防災リュックの中身|詰めて背負ってわかった「重すぎる」の境界

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防災リュックの中身を一通りそろえて、実際に詰めて、体重計で測ったら14.2kgでした。玄関で背負って、そのまま3歩歩いて、これは無理だと分かった。歩けないわけじゃない。ただ、階段を降りて、暗い道を、生後5ヶ月の子どもを抱えて歩く前提だと明らかに破綻していました。

この記事は、その14.2kgを8.4kgまで削るまでの話です。何を入れるかのリストは検索すればいくらでも出てくるけど、全部詰めたら何kgになるのか、自分が実際に何kg背負えるのかを書いた記事が意外と少ない。測って背負って分かったことを、数字のまま残しておきます。

全部詰めたら14.2kgになった

まず、よくある「防災リュックの中身チェックリスト」に沿って全部詰めました。測り方は単純で、自分だけ体重計に乗り、次にリュックを背負って乗って差を取るだけ。誤差は100g程度でした。内訳はこうなります。

  • 水 500ml × 6本:3.0kg
  • アルファ米・レトルト・栄養補助食品(3日分):1.2kg
  • 子ども用の液体ミルク 125ml紙パック × 15本:2.0kg
  • 紙おむつ 20枚+おしりふき2個:1.1kg
  • 簡易トイレ 15回分:0.9kg
  • モバイルバッテリー20000mAh+ケーブル類:0.45kg
  • 手回しラジオライト、LEDランタン、乾電池:0.87kg
  • 着替え(大人2日分・子ども3日分)+タオル:1.6kg
  • 救急セット、常備薬、マスク、ウェットティッシュ:0.6kg
  • レインコート、アルミブランケット、軍手、ロープ、工具類:1.3kg
  • リュック本体:1.2kg

合計で14.2kg。詰めている最中は「まあ入るな」としか思っていませんでした。リュックの容量は30L台で、パンパンではあるけどファスナーは閉まる。容量的には成立している。問題は完全に重さの側にありました。

ちなみに水の3.0kgが曲者です。備蓄の目安として一般に言われるのは1人1日3リットル。3日分なら9リットル、つまり9kg。リュックに入るわけがない。自宅に置く備蓄と、持ち出すリュックの中身は別物として考えないと計算が合わない。この整理をしていなかったから14.2kgになったんですよね。

「男性15kgまで」を真に受けて失敗した

背負える重さの目安として、一般に男性15kg・女性10kgあたりが上限として語られることが多いです。私も最初はそれを見て、14.2kgなら15kg以内だからセーフだと思っていました。数字の上では収まっている。

試してみます。マンションの5階から1階まで階段で降りて、近所の公園まで往復。片道800mくらい、往復で20分弱。夜、スマホのライトだけつけて歩きました。

公園に着く前に一度立ち止まりました。息が上がったわけじゃない。肩が痛い。肩ひもが鎖骨の外側に食い込んで、そこから腕にしびれが来る。階段では重心が後ろに引っ張られて、手すりを持たないと足元が不安でした。

分かったのは、15kgという数字は「持ち上げられる重さ」であって「背負って移動できる重さ」ではないということ。避難時の道は平らとも明るいとも限らない。私の体感で普通に歩ける上限は8kg前後でした。10kgを超えると、20分歩くのが「訓練」になる。

もう一つ大きかったのが、リュックそのものです。最初は近所のホームセンターで買った2,000円台の非常用持ち出し袋を使っていました。肩ひもの幅が2cmくらいしかなくて、腰ベルトもない。10kg以上を肩の2点で全部受けることになる。この袋は結局、家の中の予備品入れになりました。

抱っこ紐で子どもを抱えると、前提がまるごと変わる

ここからが本題です。うちには生後5ヶ月の子どもがいて、避難するなら当然、私か妻が抱えて出ます。体重を測ったら7.1kg。抱っこ紐そのものが約0.8kgあるので、前側に約7.9kgが乗る。

この状態で14.2kgのリュックを背負ってみました。合計22.1kg。玄関から一歩も出ていません。出る気にならなかった。前が重いぶん背中側で引き戻そうとして、腰の一点にすべてが集まる感じ。前後に分散すれば楽になるという想像は、少なくとも私の体では完全に外れました。

加えて、抱っこ紐で前が塞がっていると足元が見えません。段差の位置が完全に勘になる。夜間で停電していたら、これはかなり危ない。

妻と分担すれば動けます。ただ、夫婦のどちらかが不在のときに地震が来る確率のほうが、たぶん高い。在宅勤務中心とはいえ月に何度かは出社するし、妻が子どもと二人で家にいる時間も長い。「一人で背負って、一人で抱えて、家を出られる重さ」を基準にしないと意味がないという結論になりました。

そこから逆算して、リュックは8kg台。合計16kgちょっと。十分重いけど、階段を降りて最寄りの避難所まで歩けるラインではありました。

何を削って、何を残したか

14.2kgから8.4kgへ、5.8kg削りました。どこを削ったかを具体的に書きます。

一番大きかったのが水です。500ml×6本の3.0kgを、3本の1.5kgに。残りは自宅の押入れに2Lボトルを箱で置きました。1人1日3リットル×3日分という目安は自宅の備蓄で確保する。リュックの3本は、給水が始まるまでのつなぎと割り切りました。

次が液体ミルク。125mlの紙パック15本を6本に減らして、キューブタイプの粉ミルクを足しました。液体ミルクは1本130g、キューブは1個約7g。同じ回数分なら圧倒的にキューブが軽い。ただしキューブはお湯が要るので、液体ミルクをゼロにはしませんでした。停電と断水が同時に来たら、お湯を沸かせない可能性がある。残した6本はその保険です。ここで1.2kg減。

あとはこのあたりを削りました。

  • 缶入りの乾パン → 袋入りのビスケットに変更(缶が重い):0.4kg減
  • 大型LEDランタン480g → 小型のもの110g:0.37kg減
  • バールやペンチを含む工具セット → リュックから出して玄関の収納へ:0.9kg減
  • 大人の着替え2日分 → 上下1組と靴下2足に:0.7kg減
  • ペットボトル用の給水バッグ(大) → 折りたたみ式の小型に:0.3kg減

工具類をリュックから出すのは悩みました。倒れた家具に挟まれたら要る。ただ、それは家の中で使うもので、避難所まで背負っていくものではない。玄関に置いてあれば足りる、と整理しました。

逆に、重さを理由に外さなかったものもあります。おむつは20枚のまま。1日6〜8回替えるとして3日弱の計算で、避難所で調達できる保証がないものは削らないことにしました。それと母子健康手帳と保険証、免許証のコピーをジップ袋に入れたもの。全部で40gしかない。軽いのに、なくなると本当に困る類です。

モバイルバッテリーも20000mAhのまま。350gあって正直重いし、10000mAhにすれば170g浮く。でも停電が数日から1週間以上続く想定だと、スマホを3〜4回充電できる余裕は欲しかった。手回しラジオライトの充電機能は、5分回して3%増えた程度でした。

土台にしたのは5,380円の1人用セットだった

ここまで中身の話ばかりしてきましたが、ゼロから全部を個別に買いそろえたわけではありません。土台にしたのは防災士監修の1人用30点セット(ピースアップ PBS30)。楽天で5,380円でした。

選んだ理由は単純で、リュックの作りがホームセンターの袋よりまともだったから。肩ひもに幅と厚みがあって、チェストストラップもついている。5年保存の非常食、10年保存水、簡易トイレ、懐中電灯といった「自分で選ぶと迷うもの」が最初から入っているので、そこを起点に足し引きするほうが早かった。カラーが9色あるのも、玄関に置く前提だと地味に効きます。

防災セット 1人用 30点 防災士監修 避難セット 防災リュック 選べる9カラー おしゃれ 防災グッズ 防災食 5年保存 非常食 10年保存

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不満もあります。保存水は500ml×2本しか入っていないので追加購入が前提。それから「30点」の点数には、ホイッスルや軍手やロープがそれぞれ1点として数えられていて、数字のインパクトほどの中身ではありません。45点や50点をうたう他社のセットも、たぶん似た構造です。

あと、腰ベルトが本格的ではありません。腰で荷重を受ける構造ではないので、8kgを超えると肩への負担がはっきり増えます。登山用ザックのヒップベルトを知っていると物足りない。ただ、登山用の30Lザックは安くても1万円台からで、中身は別途そろえる必要がある。5,380円で中身込みなら納得できる作りでした。

玄関か寝室か、2週間決められなかった

重さが決まったあと、置き場所で2週間迷いました。うちは2LDKの賃貸で、玄関はシューズボックスと自転車で埋まっていて余白がない。

寝室に置くべきだという意見はよく見ます。夜間の地震を考えれば理にかなっている。実際、ベッドの足元に置いてみました。3日でやめました。夜中に子どもが泣いて起きて、暗い中でリュックにつまずいたからです。これが続くと確実に事故になる。

玄関に戻すと、今度は別の心配が出てきます。地震で玄関側の廊下が塞がれたら、リュックに触れないまま外に出ることになる。寝室から玄関まで廊下を4mほど。倒れそうな家具はないけど、絶対とは言えない。

最終的にどうしたかというと、分けました。本体は玄関のシューズボックス脇。寝室には、A4サイズのポーチを1つだけ置く。ポーチの中身は、小型ライト、スリッパ、スマホ用のモバイルバッテリー1個、軍手、ホイッスル、それとおむつ2枚。重さは合わせて600gくらいです。これなら足元に置いても危なくないし、暗い中で寝室から脱出するぶんには足ります。玄関まで行けたら本体を掴む。行けなかったらポーチだけで出る。

この形に落ち着くまで、玄関、寝室、リビングのクローゼット、また玄関、と一周しました。置いてみて「邪魔だな」と感じた場所は、半年後には別の荷物に埋もれている。そこは早めに諦めたほうがいい、というのが迷った結果の実感です。

最後に、8.4kgという着地点について

8.4kgのリュックを背負い、抱っこ紐で子どもを抱えて、もう一度公園まで歩きました。合計16.3kg。楽ではないです。10分歩けば肩は痛いし、階段は相変わらず怖い。ただ、立ち止まらずに往復はできました。

削った5.8kg分は消えたわけじゃなくて、押入れとベランダの収納に移っただけです。水も食料も工具も家にはある。持ち出すのは、家から出るために必要な最小限。この線引きをするまで、私はリュック1つで全部をまかなおうとしていました。それが14.2kgの正体でした。

これから中身をそろえるなら、リストを埋める前に一度背負って階段を降りてみてください。3kgと5kgと8kgの差は、頭で考えても分からない。降りれば10秒で分かります。うちはその10秒がなければ、今も14.2kgのリュックを玄関に置きっぱなしにしていました。

それと、子どもの体重は増え続けます。今7.1kgの子は、1年後には10kgを超えている。今日決めた8.4kgも、来年には見直すことになるはずです。そのときにまた測り直します。

この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

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