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モニターアームで最初に買ったのは、3,180円の製品でした。耐荷重8kgと書いてあって、載せる27インチモニターは4.2kg。余裕だと思ったんです。半年後、朝に高さを合わせても、夕方には画面の上端が3cmほど下がっている状態になりました。作業中に少しずつ沈んでいくモニターほど気が散るものはない。結局買い替えたんですが、そのときに調べたことを書いておきます。アームは見た目が似ていても中身がまるで違って、値段の差は主に「半年後どうなっているか」に出ます。
半年で首が垂れた。締め直しても2週間で戻る
最初に異変に気づいたのは、朝いちばんでモニターの位置を直す動作が習慣になっていたときです。無意識にやっていて、ある日「これ毎日やってるな」と気づいた。
付属の六角レンチでテンション調整ネジを締め直すと、その日は直ります。でも2週間もすると同じ状態。3回締め直して、4回目でネジがそれ以上回らなくなりました。要するに、そのアームの持ち上げ機構は、4.2kgを常時支え続けるだけの余力が最初からなかったわけです。カタログの耐荷重8kgは、たぶん「静止状態で落ちない重さ」であって「毎日動かして半年保つ重さ」ではなかった。
ちなみに、垂れ始めてから捨てるまで、その間に画面が完全に落下したことはありません。危険というより、じわじわストレスが溜まるタイプの故障です。だからこそ我慢して半年使ってしまった。
ガススプリング式と機械式スプリング式は、寿命が違う
アームの持ち上げ機構は大きく2種類あります。ひとつはガススプリング式。密閉されたシリンダーに窒素ガスが封入されていて、その圧力でモニターの重さを相殺します。もうひとつが機械式のスプリング式で、こちらは金属のばねを使う。定番として名前が挙がる高価格帯の製品には、後者を採用しているものがあります。
使い勝手はガススプリング式のほうが素直です。動きが軽く、無段階で止まり、値段もこなれている。実売6,000円台から選べます。ただ、ガスは長い年月をかけて少しずつ抜ける可能性があり、抜けたときにユーザー側でできることはほぼありません。テンションネジで多少は補正できますが、限界がある。私の3,180円のアームがまさにこれでした。
機械式のばねは金属の弾性なので、経年での劣化はガスよりゆっくりです。そのかわり構造が大きくなりやすく、価格も上がる。10年単位で使うつもりなら機械式、5年前後で買い替える前提ならガススプリング式、というのが私の整理です。大事なのは「どちらの機構か」を仕様表で確認すること。安価な製品ほど、そこを書かずに「スプリング式」とだけ書いてあります。
耐荷重はモニター重量ぴったりで選んではいけない
ここが一番の学びでした。耐荷重の数字は、上限ぎりぎりで使うと途端に厳しくなります。理由は、アームが一番きつくなるのはモニターを高い位置に上げて手前に伸ばしたときで、そこにケーブルの引っ張りも加わるからです。カタログの数値がどの姿勢での話なのかは、たいてい書いてありません。
私は買い替えのとき、4.2kgのモニターに対して耐荷重9kgの製品を選びました。半分より少し軽い位置。この余裕があると、可動域のどこに持っていってもピタリと止まります。実感として、モニター重量の2倍前後を目安にすると外しにくいと思います。
それと見落としがちなのが下限です。ガススプリング式には「2〜9kg」のように下限が設定されていることがあって、軽すぎるモニターを載せるとテンションを最弱にしても勝手に上がってきます。24インチ以下の軽量モデルを載せる予定なら、下限のほうを先に見たほうがいい。
クランプ式かグロメット式か、賃貸だと選択肢は実質ひとつ
アームの固定方法には、天板を上下から挟むクランプ式と、天板に開けた穴にボルトを通すグロメット式があります。多くの製品は両対応で、金具が両方入っています。
賃貸に住んでいると、グロメット式は基本的に選べません。天板に直径6〜8cmの穴を開ける必要があるからです。自分で買った机なら好きにできますが、備え付けのカウンターだと無理。私もクランプ一択でした。
そのクランプで引っかかったのが、天板の裏です。うちの机は天板の厚みが25mmで、対応範囲の10〜85mmには余裕で収まっていました。ところが実際に取り付けようとしたら、天板の裏に補強のフレームが手前から10cmのところに横向きに走っていて、クランプの下側の金具が入らない。結局、フレームを避けた位置まで20cmほど横にずらして固定しました。買う前に机の裏をのぞいて、指で触って、フレームの位置を測っておくべきでした。
もうひとつ、天板が薄い場合も注意がいります。厚み15mm程度のパーティクルボードだと、クランプの圧力で天板がへこむことがあります。私は当て板として、100円ショップで買った厚さ3mmのアクリル板を挟んでいます。
VESA規格の確認を忘れて、一度作業が止まった
アーム側のVESA対応は75×75mmと100×100mmが一般的です。ここまでは私も分かっていました。忘れていたのは、モニター側の背面形状です。
買い替えたアームを取り付けようとしたとき、モニターの背面が緩やかに湾曲していて、VESA穴が周囲より3mmほど窪んでいました。付属のネジでは長さが足りず、その日は取り付けを諦めています。翌日ホームセンターでM4×16mmのネジとスペーサーを買ってきて解決しましたが、往復1時間の無駄。
もっと厄介なのは、そもそもVESA穴がない、あるいは独自形状で専用の変換プレートが必要なモニターです。一体型のスタンドと背面が同一パーツになっている製品にときどきあります。メーカーの製品ページで「VESAマウント対応:100×100mm」の記載を探して、なければ変換プレートの型番まで確認してから注文したほうがいい。
買い替えて分かった「指1本で動いて、手を離すと止まる」
買い替えたのは、ガススプリング式で耐荷重9kg、VESAは75×75と100×100の両対応、クランプとグロメットの金具が両方入っているモデルです。実売で6,000〜9,000円台の価格帯。上下だけでなく前後にも伸びて、画面を360度回転させて縦置きにもできます。
使ってみて一番はっきり違ったのは、動かすときの感触でした。人差し指1本で画面の下端を押すと、狙った高さまでするすると動いて、指を離した瞬間にそこで止まる。前のアームは、動かすのに両手がいるうえ、手を離すと必ず2cmくらい沈んでから止まっていました。あの2cmを毎回見越して行き過ぎた位置で止める、という妙な技術が身についていたことに、買い替えてから気づいたんです。
子どもを抱いたまま片手でモニターを上げられるようになったのも、地味に大きい。生後6ヶ月で、まだ夕方はよく抱っこをせがまれます。片手が塞がった状態でも高さを変えられるのは、想像していなかった恩恵でした。
短所も書いておきます。初期のテンション調整は、六角レンチで20回転以上回す必要があって腕が疲れました。しかもモニターを載せた状態で調整するので、片手で画面を支えながらの作業になる。取り付けは2人でやったほうが安全です。それと、アームに付属のケーブルクリップが硬く、太いUSB-Cケーブルを通すときにコネクタ部分が引っかかりました。ここはマジックテープのバンドに置き換えています。
最後に
アーム選びで見るべき数字は、私の経験では4つです。持ち上げ機構がガスか機械式か、耐荷重の上限と下限、天板の厚みと裏側の障害物、モニター側のVESA仕様。この4つを買う前に紙に書き出しておけば、私のように半年後に買い替える羽目にはなりません。
金額でいえば、3,180円と8,000円の差は5,000円弱です。半年で買い替えたので、結果的には安いほうを先に買った分が丸ごと無駄になりました。毎日8時間触るものは、最初にもう一段上を買っておくほうが安上がりだった、という平凡な結論に落ち着いています。
この記事は開発環境の個別レビューです。モニター選びの判断基準そのものは開発用モニターの選び方|4K・WQHD・ウルトラワイドをコードを書く視点でで整理しています。

