折りたたみ給水タンク|給水車に並ぶとき背負えるか

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水は1リットルで1キロ。理科で習ったはずの話です。でも私はこれを、頭では知っていても体では分かっていませんでした。

気づいたのは、防災用に買った折りたたみタンクに水を入れてみたときです。10リットルのタンクが満タンになった瞬間、持ち手がぐっと指に食い込んだ。米10キロの袋と同じ重さが、取っ手一本にぶら下がっているわけです。断水したら給水所まで行ってこれを運ぶんだよな、と思ったところで、急に自分の備えが雑に見えてきました。タンクは「買って畳んでしまっておくもの」ではなく、「持って歩くもの」なんですよね。

10キロを持って、家の中を歩いてみた

そこで、水を入れたまま家の中を歩いてみることにしました。マンションの2LDK、廊下からリビング、玄関まで往復。歩数を数えながら、何メートルで音を上げるかを測るためです。妻には「何してるの」と言われましたが、これは真面目な検証です。

結果は情けないものでした。片手の手提げだと、20メートルほどで持ち手が指の関節に食い込んで痛くなります。30メートルで反対の手に持ち替え。両手に1個ずつ、合計20キロを持ったときは、玄関からリビングまでの十数メートルで一度床に置きました。連続で歩けたのはせいぜい数十メートルです。これで600メートル先の給水所から運ぶ、というのは無理な話でした。

しかも家の中は平らで、段差もなく、風も吹いていません。実際は道路を歩き、信号で止まり、場合によってはエレベーターが停止した状態で7階まで階段を上ります。10キロを持って階段を7階分。想像しただけで足が止まります。

ついでに失敗談も書いておきます。私が最初に買ったのは、ジャバラ式に畳める硬質のポリタンクでした。1,500円くらいで容量20リットル。たくさん入るほうが得だろうと単純に考えたんですよね。これが選択ミスで、20リットル入れたら水だけで20キロ。持ち上がるかどうかで言えば、ぎりぎり持ち上がります。でも持ち上がることと運べることは別の話でした。数メートル歩いてすぐ床に置いた。結局このタンクは、半分の10リットルまでしか入れない前提で使っています。だったら最初から10リットルを2つ買えばよかった。

給水所までの往復を、家族3人分で計算する

ここで冷静に数字を出しました。水の備蓄目安は1人1日3リットルとされています。我が家は妻と私と、生後6ヶ月の子ども。3人で1日9リットル。3日で27リットル、1週間なら63リットルです。ミルクを作る分もあるので、実際はもう少し余裕を見たい。

備蓄のペットボトルが尽きたあと、この量を給水所から運ぶことになります。近所の指定給水拠点は小学校で、地図で測ると約600メートル。徒歩8分ほどです。往復で1.2キロ、16分。ここに給水の行列が加わります。過去の災害の記録を見ると、待ち時間が1時間を超えることも珍しくないようです。

10リットルずつ運ぶとして、3日分の27リットルなら3往復。1週間分を維持しようとすれば、2日に1回くらいのペースで通い続けることになります。しかも子どもがいるので、妻と交代というわけにもいかない日がある。これは体力の問題であると同時に、時間の問題でした。

そして給水所は徒歩圏内とは限りません。うちはたまたま600メートルですが、拠点が偏っていて1キロ以上歩く地域も普通にあります。自分の家からの距離は、自治体のハザードマップか防災ページで一度確認しておいたほうがいい。私はこの検証をするまで、給水拠点がどこかすら知りませんでした。

大容量1個より、中容量を複数のほうが速い

何度か試して出た結論は、1回にたくさん運ぶより、運べる重さで複数回に分けたほうが結果的に速いということでした。20キロを持って途中で3回休みながら歩くより、10キロを一定のペースで運ぶほうが所要時間が短い。休憩している間は前に進んでいないので当然といえば当然です。

中容量を複数持っていけば、家族で分担できるし、1つが破れたときに全部を失わずに済みます。折りたたみ式は素材が薄いので、この分散はけっこう大事だと思っています。

そこで買い直したのが、10リットルの折りたたみウォーターバッグが2個セットになったものです。楽天で1,880円。2個で1,880円なので1個あたり940円という価格で、正直これは買っておいて損のない部類だと思います。ネジ式のキャップで、透明なので中身と残量が見える。空のときは畳んでA5サイズくらいの厚みになり、非常用リュックの隙間に押し込めます。

ウォータータンク ウォーターバッグ 2個セット 給水袋 折りたたみ 繰り返し使用 取っ手付き ネジ式キャップ 中身が見える 大口径 コンパク

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ただし、はっきり書いておきたい短所があります。この手の折りたたみバッグは、基本的に手提げです。背負えません。取っ手を握って運ぶ形なので、さっき書いた「20メートルで指が痛くなる」問題はそのまま残ります。私はこれを買ったうえで、耐荷重30キロのキャリーカートを2,000円ちょっとで追加しました。カートに10リットル×2個を載せて紐で固定すれば、20キロを転がして運べます。平坦な道なら、これがいちばん現実的でした。

階段や段差の多いルートしかない場合は、カートではなくリュック型のウォーターバッグを選ぶほうがいいと思います。肩と腰で受けられる分、同じ重さでも歩ける距離が伸びます。手提げ型を選ぶなら、カートとセットで考える。この2択のどちらかにしないと、たぶん現場で立ち往生します。

自立しない、注ぎにくい。折りたたみの正直な短所

折りたたみ式の弱点は収納性の裏返しです。まず、水を入れても自立しません。というより、満タンだと自重でぐにゃりと横に広がります。テーブルの上に置いて安定させるのはまず無理で、うちは風呂場の床か、シンクの中に置いています。空になりかけたときは特に不安定で、倒れると口から水が出ます。

次に、注ぎにくい。コックが付いていないタイプは、袋を傾けて注ぐことになります。10キロの柔らかい袋を持ち上げて、コップに狙って注ぐ。これが想像以上に難しくて、最初は流しにこぼしました。今は先に小さいペットボトルへ移してから使っています。コック付きの製品もあるので、家で据え置いて使う前提ならそちらのほうが楽です。運搬用と据え置き用で役割を分けるのがいいかもしれません。

耐久性も硬質タンクほどではありません。アスファルトの上を引きずったり尖ったものに当てたりすれば穴が開きます。カートに載せるときは、金属の枠に直接こすれないよう間に布を挟むようにしました。

飲む水と、トイレを流す水は分けて考える

もうひとつ、計算していて気づいたことがあります。運ぶ水を全部きれいな飲料水にする必要はないという点です。

1人1日3リットルというのは飲用と調理用の目安で、トイレを流す水や手を洗う水、食器をすすぐ水は別にかかります。断水時にトイレをバケツで流すと、1回あたり数リットル必要とも言われます。これを全部給水所から運ぼうとしたら、往復回数が跳ね上がります。

だから生活用水は、風呂の残り湯で確保しておく。うちは子どもが生まれてから、翌朝まで残り湯を張ったままにする習慣に変えました。浴槽は180リットルくらい入るので、これだけでトイレ数十回分の水になります。衛生面で飲むのは論外ですが、流すだけなら十分です。小さい子どもがいる家庭は転落の危険があるので、風呂のドアを施錠できるようにしておくのが前提になります。うちは内側のレバーに簡易ロックを付けました。

この分け方をしてから、給水所に行く目的が「飲む水を確保すること」だけに絞られました。折りたたみバッグを2つ持っていって20リットル。これで3人が2日ちょっと飲める計算です。往復の回数がはっきり見えると、備えの現実味が違ってきます。

買ったらまず、一度水を入れて洗う

最後に、地味だけど確実にやっておいたほうがいいことを書きます。届いた折りたたみタンクは、使う前に一度水を入れて洗ってください

私は届いた日に水を入れて、そのままコップに注いで飲んでみました。ビニール臭がします。健康上どうこうという話ではないのですが、水そのものの味が変な感じになる。断水して神経が張り詰めている状況で、久しぶりの一杯がビニール臭かったら、それだけで気分が落ちると思います。

水を入れて数時間置いてから捨てる、というのを2回繰り返したら、うちの製品はほぼ気にならなくなりました。ついでに、この作業をすると初期不良の水漏れチェックも同時にできます。キャップのパッキンがずれていることが、まれにあるらしい。実際に使う場面で漏れに気づくのが一番まずいので、開封したその日に確認しておく価値はあります。洗ったあとは口を開けたまま日陰で丸一日乾かすこと。水気が残ったまま畳んで押し入れに入れると、次に開いたときにカビ臭くなります。私は一度これをやりました。

最後に

この記事で一番言いたかったのは、タンクの性能の話ではなく、水は重いという当たり前のことでした。10リットルは10キロ。この数字を体で確かめておくと、備蓄の計画がまるごと変わります。私は20リットルのタンクを買って失敗し、10リットル2個とキャリーカートに落ち着きました。

できれば、買ったその週末に一度水を入れて、家の周りを100メートルくらい歩いてみてほしいと思っています。何メートルで持ち替えるか、家族の誰なら何リットルまで運べるか。全部その場で分かります。うちはこの検証で妻には10リットルは無理だと分かり、子どもを抱えている側は水を運べないという前提で計画を立て直しました。折りたたみタンクは1,880円で試せるので、最初の一歩としては手を出しやすいほうだと思います。

この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

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