※ この記事にはプロモーションが含まれています。
モニターのレビュー記事はネットに山ほどあります。ただ、その大半はゲーム視点で書かれている。応答速度1ms、リフレッシュレート165Hz、暗所の視認性。私はコードを書くためにモニターを買っているので、そのスペック表はほとんど役に立ちませんでした。
在宅でモバイルアプリの開発を4年ほどやっていて、その間にフルHD、WQHD、4K、ウルトラワイドと一通り使っています。買い替えのたびに分かったのは、開発用で効いてくる項目はゲーム用とはかなり違うということ。この記事は「エディタとブラウザとターミナルを並べる」という一点に絞って、何を基準に選ぶかだけを書きます。おすすめランキングではありません。
解像度の数字ではなく「文字が潰れないか」で選ぶ
開発用モニターで最初に見るべきは、解像度そのものではなく画素密度です。同じ27インチでも、フルHD(1920×1080)なら約82ppi、WQHD(2560×1440)なら約109ppi、4K(3840×2160)なら約163ppi。数字が小さいほど1文字あたりのドットが粗くなります。
私は一度これを間違えて、27インチのフルHDを買っています。安かったからです。届いて電源を入れて、5分で「文字の輪郭がにじんでいる」と気づきました。特にコードのような細い等幅フォントは、82ppiだと縦線と横線の太さが揃わない。1日8時間これを見続けると、夕方には目の奥が重くなります。半年で売りました。フルHDを買うなら24インチまで、というのが私の結論です。24インチなら約92ppiまで上がります。
もうひとつ大事なのが、スケーリングをかけたあとの実効作業領域という考え方です。4Kは3840ピクセル横にありますが、そのまま等倍で使うと文字が小さすぎて読めません。macOSで200%にすれば見た目は1920×1080相当、150%なら2560×1440相当になります。つまり27インチ4Kの実質は「WQHDと同じ広さで、文字だけが圧倒的に綺麗」。広さを買っているのではなく、精細さを買っているんですよね。ここを勘違いすると「4Kにしたのに思ったより並べられない」となります。
フルHD・WQHD・4Kで、3枚並べると何が起きるか
具体的に数えたほうが早いと思います。私の作業で必要なのは、エディタ、ブラウザ(またはシミュレータ)、ターミナルの3つ。エディタは行番号とインデントを含めて120桁が快適に見える幅がほしくて、フォントサイズ14pxだとだいたい800px前後必要です。
横1920pxを2分割すると1枚960px。エディタは入りますが、ブラウザ側でDevToolsを開いた瞬間に終わります。3分割は640pxなので、コードが折り返して読めたものではない。横2560pxなら3分割で853px。3枚がぎりぎり並びます。ただしブラウザが853px幅になるので、レスポンシブのブレークポイントによってはタブレット表示に切り替わってしまう。私はこれで「実機だと崩れないのにローカルだと崩れる」と30分悩んだことがあります。
4Kを150%スケーリングで使うと2560相当なので、広さはWQHDと同じ。ただ、文字が精細な分だけフォントを1〜2px小さくしても読めるので、実質的に1〜2割詰められます。32インチの4Kなら画素密度が約138ppiまで下がるので、125%あたりで実効3072px相当という運用もできる。ここが32インチの本当の利点で、「大きいから見やすい」ではなく「等倍に近づけても文字が破綻しない」という話です。
私がいま常用しているのは27インチの4K、USB-C給電つきのモデルです。Flutterのコードとエミュレータとログを並べたまま、ウィンドウを切り替える回数が明確に減りました。4Kは実売5万円前後のものから、色再現にこだわったクリエイター向けの20万円級まで幅が広いので、コードを書くのが主目的なら色域よりUSB-Cの給電能力と高さ調整機構にお金を使ったほうがいいです。
短所も書いておきます。4Kは60Hz止まりのモデルが多く、ゲーム用から移ると最初の数日はマウスカーソルの動きが「もっさりする」と感じます。1週間で慣れましたが。あとWindowsだと、スケーリング非対応の古い業務アプリが盛大にぼやけます。それから接続規格。HDMI 2.0だと4K60Hzが上限なので、ケーブルとポートの世代は買う前に確認したほうがいいです。
ウルトラワイドとデュアル、ウィンドウ管理の思想が違う
34インチのウルトラワイド(3440×1440)は、画素密度で言うと約110ppi。27インチWQHDとほぼ同じです。文字の精細さはWQHD相当と考えて間違いありません。横は3440あるので3分割して1146pxずつ。これは相当に快適です。
ただ、ウルトラワイドとデュアルは「同じことをする道具」ではないんですよね。ウルトラワイドは1枚の画面を自分で区切る発想で、区切り方を自由に変えられる代わりに、毎回ウィンドウを手で並べる必要があります。私はショートカットで左1/3・中央1/3・右1/3に飛ばす設定を作って、ようやく実用になりました。デュアルは物理的にベゼルで区切られているので、「こっちは資料、こっちはコード」と役割を固定しやすい。フルスクリーンにしたアプリが勝手に片方を占有してくれるのも楽です。
向き不向きで言うと、横に長いものを扱う人はウルトラワイド。具体的には、差分を左右に並べて見るコードレビュー、タイムラインが横に伸びる動画編集、列の多いDBのテーブル。逆に縦の情報量が要る人は不利で、3440×1440は縦が1440しかありません。4Kの2160と比べると縦は3割以上狭い。ログを長く追う日は、正直4Kのほうが仕事が進みます。
実際に使って一番困ったのは、オンライン会議の画面共有でした。21:9のまま共有すると、相手の16:9の画面では上下に大きな余白が入って、こちらの文字が読めないくらい縮む。毎回ウィンドウ単位で共有し直す運用になりました。あと湾曲モデルは、Figmaのような直線の多い画面だと端のほうがわずかに歪んで見えます。慣れの範囲ですが、気にする人は平面を選んだほうがいい。重量も6〜8kgあるので、アームに載せる予定なら耐荷重の確認は必須です。
USB-C 1本接続はかなり効く。ただし給電ワット数に落とし穴がある
ノートPCで開発しているなら、USB-C接続の価値は想像より大きいです。ケーブル1本で映像出力と充電とUSBハブが同時に成立するので、デスクに戻ってきてケーブルを挿す動作が1回で済む。私は以前、電源・HDMI・USBハブの3本を毎回挿していました。1日2回として年間1,000回近い抜き差しが消えたわけです。
ここで注意したいのが給電ワット数。仕様表に「USB-C給電対応」とだけ書いてあるモデルは65Wが多いんですが、これが微妙なんですよ。14インチクラスのノートPCの純正アダプタは96W前後、16インチだと140Wあります。65Wだとアイドル時は充電できても、フルビルドやシミュレータを走らせている間はバッテリー残量がじりじり減っていく。私は実際に、朝100%だったバッテリーが夕方に70%台まで落ちていて理由が分からず、電力計を挿して原因が判明しました。
買うなら90W以上と書いてあるものを選ぶのが安全です。デスクトップPCなら関係のない話ですが、その場合はUSB-C接続そのものの優先度が下がるので、浮いた予算を別のところに回せます。
リフレッシュレートに払う金があるなら、アームとライトに回す
144Hzや165Hzのモニターを開発用に使ったことがありますが、恩恵はエディタのスクロールが滑らかに見える程度でした。テキストを読んで考えている時間が大半の作業では、1秒あたりの描画回数はほぼ効きません。同じ予算差でリフレッシュレートを上げるより、解像度を上げるか、周辺に回したほうが体感は変わります。
まずモニターアーム。これは「モニターの位置を変える道具」ではなく目とモニターの距離を稼ぐ道具だと思っています。付属スタンドだと画面までの距離が50〜60cmで固定されがちですが、アームなら70〜75cmまで下げられる。27インチ以上だと、この15cmで目の疲れ方がはっきり変わりました。奥に押し込めば手前が空くので、書類を広げられるという副次効果もあります。ガススプリング式で耐荷重9kgクラスなら8,000〜15,000円あたりが相場です。
買う前に確認すべきなのは天板の厚みと、裏側の補強桟の位置です。クランプが物理的に入らない位置があります。私は一度これで想定位置に付けられず、モニターの定位置が10cm横にずれました。あと耐荷重ぎりぎりのモニターを載せると、数ヶ月でじわじわ首が下を向いてきます。重量には2kg程度の余裕を見ておいたほうがいい。組み立てとケーブル通しで30分は覚悟してください。
次にモニターライト。画面の上に引っ掛けて手元だけを照らすタイプで、光が画面に映り込まない構造になっています。効くのは夜です。部屋を暗くしたまま画面だけが光っている状態は、画面と背景の明暗差が大きすぎて目に来る。手元を照らすだけでこれが緩和されます。子どもが寝たあとに作業する日は、これがないと成立しません。3000K〜6500Kで色温度を変えられるものだと、夜は電球色寄りにできて楽です。
不満点は2つ。USBポートを1つ占有します。ハブが埋まっている人はそこを先に考えたほうがいい。それと、モニターの上端が細すぎたり極端に湾曲していたりすると乗りません。5,000円台のものから15,000円を超えるものまでありますが、差は主に演色性と自動調光の有無で、明るさ自体は安いものでも足ります。
縦置きは理屈では正しい。私は3週間でやめた
コードは縦に長い。だから画面を縦にすれば一度に多くの行が見える。理屈としては完全に正しくて、私も2枚目を縦にして使っていました。1920×1080の縦置きで、VS Codeに約80行が一度に入る。横置きの倍近くです。
やめた理由は首でした。縦にすると画面の上端と下端の高さの差が50cm以上になるので、上を見るときに顎が上がり、下を見るときに顎を引く。これを1日繰り返すと、夕方には首の後ろが張ってきます。3週間で戻しました。
いま同じことをするなら、縦置きではなく横に広い画面をエディタで縦分割して、左右で別のファイルを見ます。行数は増えませんが首は動かない。ただし、縦置きが向いている作業もあって、長いログを流し見るときやPDFの仕様書を読むときは明確に有利でした。常用ではなく、必要な日だけアームで90度回して使うのが現実的な落としどころだと思います。ピボット機能つきのアームであれば、回すのに5秒しかかかりません。
予算別に、どこから手をつけるか
4年やってきた結論として、優先順位はこうなりました。
- 予算3万円前後:27インチWQHDを1枚。フルHDには戻らない。ここが最低ライン
- 予算6万円前後:27インチ4K(USB-C 90W給電つき)1枚。文字の質が変わる
- 予算8万円前後:上記に加えてモニターアームとモニターライト。目と首への効果はモニター本体の差より大きい場合がある
- 予算10万円以上:4K+サブでウルトラワイド、または4Kの2枚目。作業内容で選ぶ
順番を間違えると高い買い物になります。私はフルHD27インチで1万5,000円を捨て、3,000円のアームで1年後に買い直し、65W給電のモニターで一度悩みました。合計すると、最初から4Kとまともなアームを買っておいたほうが安かったはずです。
最終的に判断が割れるのは「4K1枚か、ウルトラワイド1枚か」のところだと思います。縦の情報量が要る人は4K、横に並べる作業が多い人はウルトラワイド。それだけの話で、どちらかが優れているわけではありません。私は縦のログを追う時間が長いので4Kに落ち着きましたが、コードレビューが仕事の中心だったらウルトラワイドを選んでいたはずです。
各アイテムの詳しい検証記事
この記事で触れたものは、それぞれ単体でも詳しく書いています。気になったものがあれば個別記事も読んでみてください。
- 4Kモニター 27インチ 比較|エディタとシミュレータを並べる前提で選ぶ
- ウルトラワイドモニターは開発で捗るのか|分割して1ヶ月使った
- モニターアームの選び方|安物を買って半年で買い替えた話
- モニターライト 比較|夜作業で目が死なない環境の作り方
- HHKB レビュー|慣れるまで1ヶ月かかった正直な記録
- 分割キーボード|肩の巻き込みが減るのか試した
- 静音キーボード 比較|家族が寝ている横で打つために
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- 静音マウス|クリック音が消えると集中が変わる
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- USB-Cハブ 比較|実機テストで困らない構成
- ドッキングステーション|ケーブル1本で完結させる
- ケーブル管理グッズ|昇降デスクで配線が絡まない工夫
- 昇降デスク 比較|立つためではない使い道
- ワークチェアの選び方|ゲーミングチェアで腰を痛めた話
- フットレスト|足の置き場所で姿勢が変わる
- 外付けSSD 比較|ビルドキャッシュを本体から逃がす
- MacBookスタンド|首の角度を上げるだけで違う
- Webカメラ 比較|内蔵カメラをやめた理由
- デスクマット|手首の負担とマウスの滑りを両立する
- 卓上加湿器|乾燥で喉をやられないために
- スマートプラグ|デスク周りの電源を一括で落とす
- 集中を測るタイマー|ポモドーロを道具でやる
- 書見台・ブックスタンド|技術書を開いたまま写経する
- 縦型電源タップ|アダプタが干渉しない形
- エンジニアのバックパック|MacBookを持ち歩く前提で選ぶ

