分割キーボード|肩の巻き込みが減るのか試した

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デスクで作業している自分を、スマホの動画で真横から撮ってみたことがあります。目的は姿勢の確認でした。そこに映っていたのは、肩を内側に巻き込んで、両肘を体に押しつけるようにキーボードへ手を伸ばしている自分。肩こりの原因は椅子でもモニターの高さでもなく、キーボードの幅が自分の肩幅より狭いことなんじゃないか。この仮説を検証するために分割キーボードを使い始めて、半年が経ちました。効果があった部分と、まったく変わらなかった部分の両方を書きます。

肩が内側に入る姿勢は、キーボードの幅で決まっている

普通のキーボードは、横幅がだいたい36cm前後。テンキーレスでも35cm近くあります。そして、その中で文字を打つ範囲、つまりホームポジションの左手小指から右手小指までは、実測で20cmもありません。

一方、私の肩幅は肩峰の間で測って約42cm。左右の手を自然に前へ出すと、手のひらの中心の間隔は35cmくらいになります。ここに20cmの入力範囲を当てはめると何が起きるか。両手が体の中心に向かって7〜8cmずつ寄せられる。肘は自然と体側に張りつき、肩は前に丸まる。これを1日6時間やっていたわけです。

肩こりの原因が全部これだとは思っていませんでした。ただ、モニターアームで画面の高さを変えても、椅子を買い替えても、夕方になると首の付け根から肩甲骨の内側にかけて張ってくる感覚は消えなかった。残っている変数がキーボードだけだったんですよね。

最初に買った完全分離型で、いきなり挫折した

先に失敗談を書きます。最初に手を出したのは1万円台の完全分離型でした。左右が完全に独立していて、ケーブルで繋ぐタイプ。理屈としてはこれが理想です。肩幅に合わせて好きな位置に置けるので。

結果、4日でデスクの下にしまいました。理由は配列です。40%や60%と呼ばれる小型のレイアウトで、数字列がなかったり、記号がレイヤー切り替えの先にあったりする。分割に慣れる前にキー配列そのものを覚え直す作業が発生して、2つの負荷が同時に来た。仕事が止まりました。

ここで学んだのは、変数は一度に1つだけ変えるべきだということ。分割の効果を検証したいなら、配列は今までどおりのフルサイズであるべきでした。

スプリット一体型に切り替えた。ロジクールのERGO K860

次に選んだのが、ロジクールのERGO K860です。価格は19,800円ほど。これは完全分離型ではなくスプリット一体型と呼ばれるタイプで、1枚のボディの中央でキーの島が左右に分かれ、ハの字に開いています。中央が盛り上がったカーブ形状で、手のひらが自然に外を向く角度になる。

ロジクール ERGO K860 エルゴノミック スプリット キーボード Bluetooth Unifying Windows Mac ワイヤ

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決め手は、配列が普通のフルサイズだったことです。テンキーもある。数字列もある。記号の位置も変わらない。変えたのは「手の角度と間隔」という一点だけで、指が覚えているキーの相対位置はそのまま残る。この設計のおかげで、導入初日から仕事が回りました。

手前にパームレストが一体化していて、これがかなり大きい。厚みのあるクッションで、手首を置くと自然に少し反った角度になります。Bluetooth接続とUnifyingレシーバーの両方に対応していて、Macでも問題なく動きました。単4電池2本で公称2年持つとされていて、私は半年使って電池残量の警告はまだ出ていません。

肩は変わった。首は変わらなかった

半年使った結論を、変わった部分と変わらなかった部分に分けます。

明確に変わったのは、肩甲骨の内側の張りです。以前は夕方16時ごろから左右の肩甲骨の間が固まってきて、意識して肩を回さないと不快だった。この感覚が、体感で7割くらい減りました。理由は分かりやすくて、肘が体側から離れたからです。K860のハの字は角度が固定されていますが、それでも両手の間隔は一体型より5cmほど広がる。この5cmで肘の位置が変わり、肩が前に巻き込まれなくなりました。

一方、まったく変わらなかったのが首の付け根の凝りです。ここは正直に書きますが、分割キーボードにしても何の変化もありませんでした。半年経ってはっきりしたのは、首はキーボードの問題ではなくモニターを見下ろす角度と、単純に長時間同じ姿勢でいることの問題だということ。分割キーボードは肩には効きましたが、首の万能薬ではない。

あと期待していて外れたのが手首です。パームレストが優秀なので手首は楽になると思っていたんですが、置く位置が固定されるぶん、手首を動かさない時間が長くなる。結果として、以前とは違う場所が気になるようになりました。道具を変えると、疲れの発生場所が移動するだけということもある。

慣れるのに3週間。「Bキーをどちらの手で打つか」問題

配列は同じでも、手を離せば必ず問題が起きます。中央の境界線をまたぐキーです。

典型的なのがBキー。標準的な運指では左手の人差し指ですが、私は長年右手の人差し指で打っていました。一体型のキーボードでは右手を少し左に伸ばせば届くので、それで困らなかったんですよね。ところが分割になると、Bは左のブロックにいる。右手をどれだけ伸ばしても届かない。物理的に届かない場所に指を伸ばして空を切る、という体験を1日に何十回もします。

同じことがY、6、Nでも起きました。私の場合、Yは右手、6は左手、Nは右手で打っていて、このうちYと6が境界の反対側でした。つまり我流の運指が3箇所も破綻していた。

ここが分割キーボードの一番きついところで、タイピングを我流でやってきた人ほど苦労します。ブラインドタッチを教科書どおりの運指で習得した人は、境界がそのまま正しい手の分担と一致するので、ほぼ違和感なく移行できるはずです。私のように独学で10年やってきた人間は、ここで一度矯正される。

実際にかかった時間は、打ち間違いが気にならなくなるまでで約3週間。速度が元に戻ったのは1ヶ月半くらいでした。1週目は正直かなりストレスで、途中で2回ほど元のキーボードに戻しています。ただ、戻すと肩の張りも戻ってくるので、また分割に帰ってくる。この往復を2回やって、3週目に諦めがついた形です。

デスクの奥行きを7cm持っていかれた

スペースの話も避けて通れません。

K860の実測は横幅45.6cm、奥行き23.3cm。それまで使っていたテンキーレスが横35cm、奥行き13cmだったので、横で10cm、奥行きで10cm増えました。とくに効いたのが奥行きです。うちのデスクは奥行き60cm。ここにモニタースタンドとキーボードを置くと、手前に残るのは手首を置く数cmだけ。マウスは右側に押しやられ、ノートを広げるスペースは消えました。

完全分離型ならこの問題は違う形で出ます。左右を離せるので中央にノートやペンタブを置ける代わりに、横幅の占有はさらに広がる。デスクの奥行きが55cm以下なら、パームレスト一体型のスプリットはかなり厳しいと思います。実際に導入前にダンボールを45.6×23.3cmに切ってデスクに置いてみたんですが、この事前確認はやっておいてよかった作業でした。

完全分離型と一体型、どちらを選ぶか

半年使った今の考えを書きます。

完全分離型が優れているのは、左右の間隔と角度を自分の体に合わせて完全に決められる点です。肩幅が広い人ほどこの自由度は効く。中央にスペースが空くのでトラックボールやペンタブを置けるのも実用的な利点で、これは一体型では絶対にできない。ただしその代償として、独自配列やレイヤーの学習コストが乗ってくる製品が多く、価格も2万円台後半から上が中心になります。

一体型スプリットは、角度が固定される代わりに学習コストが「手の分担」だけで済む。既存の配列がそのまま使えて、価格も2万円前後に収まる。効果の8割を、リスクの半分で取りに行く選択だと思っています。

肩の巻き込みが原因だと当たりがついている人なら、まず一体型スプリットを試すのが遠回りに見えて近道です。私は先に完全分離型で1万円を無駄にしてから、この順番の正しさに気づきました。それでも半年前の自分に「肩は7割楽になるけど首は変わらないよ」と伝えたら、たぶん同じものを買うと思います。

この記事は開発環境の個別レビューです。モニター選びの判断基準そのものは開発用モニターの選び方|4K・WQHD・ウルトラワイドをコードを書く視点でで整理しています。

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