卓上加湿器|乾燥で喉をやられないために

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去年の1月、朝10時の定例で自分の声が出ませんでした。風邪ではない。喉の奥が張り付いて、最初のひと言が掠れる。その日の湿度計は28%を指していました。エアコンを朝8時から付けっぱなしにした6畳の仕事部屋の話です。加湿器を買おうと思って調べ始めて、まず部屋全体用の大きいやつを見て、値段と置き場所で手が止まりました。結局買ったのは2,000円弱の卓上型です。結論から書くと、部屋の湿度はほとんど変わりませんでした。それでも喉は楽になった。この矛盾の話を書きます。

喉をやられたのは乾燥そのものより、口呼吸との合わせ技だった

私は在宅勤務で、1日にWeb会議が2〜4本あります。それ以外の時間はほぼ黙ってコードを書いている。この「黙っている時間」がまずい。集中していると口が半開きになるんですよね。妻に指摘されて初めて気づきました。

乾いた空気の中で数時間、口で呼吸し続ける。その状態から会議でいきなり喋り始めると、喉の粘膜が乾いたまま振動させられることになる。声が掠れるのはその瞬間です。問題は部屋の平均湿度ではなく、自分の顔の周り数十センチの空気だったという理解に、私はしばらく辿り着けませんでした。

実際、部屋の反対側の壁際に置いた湿度計と、机の上の湿度計では数値が違います。エアコンの吹き出し口が机の斜め上にあるうちの部屋では、机の上のほうが数ポイント低く出る。乾いた風が直接顔に当たっているわけです。ここを直さないと、部屋全体を加湿しても効率が悪い。

部屋用と卓上用は、性能が違うのではなく守備範囲が違う

最初はハイブリッド式の部屋用加湿器を検討していました。1万5,000円前後、タンク4L、適用畳数が木造和室で8畳といったスペックのものです。買わなかった理由は3つあって、置き場所がないこと、2LDKの賃貸で仕事部屋のドアを閉め切っているので他の部屋と共用できないこと、そして本体の掃除が明らかに面倒そうだったこと。

その代わりに割り切ったのが、卓上型は「部屋を加湿する道具」ではなく「顔の周りの空気を湿らせる道具」という考え方です。この線引きをしてから選択が一気に楽になりました。適用畳数を見る必要がなくなる。見るべきなのはミストがどこまで届くか、給水がどれだけ楽か、静かかどうかだけになる。

買ったのは350mlタンクの超音波式で、USB Type-C充電のバッテリー内蔵タイプ。1,960円でした。強と弱の2段階で、私はほぼ弱で使っています。弱だと1回の給水で8時間前後もつので、朝に満タンにすれば定時まで持つ計算。バッテリー内蔵なのは正直そこまで必要ないと思っていたんですが、リビングに持って行ったり、給水のたびにケーブルを抜かずに済んだりと、地味に便利でした。

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効果の数字も出しておきます。机の湿度計で見ると、稼働から30分で28%が34%くらいまで上がる。部屋全体の平均は測っていませんが、たぶん1〜2ポイントも動いていないと思います。それでも、会議で声が引っかかる頻度は明確に減りました。1月から3月までの3ヶ月で、朝一番に声が出なかった日はゼロ。前年は月に何度もあったので、体感としては十分です。

超音波式は手入れをサボると、加湿器ではなくなる

ここは正直に書いておきたいところです。超音波式は水を熱しません。振動で水を細かい粒にして空気中に飛ばす方式なので、タンクの中の水がそのままの状態で部屋に出ていく。加熱式のように煮沸される工程がない。

つまり、タンクを不衛生なまま使えば、その水を吸うことになります。一般的に、超音波式は水道水を使いこまめに水を入れ替えることが推奨されています。私が実践しているのは次の3つです。

  • 使わない時間はタンクを空にして、蓋を開けて乾かす(一晩置いた水は必ず捨てる)
  • 週に1回、綿棒でミスト発生部の振動板を拭く。白い粉状の汚れが必ず付いています
  • 2週間に1回、薄めたクエン酸水を入れて数分だけ動かし、真水で流す

実際、最初の1ヶ月は手抜きをして、タンクの底がぬるっとしてきたことがありました。においも少し出た。この状態のミストを1日中吸っていたと思うとぞっとします。手入れ前提の道具だと分かったうえで買うべきです。抗菌加工のタンクや次亜塩素酸水に対応した製品もありますが、それは掃除をしなくていいという意味ではない。

置き場所を1回間違えて、キーボードに水滴を落とした

買った当日、私はMacBookの左隣、キーボードから15cmくらいの位置に置きました。ミストの吹き出し口が上を向いているから大丈夫だろうと思ったんです。

1時間後、キーボードの手前のデスクマットが濡れていました。超音波式のミストは霧であって、蒸気ではありません。粒が細かいだけの水です。吹き出し口から30cmくらいまでは白く見えていて、その範囲では空気に溶けきっていない。近くに置いたものには水滴として降ります。

今は机の左奥、PC本体から50cm以上離して、吹き出し口が私の顔の方向を向かないように少し外側に振っています。顔に直接当てないのも大事で、当てると今度は目が乾く気がします。あくまで「自分の周りの空気の湿度を上げる」位置。目安として、白いミストが見える範囲に精密機器を置かない、と覚えておけば大きな失敗はしないはずです。

あと、外付けSSDやオーディオインターフェースのような、置きっぱなしの小物も射程から外しました。過剰かもしれませんが、2,000円の道具のために数万円の機材を賭ける理由はない。

毎日の給水と、USBポートを1つ食うこと

不満は3つあります。ひとつめは加湿量が限定的なこと。これは仕様として理解していたはずなのに、実際に使うと「もっと上がってほしい」と思う瞬間はあります。部屋の湿度を40%台に保ちたいなら、この手の卓上型では役者不足です。目的が部屋全体なら素直に大きいものを買うべき。

ふたつめは給水の面倒さ。350mlは思っているより少ないです。私の使い方で1日1回、強で使う日は2回。タンクごと外して洗面所まで持って行く動作が、地味に集中を切ります。デスクの近くに水の入ったボトルを置いておくのが現実的な対策でした。

三つめ、USBポートを1つ消費します。私のドックは空きが多くないので、ここは地味に痛い。バッテリー内蔵モデルなら常時挿しっぱなしにしなくていいぶん逃げ道はありますが、結局充電のために挿すことになる。あとLEDライトが7色に光る機能は、私にはまったく不要でした。オフにできるので実害はないけれど、集中したい机の上で光るものが増えるのは本来歓迎しない。

2,000円で買えるのは湿度ではなく、朝の声だった

この手の製品を「効果がない」と切り捨てるレビューをいくつか読みました。部屋の湿度計が動かないという指摘は、たぶん正しい。私の部屋でも動いていません。

それでも私が3シーズン目も使うつもりでいるのは、測っている場所が違うからです。守りたかったのは部屋ではなく喉で、喉に必要だったのは顔の周りの数十センチの空気だった。2,000円弱と、1日1回の給水と、週1回の綿棒で、その範囲だけは確保できています。

加えて言うと、乾燥対策として一番効いたのは加湿器ではなく、机の上に水を置いて意識的に飲むようになったことかもしれません。加湿器を置いたことで水の存在が視界に入るようになった、という間接的な効果。道具の効き方としては情けないけど、実際そういうものだと思っています。

この記事は開発環境の個別レビューです。モニター選びの判断基準そのものは開発用モニターの選び方|4K・WQHD・ウルトラワイドをコードを書く視点でで整理しています。

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