあるようなので、早めに申し込むつもりです。

揃えるのに使ったのは合計で5,000円ほど。土台の400円のセットに足していってこの金額なので、備えとしては安いほうです。ただ、その5,000円ぶんの道具を活かせるかどうかは、たぶん3時間の講習のほうにかかっている。買って終わりにできない備えもある、というのが半年やってみての感想です。

この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

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