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防災グッズを買い揃えたあと、私はしばらく満足していました。水も食料も簡易トイレもある。玄関のクローゼットに箱が積んである。それで終わったつもりでいたんです。
でも備蓄は、置いた瞬間から劣化が始まります。期限は近づくし、電池は放電するし、子どもの服はサイズが合わなくなる。放っておけば、使えないものが詰まった箱になる。そこで我が家は、9月1日の防災の日を「買う日」ではなく「点検する日」と決めました。カレンダーには繰り返しの予定として入れてあります。
この記事は、去年その点検をやってみて何が出てきたか、今年からは子どもがいるぶん何が増えたかの記録です。
9月1日を点検日にした理由は、覚えやすいから
防災の日が9月1日なのは、1923年のこの日に関東大震災が起きたからです。立春から数えて二百十日にあたるこの時期が昔から台風の厄日とされてきたことも、日付が選ばれた背景としてよく説明されます。国が防災の日と定めたのは1960年。以来この日を中心に防災週間が組まれています。
正直、日付そのものは何日でもよかったんです。大事なのは忘れないこと。その点で9月1日は、ニュースで訓練の映像が流れるし、スーパーの防災用品コーナーも急に広くなる。世の中が勝手にリマインドしてくれるので、面倒くさがりには都合がいい。
ちなみに我が家はここに、もう1日足しています。3月1日。子どもがいる家は年1回だと間に合わないものがあったからで、理由は後で書きます。
去年やってみたら、電池が2本液漏れしていた
去年の9月1日、1時間くらいのつもりで箱を開けました。結果から言うと2時間半かかっています。
いちばんの発見は電池でした。防災用の単3アルカリ電池が10本、そのうち2本の端子まわりに白い粉が吹いている。液漏れです。買ったのは前の年の秋で1年経っていないし、パッケージの使用推奨期限もまだ先でした。それでも起きるときは起きるんだな、と。
もっとまずかったのが懐中電灯です。電池を入れっぱなしで箱に放り込んでいたLEDライトが、スイッチを入れても点かない。開けたら中で漏れて端子が腐食していました。1,200円のものなので金額の被害は小さいんですが、これが停電の夜に発覚していたらと思うと肝が冷えます。
それ以来、電池は機器に入れず袋のまま別に保管するようにしました。ライトのすぐ横にジップ袋で置いてあります。暗闇で入れる手間はありますが、点かないよりマシです。
あとは乾パンの缶が1つ、期限を3ヶ月過ぎていました。まとめ買いしたつもりが、買った時期が微妙にずれていたらしい。
点検リストを、上から順に
去年の反省を踏まえて、今は次の順で見ています。かさばるものから片づくので、この順が楽でした。
- 水の残量と賞味期限(1人1日3リットル×日数で足りているか)
- 食料の期限(缶詰、レトルト、アルファ米、乾パン、菓子類)
- 電池の液漏れと本数、機器に入れっぱなしでないか
- モバイルバッテリーの残量
- ポータブル電源の充電と動作
- ラジオが鳴るか、局が受信できるか
- 簡易トイレの残数(1人1日5回程度×日数)
- 常備薬と絆創膏、消毒液の期限
- 子ども用品のサイズと段階
水は1人1日3リットル、最低3日ぶん、推奨1週間ぶんとされています。大人2人と乳児1人なら3日で18リットル。見るべきは本数より期限で、保存水は5年や7年のものが多い一方、普通のミネラルウォーターは2年前後のものもある。混ざるとややこしいので、箱の側面に油性ペンで期限を大書きしました。しゃがんで小さい印字を探さずに済むのが地味に効きます。
食料は期限が近いものを抜き出して、その週の食卓に回します。ローリングストックを厳密に回すのは性格的に無理だったので、点検日にまとめて消費して同じ数を買い足す方式です。去年はアルファ米の五目ごはんを夕食にしました。妻の評価は「思ってたより普通」。
モバイルバッテリーは放っておくと自然放電で減ります。うちの10,000mAhのものは1年でLEDが4つから2つに減っていました。リチウムイオン電池は満充電のまま長期保管しても空のまま置いても劣化が進みやすいとされるので、インジケーターの見た目で6割から7割を目安に入れ直しています。
ポータブル電源も同じです。満充電にして、そのままUSB出力でスマホを充電してみる。ポートが生きているかまで見ないと点検の意味が薄い。うちのは3ヶ月ごとの充電が推奨されていたので、この項目だけは年1回では足りていません。
ラジオは電源が入るかだけでなく、実際に局を合わせます。集合住宅の室内はAMが入りにくく、うちも窓際でようやく聞こえるレベルでした。どの位置でどの局が入るかは平常時にしか確かめられません。手回し式ならハンドルを1分回してみる。
簡易トイレは1人1日5回程度で計算します。大人2人なら1日10回、3日で30回ぶん。50回セットでも家族と日数を掛けると余裕がない。凝固剤に使用期限がある製品もあるので、袋の裏は見ておきたいです。
毎年いちばん変わるのは、子どものぶんだった
去年の点検は妻が妊娠中だったので、実質大人2人ぶんでした。やってみて分かったのは、備蓄のなかで1年で最も中身が変わるのは子ども関連だということ。変わらない大人の水や缶詰とは性質が違います。
まずおむつ。うちの子は5月にSからMに上がりました。リュックに入れていたのはSサイズの10枚パック。おむつ自体は劣化しないので保管は問題ないんですが、サイズが合わなければ使えません。
着替えは季節とサイズの両方が動きます。60サイズを入れたら半年後には70でも怪しい。しかも9月に用意するのは秋冬ものなので、真夏に必要になったときリュックの中は長袖ということになる。うちは薄手の半袖を1枚足しました。
いちばん大きく変わるのが食べるものです。今は液体ミルクの紙パックを備蓄していますが、離乳食が進めばベビーフードのパウチに替わり、その先は大人と同じものを取り分ける段階になる。備蓄の中身が2回か3回、まるごと入れ替わるわけです。液体ミルクは常温で6ヶ月から1年程度の賞味期限が多く、年1回の点検だと切らしかねない。
そういうわけで、冒頭の3月1日を足しました。子ども関連だけは半年ごと。9月は全部、3月は子どものぶんだけで20分ほどで済みます。乳幼児がいる家なら、この半年サイクルは入れておいたほうがいい。
連絡が取れない前提で、集合場所を決める
モノの点検が終わったら家族での確認です。点検日の午後に妻と30分ほど話しました。決めたのは3つ。日中に地震が来たときそれぞれどこへ向かうか、避難所までの経路を2通り持つこと、連絡が取れなかった場合にどこで落ち合うか。
3つ目が肝心で、大きな災害では通信が混み合ってつながりにくくなることがあります。「連絡してから決める」前提の計画は、その時点で崩れる。連絡なしでも動ける取り決めが先に要るんですよね。
経路を2通りにしたのは、1本目が使えない可能性があるからです。うちの最短ルートは古い商店街を抜ける道で、道幅が狭く看板も多い。休日に歩いたら、地図で15分の道が抱っこ紐で22分でした。
それから災害用伝言ダイヤル171。災害時に音声メッセージを預けたり聞いたりできる仕組みですが、平常時に体験利用できる日があります。毎月1日と15日、正月三が日、防災週間(8月30日から9月5日)と防災とボランティア週間(1月15日から21日)。9月1日はそのまま体験利用の日と重なります。運用が変わることもあるので、使う前にNTTの案内を確認してください。
去年、妻と2人でやってみました。番号を入れる順番も録音の合図も、頭で分かっているのと指が動くのとでは別物です。妻の感想は「何を言えばいいか分からなくて黙っちゃった」。名前と居場所と次にどうするかを先に決めておくべきだと分かったのが収穫でした。
ハザードマップは、引っ越していなくても変わる
これは去年知って驚いたんですが、ハザードマップは更新されます。浸水想定区域は、想定雨量の見直しや河川改修、周辺の開発などで変わることがある。私の住む自治体でも、公開されている図面の版が新しくなっていました。色の範囲が微妙に広がっていて、うちのマンションは区域の外のままでしたが、駅に向かう途中の道が入っていた。避難経路のほうに効いてくる話です。
国土交通省の「重ねるハザードマップ」なら住所を入れるだけで洪水や土砂災害の情報が見られますし、自治体の紙のマップも役所や公式サイトで手に入ります。年に一度5分だけ開く、費用ゼロの点検です。
最後に、まだ何もしていない人へ
ここまで点検の話を書きましたが、そもそも点検するものがない人もいると思います。私も1年前はそうでした。
その場合におすすめなのは、今日1つだけ買うことです。全部揃えようとすると、何が必要かを調べる段階で止まります。私は比較表を作りかけて3週間放置しました。2リットルの水1箱でも、簡易トイレの50回セット1つでもいい。何か1つ家に入れば、次の防災の日に点検するものができます。
調べる時間ごと省きたいなら、一式まとまったセットという手もあります。うちが後から比較したなかでは、防災士などの監修が入った家族向けのものが分かりやすかった。3人用で楽天だと30,280円ほど。リュック、水、食料、簡易トイレ、ライト、ラジオ、衛生用品が一通り入って、期限管理のアプリが付くタイプもあります。
ただ、いいことばかりではありません。まず3万円は普通に高い。同じ中身を個別に集めれば2万円前後には収まるはずで、手間を金で買う商品だと思っておくべきです。それと乳児用のおむつも液体ミルクも入っていません。子どもがいる家は結局そこを自分で足すので「これで完成」にはならない。あと全部詰めると重いので、背負って階段を降りられるかは届いた日に試したほうがいいです。
去年の点検の結果は、電池2本の液漏れと点かないライト1本、期限切れの乾パン1缶。損害は合計2,000円ぶんくらいです。でも、あの2時間半がなければ、その3つは今も箱の中で「あるつもり」のまま置かれていた。
備えは買った時点では完成しなくて、毎年少しずつずれていきます。そのずれを直す日として、9月1日は悪くない。
この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

