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折りたたみソーラーパネルを買って、最初の週末にベランダで丸一日つないでみました。カタログには「100W」と書いてあります。実際に記録された入力の最大値は58W。それも8月の快晴の日、正午前後の30分ほどだけでした。
これは製品が不良品だったわけではなくて、100Wという数字がそもそも「快晴・真夏・光が真正面から垂直に当たる」条件での理想値だからです。マンションのベランダにその条件は揃いません。
先に結論を書いておきます。ソーラーパネルは「これがあれば電気は無限」になる道具ではありません。停電が長引いたときに、ポータブル電源の残量が尽きるのを遅らせる延命装置です。そう思って買えば裏切られないし、思っていなければ、たぶん買ってから軽くがっかりします。私は少しがっかりしました。
「100W」はうちのベランダでは一度も出なかった
まず実測です。ポータブル電源側の液晶に入力ワット数が出るので、8月下旬の1日、1時間ごとに数字を控えていきました。うちは都内近郊のマンションで、ベランダは南東向き。幅3.6メートル、奥行き1.4メートルの、よくある賃貸のベランダです。
- 快晴・正午前後・角度を太陽に合わせた状態:52〜58W
- 快晴・朝7時/夕方17時:9〜14W
- 薄曇り(太陽の輪郭がぼんやり見える程度):18〜25W
- 本降りの雨:3〜6W
数字にしてしまうと身も蓋もないんですが、公称値の6割が上限で、その6割が出るのは1日のうち1時間あるかどうか。朝夕は10W前後しかないので、実質的に発電しているのは9時から15時までの6時間くらいだと考えたほうがいい。
いちばん効いたのは天気です。薄曇りで20W前後というのは、快晴時の4割以下。しかも東京の8月は、朝から晩までずっと快晴という日のほうが少ないんですよね。停電が起きた日がたまたま雨なら、その日はほぼゼロだと思っておいたほうがいいです。太陽光は「あればラッキー」くらいの位置づけになります。
角度と方角で、同じパネルが別物になる
寝かせるか立てるかで1.7倍違った
これは試してみて一番驚いた点です。同じ日の同じ時間帯に、置き方だけ変えて比べました。
ベランダの床にそのまま平置きした状態で34W。付属のスタンドを起こして、太陽の方向に正対するよう角度をつけた状態で58W。作業時間にして20秒の違いで、発電量が1.7倍になります。
理屈は単純で、パネルに光が斜めに当たると、受ける面積が実質的に小さくなるからです。真上から日が差す真夏の正午なら平置きでもそこそこ稼げますが、朝夕や春秋は太陽の高度が低いので、立てないと話にならない。私は今、午前と午後で1回ずつ角度を変えるようにしています。それだけで1日の合計がだいたい2割増えました。
腰壁の影が、午前中を丸ごと持っていく
マンションのベランダで見落としがちなのが、手すり部分です。うちはコンクリートの腰壁で、高さ1.2メートル。この壁があるせいで、太陽高度が低い時間帯はベランダの床にほとんど日が当たりません。床に置いたパネルは、午前中まるごと影の中です。
対策として、私は折りたたみの踏み台の上にパネルを乗せて、腰壁より高い位置で立てかけています。見た目はかなり不格好ですが、これで午前中の発電が復活しました。
それと方角。南向きのベランダなら日中ずっと日が当たりますが、東向きだと午後が壊滅、西向きだと午前が壊滅します。北向きは、正直かなり厳しい。買う前に、自分の家のベランダに何時から何時まで日が当たっているのかを一度スマホのメモにでも記録しておくと、期待値の設定を間違えずに済みます。私はこれを買った後にやりました。順番が逆でした。
私が買ったのはこれ
選んだのはJackery SolarSaga 100(100W折りたたみ式ソーラーパネル)です。価格は34,800円。すでにJackeryのポータブル電源を持っていたので、端子の相性で悩まなくて済む同じメーカーのものにしました。
重さは約4.7キロ。折りたたむとA2サイズくらいの板になって、取っ手が付いているのでベランダまでは片手で運べます。IP65の防水防塵なので、少し雨がぱらついたくらいで慌てて取り込まなくていいのは楽です。USB-AとUSB-Cの出力も付いていて、ポータブル電源を介さずスマホを直接充電することもできます。
不満も書いておきます。まず4.7キロは、思っているより重い。持ち運べる重さではありますが、避難所まで担いでいく気にはならない。これは家に置いておく道具で、持ち出し袋に入れる道具ではないです。
それとスタンドの角度が固定式で、細かく調整できません。うちは腰壁の影の関係で高さを稼ぐ必要があるので、結局は踏み台や壁への立てかけで対応しています。無段階で角度を変えられるタイプがあればそちらのほうが良かったかもしれません。
価格も、正直に言えば安くはありません。Amazon側で見ていたBougeRVの100Wは同じクラスで2万円台前半でしたし、変換ケーブルがDC5521・XT60・DC7909と3種類付いてくるので、メーカー違いのポータブル電源に挿すならむしろそちらのほうが素直です。私は「今持っている電源に確実に挿さる」ことに1万円払った、という感覚でいます。
満充電まで、快晴で4日かかる計算
実測値から1日の発電量を積算してみました。快晴の日で、朝7時から夕方17時までの合計がおよそ280Wh。角度をこまめに変えて、影を避けてこの数字です。薄曇りの日は70Wh前後まで落ちました。
うちのポータブル電源は容量1,002Wh。空の状態から満充電にしようとすると、快晴が続いても4日弱かかります。曇りが混じれば1週間を超える。「日中に充電して夜使う」という往復ができるのは、消費が1日200Wh程度に収まっている場合だけです。
200Whは、スマホを2台充電して(合計40Whくらい)、LEDランタンを一晩つけて、扇風機を数時間回す、くらいの使い方です。冷蔵庫や電子ケトルを使い始めると1日で軽く1,000Whを超えるので、太陽光でどうこうできる領域ではなくなります。
つまり、電源の残量が減るスピードを半分に落とす道具、という理解になります。パネルなしなら3日で尽きる電源が、晴れが続けば5日から6日もつ。停電が2日で復旧するなら要らないし、1週間続くなら効いてくる。そういう性格のものです。
端子が合わずに1枚返品した話
失敗談を書きます。最初に買ったのは、Jackeryのものではない別メーカーの120W・1万円台のパネルでした。安いし出力も大きいし、と軽い気持ちで注文したんですが、届いて開けたら出力端子がXT60。うちのポータブル電源の入力はDC8020で、まったく挿さりませんでした。
ソーラーパネルとポータブル電源の接続端子は統一されていません。DC5521、DC7909、XT60、アンダーソン、MC4あたりが混在していて、メーカーが違えば合わないほうが普通です。変換プラグを買えば解決することも多いんですが、そのプラグ自体を探すのに何日かかかるし、うちのケースでは電圧の対応範囲も微妙でした。
もうひとつ落とし穴があって、端子が挿さっても電圧が合わないと充電が始まりません。ポータブル電源のソーラー入力には「12V〜30V」のような対応範囲があって、パネルの開放電圧がその上を超えていると弾かれます。挿したのにゼロWのまま、という状態になる。買う前に確認すべきは、端子の形と、パネル側の動作電圧・開放電圧が電源側の入力範囲に収まっているか、の2点です。
結局そのパネルは返品して、同じメーカーで揃え直しました。単体では何の役にも立たない機材なので、パネルだけを性能と値段で選ぶと、こういうことになります。
晴れた休日に出さないと、劣化に気づけない
買ってから決めたルールがひとつあって、月に1回は必ずベランダに出して発電させています。だいたい晴れた土曜の午前中。スマホを直接つないで充電しておくくらいの使い方です。
理由は、押し入れに入れっぱなしにしていると、いざというときに動くかどうかが分からないからです。ソーラーパネルは経年で出力が落ちますし、防水とはいえケーブルの根元は劣化します。停電した日に初めて出して「あれ、ゼロWのままだ」と気づくのが最悪のパターン。実際、2回目に出したとき、DCケーブルの接続が甘くて入力が安定しない、ということがありました。挿し直したら直りましたが、平常時に気づけたのは大きかったです。
子どもが小さくてキャンプまでは行けていませんが、在宅仕事の合間にノートPCを充電するくらいのことはやっています。使う機会が定期的にあると天気とワット数の関係が体感で分かってきて、「この空模様なら今日は50Whくらいだな」と見積もれるようになります。
電気が無限になるわけではない
3万円台のパネル1枚で得られるのは、快晴の日に280Wh。数字で書くと地味です。ただ、停電が3日を超えたときに、ポータブル電源の残量がゼロになるのを何日か先送りできるというのは、実際にはかなり大きい差だと思っています。スマホが使えるかどうかで、情報の入り方も家族との連絡も変わってくるので。
逆に言えば、ポータブル電源を持っていない状態でパネルだけ買っても、使い道はほぼありません。買うならセットで、しかも端子と電圧を確認してから。この順番だけは間違えないほうがいいです。私は間違えて1枚返品しました。
妻には「ベランダで何をやっているのか」と言われましたが、記録したワット数の表を見せたら、意外と真面目に聞いてくれました。100Wと書いてあるものが58Wしか出ない、という話は、たぶん誰にとっても少し面白いんだと思います。
この記事は防災グッズの個別レビューです。3人家族で実際に揃えたもの全体と買う優先順位は防災グッズ 本当に必要なものリスト|3人家族で実際に揃えた全部にまとめています。

