※ この記事にはプロモーションが含まれています。
温度設定できる電気ケトルは、正直なところ贅沢品だと思っていました。お湯なんて沸けばいい。温度を指定する意味が分からない。そう思っていたのが、子どもが生まれてミルクを作るようになってから完全にひっくり返りました。温度を指定できるということは、待ち時間が消えるということです。沸かしてから冷ますまでの十数分を、機械に肩代わりさせられる。深夜3時の授乳でこの差を体験してから、これはもう戻れないと思いました。半年使った実感を書きます。
ミルクは「沸騰させてから冷ます」のが面倒だった
粉ミルクの作り方には、はっきりした手順があります。一般的に、粉ミルクは一度沸騰させた70度以上のお湯で溶かし、その後で人肌程度まで冷ましてから飲ませる、とされています。70度以上というのは、粉に含まれる可能性のある菌を不活化させるための条件です。
つまり工程は3段階。沸騰させる、70度以上まで下げる(というか下がるのを待つ)、調乳して人肌まで冷ます。うちが最初にやっていたのは、普通の電気ケトルで沸かして、そのまま放置して温度計で測りながら待つ、という方法でした。1.0Lのケトルに満タンで沸かすと、100度から70度台まで下がるのに10分以上かかります。
これが深夜だと地獄なんですよね。子どもが泣いている横で、ケトルの温度計を見ながら10分待つ。抱っこであやしながら片手でやる作業ではない。妻と交代で「まだ熱い」「あと3分」とやっていた時期があります。
温度指定は、待ち時間そのものを消す機能だった
買い替えたのは、ティファールの KO823NJPA。1.2Lで、8段階の温度調節ができるタイプです。
使い方は単純で、目的の温度を選んでスイッチを入れる。あとは勝手にその温度で止まります。うちの運用は、寝る前に沸騰させて一度湯冷ましを作っておき、深夜は70度台の設定で沸かす。設定温度に達したら音で知らせてくれるので、その間に子どものおむつを替えられます。
ここが本質だと思っています。温度指定は「温度を選ぶ機能」ではなく「待たなくていい機能」です。沸騰させてから下がるのを見張る、という受け身の待機がなくなり、そのぶんの時間を別の作業に使える。深夜の10分は、日中の10分よりずっと重い。
保温機能も付いていて、設定温度を維持してくれます。ただ、うちではあまり使っていません。長時間保温すると水が煮詰まっていく感じがあるのと、電力を使い続けるのが気になるので。授乳の直前に沸かす運用のほうが結局早い、というのもあります。
コーヒーの温度が、思った以上に味を変える
もうひとつの用途がこれです。在宅勤務なので、1日に3杯くらいコーヒーを淹れます。
ハンドドリップの抽出温度は、一般的に80〜90度台が使われます。高いとしっかりした苦味が出て、低いと酸味と甘みが立つ、という方向性がある。沸騰したてのお湯をそのまま注ぐと、豆によっては雑味が強く出ます。
これまでは、沸かしてから「だいたい1分くらい置く」という勘でやっていました。温度指定できるようになってから、浅煎りは90度、深煎りは83度、と決め打ちで淹れています。同じ豆で温度だけ変えて飲み比べると、はっきり違う。特に深煎りは、沸騰したてで淹れたときの焦げたような苦味が消えました。
コーヒーだけでなく、緑茶にも効きます。煎茶は70〜80度、玉露はもっと低い温度が合うとされていて、これも今まで勘でやっていた部分です。妻が日本茶をよく飲むので、この用途は想定外に喜ばれました。
短所は、価格とサイズと、注ぎ口
正直に書きます。まず価格。温度調節なしのシンプルな電気ケトルは3,000円台から買えます。温度指定できるモデルは、だいたい7,000円から1万5,000円くらい。倍以上の差です。この差額を払う価値があるかは、用途次第だと思います。カップ麺とインスタントコーヒーにしか使わないなら、確実に要りません。
次に本体サイズ。温度制御の基板と、温度表示のディスプレイが載るぶん、本体が大きくなります。うちの機種は1.2Lで、幅22cm、高さ25cmほど。台座も含めると、キッチンのカウンターの一角をしっかり占領します。以前使っていた0.8Lのシンプルなケトルと比べると、明らかに存在感が増えました。狭い賃貸のキッチンだと、ここは軽視できない要素です。
そして注ぎ口。これは買ってから気づいた点で、注ぎ口の形状で使い勝手がかなり変わります。うちの機種は普通のケトル形状で、勢いよく出るタイプ。哺乳瓶に注ぐぶんには問題ありませんが、コーヒーのドリップで細く注ぎたいときには制御しづらい。コーヒーを主目的にするなら、細口のグースネックタイプを選んだほうがいい。
私はここを失敗しました。ミルク用途を優先して選んだので、コーヒーのときは一度サーバーに移すか、太い注ぎ口のまま我慢するかになっています。ドリップ用の細口ケトルを別に買おうか、まだ迷っている状態です。
実際の使用回数と、電気代
数字も出しておきます。うちのケトルは、多い日で1日8回稼働しています。ミルクが3〜4回、コーヒーが3回、お茶や料理の湯が1回程度。
消費電力は1250W。500mLを沸騰させるのに必要なのは、単純計算でおよそ0.05kWh、電気代で1.5円ほど。1日8回でも12円程度です。設定温度が低ければさらに少なくて済みます。ガスコンロでやかんを使っていた頃より、時間も光熱費も減りました。
沸騰までの時間も測りました。500mLで約2分半、1.2Lの満タンで6分弱。70度設定なら500mLで1分半ほどです。目標温度が低いぶん早い。この差が深夜には効いてきます。
安全面で確認しておくべきこと
子どもがいる家では、ここが機能より優先されるかもしれません。
うちの機種は転倒時にお湯が漏れにくいロック構造と、蓋のロックが付いています。ハイハイが始まると、コードを引っ張られる可能性が現実になるので、この機能は必須だと考えていました。実際、まだ動き回らない今のうちから、コードは短く束ねてカウンターの奥に置く運用にしています。
手入れの話も少しだけ。毎日使っていると、内側の底に白い水垢が付いてきます。カルキが固まったもので、放っておくと沸騰までの時間が伸びるらしい。うちは2ヶ月に1回、クエン酸を溶かした水を沸かして1時間ほど置き、すすいでいます。購入時に洗浄剤が1包付いてきたので最初はそれを使いましたが、以降は市販のクエン酸で足りています。温度センサーの精度にも関わる部分なので、温度指定できるモデルほどここは放置しないほうがいいと思っています。
それと、本体が熱くなるかどうか。金属の外装は沸騰後に触ると熱いです。二重構造で外側が熱くならないモデルもあるので、置き場所が子どもの手の届く高さになりそうなら、そちらを検討したほうがいい。
沸けばいいと思っていた家電に1万円出すのは、半年前の自分には理解できなかったと思います。でも今は、深夜3時に温度計を見つめていた10分を買い戻したと思っています。
この記事は時短家電の個別レビューです。どの家電から買うべきかの優先順位は共働き家庭の時短家電|投資して後悔しなかった順に並べるにまとめています。

